2015年10月31日土曜日

満点青空レストラン

『風さやか』推しはなるほど結構ですが、
もう少し幅広く他の品種を紹介出来ないものか…

後半は正直『風さやか』全く関係なし。
ご飯に合う美味しいおかずの紹介でした(仕様がないのはわかりますが)。

『ゆめしなの』涙目ですね。
『きらりん』は存在しないことにされてしまいました。

高温耐性品種にして良食味
『風さやか』…デザインまったく決まらず…

2015年10月30日金曜日

び系糯60号『でわのもち』 ラフ設定

糯米『でわのもち』 ラフ設定画

山形糯87号『こゆきもち』 ラフ設定

糯米『こゆきもち』 ラフ設定画

岩南糯19号『もち美人』 ラフ設定

糯米『もち美人』 ラフ設定画

富交糯23号『新大正糯』 ラフ設定

糯米『新大正糯』 ラフ設定画

『滋賀羽二重糯』 ラフ設定

糯米『滋賀羽二重糯』 ラフ設定画

2015年10月28日水曜日

イラスト『新米感謝』

題材
 『新米に感謝』

登場品種
 山形97号 『つや姫』

「一筆入魂!」

今年の美味しい新米と農家の皆様に感謝します。

2015年10月6日火曜日

イラスト『米っ娘運動会』

題材
 『運動会』

登場品種
 越南17号     『コシヒカリ』
 西海糯118号  『ヒヨクモチ』
            『山田錦』
 山形112号  
 山形97号      『つや姫』
 山形84号     『里のゆき』 
 山形35号      『どまんなか』
 熊本2号      『森のくまさん』
 山形酒49号   『出羽燦々』
 山形酒86号   『出羽の里』
 秋田糯45号   『たつこもち』
 上育糯417号  『風の子もち』


H27.10月作品
ようやく投稿が作品が追いつきました(大した数はありませんが…)。


赤組(粳米っ娘)&青組(酒造用好適米っ娘)&黄組(糯米っ娘)
悩ましいのはここに居るはずだった緑組(飼料用米っ娘)達です…
影も形も見えません…


芸術の秋、食欲の秋、読書の秋、実りの秋、そしてスポーツの秋。
健全な米っ娘達も用途に分けて大運動会です。

粳米っ娘はともかく、糯米と酒造好適米達は選手数が足りなさそうですから、糯米には『ミルキークイーン』のような低アミロース米が、酒造好適米には『出羽きらり』のような両用米や酒造に使われた経験のある粳米達が駆り出されているようです。
『里のゆき』が鉢巻をしていないのも、場合によっては糯米の競技に出るから?(単に作者が描き忘…)

いつか赤組の大将は『つや姫』になって欲しいです。(今回の大将はH25検査数量1位の品種達)

イラスト『糯米っ娘 十五夜』

題材
 『十五夜』

登場品種
 西海糯118号  『ヒヨクモチ』
 奥羽糯277号  『ヒメノモチ』
 中新糯40号    『こがねもち』
 秋田糯43号    『きぬのはだ』
 秋田糯45号    『たつこもち』

平成27年9月作画。

糯米っ娘のコンセプトを『バニー』と決定し、とりあえずそのままの勢いで検査数量上位10品種を作成。
日本の平成25年度糯米検査数量1位~3位品種(ヒヨクモチ、ヒメノモチ、こがねもち)をまずは描き、加えて山形県で栽培されていた『たつこもち』、さらにその姉妹品種である『きぬのはだ』を…
すべて勢いで描き上げました。

糯米っ娘達はバニー&杵を標準装備にするつもりでしたが全員杵持っていては構図が…結局持ったり持たなかったり持っていても何だかわからなかったり…

まずは画力の低さを何とかしよう…

どれが誰だかわからなければ頬の数字を参照してください。

2015年10月5日月曜日

イラスト『お花見』~H27~

題材
 『春』

登場品種
 山形112号
 山形97号   『つや姫』
 山形95号
 山形84号   『里のゆき』
 山形45号   『はえぬき』
 山形35号   『どまんなか』


H27年4月作画。
春といったらお花見しか思いつかない、昨年と同じ、短絡的…

ちょうどこの時期、髪の黄土色部分(稲穂、藁の色をイメージした部分)の色が濃すぎることに気付き、変更しました。
あ…山形95号の前髪がまた違っている…

しかし米っ娘達は団子が好きですね。
つや姫「作者がそれしか描か(け)ないからだよ!」
う・・・

イラスト『まくら投げ』

題材
 『まくらなげ』

登場品種
 山形112号
 山形97号  『つや姫』
 山形95号
 山形45号  『はえぬき』
 山形35号  『どまんなか』


平成27年5月作画。
なんだかよく覚えていないが、やっつけ仕事だったのがありありと分かる一枚。

ただこの辺りから髪の色(黄土色?の部分)を変更しようと試行錯誤中だった模様。

イラスト『山形95号&山形112号 卒業』

題材
 『新品種卒業』

登場品種
 山形112号
 山形95号


山形県の米の命運を背負って立つ新世代の品種『山形112号』『山形95号』の擬人化米っ娘二名のイラストです。
山形95号の髪形が不安定な頃です。(もうすこし前髪が小さいはず…)


山形95号は各地で自由にブランド名を決められる中山間地向けの米として、手始めに尾花沢市で『雪きらり』として始動しました。

山形112号は『はえぬき』以上の高品質米として期待が集まっています。


米価下落の現状に立ち向かい、強く生きて欲しいですね。

イラスト『米っ娘バレンタイン』~H27~

題材
 『バレンタイン』

登場品種
 山形97号  『つや姫』
 山形95号  
 山形84号  『里のゆき』
 山形45号  『はえぬき』
 山形35号  『どまんなか』

平成27年2月作画…自分の画力のなさに落胆した作品…
米っ娘が手に持っているのはチョコレートなんですが…チョコレートに見えないという

などと言いながらも山形県米っ娘が横に並んでますので間に合わせでブログのタイトルに張っています。

『つや姫』は正面から描くと決まるんですが…『はえぬき』はちょっと失敗…正面が苦手です。

この作品に代表されるように、基本的に山形県米の擬人化及び作品作成が最優先で進められております。

イラスト『米っ娘海!雪女神!』~H27~

題材
 『海』

登場品種
 山形97号    『つや姫』
 山形112号
 山形酒49号  『出羽燦々』
 山形酒86号  『出羽の里』
 山形酒104号 『雪女神』
出羽の里「大吟醸用米『雪女神』ついに登場です!」
出羽燦々「よろしくお願いするです!」

山形112号「私は!?」


山形酒104号『雪女神』の名前決定の時に描きました。
山形酒造適正米っ娘三姉妹、『出羽燦々』、『出羽の里』、『雪女神』の擬人化です。
同じくデビューしたのに名前の決定が遅れているばかりに山形112号は後ろで小さい…ごめんなさい…

酒造好適米っ娘達は普段着が水着なので白黒水着。
『つや姫』と『山形112号』はあくまでも粳米なので水着が色付きとなっています。


高木酒造三部作 『羽州誉』&『酒未来』&『龍の落とし子』 ラフ設定 

酒造好適米『羽州誉』&『酒未来』&『龍の落とし子』 ラフ設定画

民間開発。
山形県の高木酒造が生み出した酒造好適米三部作です。

山形酒104号『雪女神』 ラフ設定

酒造好適米『雪女神』 ラフ設定画

山形酒造好適米っ娘三姉妹三女
でもなんかデザイン的に長女っぽい…
山形県初の本格的な大吟醸酒用酒造好適米です。

山形酒86号『出羽の里』 ラフ設定

酒造適正米『出羽の里』 ラフ設定画

山形酒造適正米っ娘三姉妹次女

2015年10月4日日曜日

秋田糯43号『きぬのはだ』&秋田糯45号『たつこもち』 ラフ設定

糯米『きぬのはだ』&『たつこもち』 ラフ設定画

親が同じ、姉妹米っ娘です。

上育糯450号『きたゆきもち』 ラフ設定

糯米『きたゆきもち』 ラフ設定画

新潟糯31号『わたぼうし』 ラフ設定

糯米『わたぼうし』 ラフ設定画

北育糯80号『はくちょうもち』 ラフ設定

糯米『はくちょうもち』 ラフ設定画

上育糯417号『風の子もち』 ラフ設定

糯米『風の子もち』 ラフ設定画

中新糯40号『こがねもち』 ラフ設定

糯米『こがねもち』 ラフ設定画
※『みやこがねもち』は異名同種

奥羽糯277号『ヒメノモチ』 ラフ設定

糯米『ヒメノモチ』 ラフ設定画

西海糯118号『ヒヨクモチ』 ラフ設定

糯米『ヒヨクモチ』 ラフ設定画

山形95号 ラフ設定

粳米『山形95号』 ラフ設定画

未だに名無しの権兵衛…ではなく
尾花沢市では名前が『雪きらり』と決まりました。



※以下備忘録兼ねてコピペ



作付けした地域が自由に命名して売り出すことができる県産水稲新品種「山形95号」について、尾花沢市は産地ブランド名を「雪きらり」にすることを決めた。公募で寄せられた455点から審査を経て選考した。市は商標登録の手続きを進めており、ブランドのPRへ動きを加速させる。

 6月15日から7月15日までブランド名を公募し、8月11日に市や県、JAみちのく村山などで構成する選考委員会が審査。投票と多数決による1~3次の審査で1点に絞り込み、大阪市東住吉区の利光澄子さんの「雪きらり」を選んだ。選考委員からは「豪雪地で育った、きらりと白く輝くコメというイメージが受けるのではないか」との意見が出た。

 同市は本年度、中山間地での栽培に適した山形95号の産地ブランド化に向けた取り組みを本格化。9人の農家などでつくる「中山間地域に適した尾花沢産米研究会」(森山一会長)を立ち上げ、市内の計約4ヘクタールに作付けしている。10月の収穫後は試食会やコメの各種品評会への出品、銀山温泉の宿泊客への振る舞いなどを予定し、消費者の反応を探る。

 「雪きらり」は精米や玄米、菓子・パン、加工品、すし、弁当など、幅広い商品に使えるよう商標登録を出願中。

 山形95号は県が品種登録し、作付けした地域が自由にブランド名を付けて売り出すことが可能。県村山総合支庁北村山農業技術普及課の担当者は「産地独自の名前で売り出すことで、ここでしか収穫できないという希少価値を高めることができる」と話している。



山形112号 ラフ設定(初期)

粳米『山形112号』ラフ設定画

未だに名無しの権兵衛
今年度中には決まるはず…だったはず…

山形100号『出羽きらり』 ラフ設定

酒造適正米(酒造掛米用品種) 『出羽きらり』 ラフ設定画

主に日本酒の中でも掛米として使用することを目的にしてますが、食用としても使用できる多用途米っ娘…だとか?
酒造好適米じゃなくてもメインでがんばる(100%原料出羽きらり)ことだってできる子です。

イラスト『謹賀新年』~H27~

題材
 『謹賀新年』

登場品種
 山形97号 『つや姫』

「謹賀新年!明けましておめでとうございます!」


平成27年、新年の始まりに合わせて描きました。

つや姫は晩生ですから10月に入った今でもようやく刈り取りが始まるかどうか、というタイミングですが…
今年のつや姫も良い品質になることを祈ってます。
ちなみに最近確認した作況指数では山形県は『やや良』とか。
あとは値段がどうなるか…ですが…

米価下落…なんとかなりませんかね…

イラスト『バレンタイン』~H26~

題材
 『バレンタイン』

登場品種
 山形97号  『つや姫』
 山形45号  『はえぬき』
 山形35号  『どまんなか』


平成26年のバレンタインの際に描きました。
頬の文字が細いですね…

どの米っ娘を選ぶか!?

正直『つや姫』は美味いです。
ダントツです。
毎日食べたいものか?と言われると、そうではなく「御馳走」といった感じなのですが…
日々食べられる『はえぬき』も捨てがたい。
『どまんなか』は…米沢駅の牛肉どまんなか弁当でぐらいしか食べられません…が…

選べませんねぇ…

閑話休題

青森の新品種『青天の霹靂』。
特A評価を受けて青森県の新しい道を切り開く品種となるでしょうか?

耐暑性に関する記述が少ないので、詳細は不明ですが、青森県であれば高温障害に対する配慮は必要なさそうですね。
そのうち、コシヒカリの産地が青森県と北海道だけに…などという洒落にならない時代が来ないことを祈ります。

しかし…米屋さんもポップ一つ書くにしても苦労しそうなネーミングですね。

イラスト『山形米っ娘クリスマス』~H26~

題材
 『クリスマス』

登場品種
 山形97号  『つや姫』
 山形45号  『はえぬき』
 山形35号  『どまんなか』
 

平成26年のクリスマスに描いた作品。

元気いっぱい『つや姫』と、実力十分『はえぬき』がクリスマスのプレゼントをお届けにまいります。

どまんなか「…私は?」

え…うーん…牛肉どまんなか弁当を届けてもらおうかな…

イラスト『米っ娘花見』~H26~

題材
 『花見』

登場品種
 越南17号  『コシヒカリ』(旧)
 東北148号 『ひとめぼれ』(旧)
 南海102号 『ヒノヒカリ』
 北陸122号 『キヌヒカリ』
 山形35号  『どまんなか』
 栃木7号   『なすひかり』
 西海232号 『きぬむすめ』
 山形97号  『つや姫』(旧)
 佐賀37号  『さがびより』
 山形45号  『はえぬき』
 東北78号  『ササニシキ』
 上育453号 『ゆめぴりか』 
 


平成26年入って4月ごろの作品。

コシヒカリの髪が金髪
ひとめぼれの服装
つや姫の服装細部…等々、やはり今現在の私の構想とは違う点も多いです。
まだ頬の数字が黒のままです。(今現在は緑)

春のお花見、と言えばやはり団子ですが…
これって共食いなのでしょうか?

イラスト『米っ娘お正月』

題材
 『正月』

登場品種
 上育453号 『ゆめぴりか』
 南海102号 『ヒノヒカリ』
 山形97号  『つや姫』
 北陸122号 『キヌヒカリ』
 山形45号  『はえぬき』
 西海232号 『きぬむすめ』
 栃木7号   『なすひかり』
 熊本2号   『森のくまさん』(旧)
 越南17号  『コシヒカリ』(旧)


これは平成26年の年始めに描いたものです。
『森のくまさん』が茶色、『コシヒカリ』が金髪等、米っ娘デザイン当初の作品なので、現在とはデザインが違う米っ娘が多いです。
『どまんなか』もこの作品からデザインが決定しました。

作画省略の為、『ゆめぴりか』『森のくまさん』以外には半纏を着てもらっています。
背景の歪みは…目をつぶって下さい…

イラスト『米っ娘五月』

題材
『五月』

登場品種
熊本2号『森のくまさん』
山形35号『どまんなか』
山形45号『はえぬき』
山形97号『つや姫』
秋田31号『あきたこまち』
旧『コシヒカリBL』
栃木7号『なすひかり』




『5月』を題材にして描きました。
5月は稲作開始の重要な時期…と言っても作品中でも描いてますが旧暦の五月はいまの六月なんですよね…

この時期はコシヒカリのキャラクター設定が曖昧で、金髪になっていますね。

【粳米】越南17号~コシヒカリ~ 品種群~コシヒカリBL~【特徴・育成経過・系譜図・各種情報】

地方系統名
 『越南17号』(水稲農林100号)
品種名
 『コシヒカリ』
育成年
 『昭和31年(西暦1956年) 福井県 県立農事試験場』
交配組合せ
 『農林22号×農林1号』
主要産地
 『日本全国』
分類
 『粳米』


地方系統名
 『       』
品種名
 『コシヒカリ新潟BL(品種群コシヒカリ新潟IL)』
育成年
 『新潟県 県農業総合研究所作物研究センター』
 ※他「富山農試」「福井農試」「愛知農総試」等にもBLのNILあり
交配組合せ
 『いもち病抵抗性遺伝子所有品種へのコシヒカリ戻し交配』
主要産地
 『新潟県』※富山県でも銘柄指定はあるが全面切り替えは新潟県のみ
分類
 『粳米』
「あらあら~そんなにいじけないの」「う…五月蠅いですわ、コシヒカリ…」


名前の由来は【北陸地方の国々を指す「越の国」と「光」の字から「越の国に光かがやく」ことを願って】
育成は福井県ですが、命名は新潟県です。
…ただし実際は「『越南17号』にこんな素晴らしい名前を与えるのはもったいない」と言われていたとか。(初期候補名は『ユキコマチ』『コシニシキ』)


新潟県や福井県のホームページ等、その育種過程はインターネット上ではさらっと紹介されていますが、このコシヒカリが育種され普及されたことは、まさに奇跡の中の奇跡。
『コシヒカリ』を知る日本人は居ても、この奇跡の事実を知る日本人は非常に少ないでしょう。

…というか育種過程については正直「事実を知る人が少ない」どころか間違った情報が散見されます。
・『コシヒカリ』は栽培が難しいものの、味が良いことが認められて採用された。
・『コシヒカリ』は新潟県が産んだのであって福井県はほぼ何もしていない。
・福井県はすごい先見の明があって『コシヒカリ』を育成できた。
・新潟県はすごい先見の明があって『コシヒカリ』を奨励品種に採用した。
・新潟県は最初から一貫して『コシヒカリ』を推していた。
・新潟県が交配し、途中福井県が育成し、最終の育成は再び新潟県が行った。(福井県はほとんど何もしていない)
これ全部誤りです。(少なくとも裏付けする事実がないものがほとんどです。)

交配は新潟県で、その後雑種第二代の採種までも新潟県で行われています。
ここで福井県に送られ、雑種第三代から系統番号が付される雑種第八代まで育成が行われました。
雑種第八代の後、適応性試験のために各都府県に種子が送られましたがこの時点で育成をは完了しています。
配布のために新潟県でも種子増産は行っており、この時点で『越南17号』の固定は完全ではなかったとのことでしたが、それは「育種」という性質のものではありません。
奨励品種として採用した新潟県(というより杉谷場長)がここで「新潟県が『越南17号』の最終の選抜・固定を行った」という自論を展開しており、これが変な伝わり方をしているのか、誤った情報が反映された文章も時折見かけます。

育成・初期選抜「新潟県」
育成・選抜・固定「福井県」
命名・奨励品種採用「新潟県」

途中経過が複雑だったりするのでネット上は誤りだらけですが、奇跡の品種『コシヒカリ』、大まかな経過はこの通りです。




『亀の尾』、『旭』の良食味、そして『大場』『愛国』『上州』『神力』と始祖米達の特性をその身に(意図せず)集結させた、言わずと知れた日本の米の女王。
『新潟県(南)魚沼産コシヒカリ』と言えばおおよそ米の銘柄に興味がない人でも日本最高峰のお米として聞いたことぐらいあるはずです。
そんな『コシヒカリ』と、『コシヒカリ(新潟)BL』の擬人化です。
ただし、その中身は少し複雑です。

コシヒカリは極良食味を持つ品種ですが、施肥を誤ると簡単に倒伏し、またいもち病にも弱いという決定的な欠点があります。
それでも尚、彼女は全国でも最大の作付面積を持ち、気温への対応適正の高さを物語っています。
しかしやはりいもち病に弱いというのは頂けない…ならば、と生み出されているのが『コシヒカリBL』です。

コシヒカリBL銘柄指定品種(H25時点)
『コシヒカリ新潟BL』銘柄指定 1,2,3,4,10,11,13号 計7種1群【全面切替】
『コシヒカリ富山BL』銘柄指定 1,2,3,4,6号        計5種1群
と、このように『コシヒカリBL』は違ういくつかの品種を総括して『品種群』としています。
目標のいもち病抵抗性遺伝子のみを『コシヒカリ』に導入するため、5~7回程度の『戻し交配』を行い、ほぼコシヒカリと同形質でいもち病抵抗性を持った品種を産みだしたのです。

まずここで一点。
流石に今現在ではもういないかとは思いますが、この戻し交配による遺伝子の導入すら「遺伝子組み換えだ!危険だ!」と一部のぴーとそれに乗せられた有象無象が騒ぎたてました。
クローン作物でも食べてなさい(でもそれだって元は…)。

さて、コシヒカリと同じ性質なのに、いもち病に強く、その分農薬の散布回数も減らせると「環境に優しい」の触れ込みで、「偽新潟産コシヒカリ」に頭を悩ませていた新潟県は、『コシヒカリBL』全面切り替えへと踏みきります。
詳しい経緯や思惑は後に語るとして…そう、私たちが日頃目にしている『新潟県産コシヒカリ』(無論魚沼産コシヒカリも)はほとんどが『コシヒカリBL』なんですね。
一部自家栽培で『コシヒカリ』を育て続けている農家さんもいますが、98%が既に切り替え済みとのこと。
実際の収穫量の何倍もの米が『魚沼産コシヒカリ』として世に出回っている現状に新潟県も業を煮やしていました。これで遺伝子判別が可能なわけです。

またここで二点目。
『コシヒカリBL』の切り替えに対し
世間からは「偽装表示だ!」。
農家からは「不味い!生育特性が違いすぎる!」
との批判が噴出。
どの程度の規模であったかはわかりませんが、やはりこういう声が出れば一部のぴーとそれに乗せられた有象無象が有ること無いことまた騒いだのでしょうね。
新潟県の食味試験やアンケートの結果を「信用ならない」とか言って直売している農家産も多く、謎の「食味比較表」のようなものを載せていることもありますが、何を基準に比較しているかもわからないそっちの表の方がよっぽどうさんくさいです。




と、日本一の米の看板を背負いながらも、なかなか順風満帆の人生とはいかない『コシヒカリ(新潟)BL』。ですが高飛車なお嬢様人格で、そんな批判どこ吹く風、日本の米の頂点に立ち続けています。
そんな彼女の人知れぬ苦悩を一番わかっているのは、やはり『コシヒカリ』ではないでしょうか?

ちなみに
日本穀物検定協会の食味ランキングで『魚沼産コシヒカリ』が平成27年現在で唯一の27年連続特A獲得、とされていますが、平成17年度からは『コシヒカリ新潟BL』へ切り替えているので、正確には同一品種での連続特Aではない…のかも。
※正確には新潟県産コシヒカリは、コシヒカリBL四種の組み合わせ『コシヒカリIL』となります。
越南17号『コシヒカリ』系譜図

【粳米】山形35号~どまんなか~【特徴・育成経過・系譜図・各種情報】

地方系統名
 『山形35号』
品種名
 『どまんなか』
育成年
 『平成3年(西暦1991年) 山形県 県立農業試験場庄内支場』
交配組合せ
 『イブキワセ×庄内29号』
主要産地
 『山形県』
分類
 『粳米』
「どまんなか、です!」


どんな娘?

はえぬきの親友。
共にエリート道を目指しながらも挫折した経験あり。
ですがそんな自分の境遇にめげることも悲観することもせず、与えられた場で精いっぱい頑張っている隠れた努力家です。

山形県という狭いフィールドで活動する点は一緒だけども、米沢牛とこのどまんなかを使用した「牛肉どまんなか弁当」で一般の知名度ははえぬきよりも高い(と本人は思っている)ことが密かな誇り。

そのせいか、自己主張ははえぬきより上手で、発言も活発に行う。

でも意外とはえぬきより厳しい環境には打たれ弱い(が本人も重々承知している)。
興奮すると訛り?が出やすい。


概要


山形県で『はえぬき』と双角を成す…はずだった山形県第二の悲運児。
今や「牛肉どまんなか弁当」のためだけに存在する(嘘)。

そんな正直マイナー品種の『どまんなか』ですが、なんと認知症予防効果のある成分が多く含まれていることが山形大学・県水田農業試験場の研究で分かっています(2018年6月)。
山形大学農学部渡辺昌規準教授と県水田農業試験場の研究グループは全国の一般的な品種と山形県の品種、合わせて17品種を調査。
認知症要望に効果があるとされている成分「フィチン酸」がどの程度含まれているか分析を行いました。
その結果、『どまんなか』が最も多い4%あまりで『コシヒカリ』の1.3倍にもなったそうです。
フィチン酸は米ぬかに多く含まれ、アルツハイマー型認知症の予防効果があるという研究結果が発表されています。
米ぬかから効率的に成分を抽出する方法はすでに確立済み、あとはサプリメントなどの製品化に向けて検討中だそうです。
マイナーになってしまった『どまんなか』に新しい光が当てられるといいなぁ(管理人談)


さて、話は戻って
『ササニシキ』によく似たソフトな食感ながら、『ササニシキ』よりも粘りがやや強いとされます。
日本穀物検定協会の食味試験では『ササニシキ』並みかやや優るとの評価です。
米の食味にかかわると言われる粗蛋白質含有率は『ササニシキ』より0.2~0.3%高くなっています。

『どまんなか』の名前は「山形県がこれからも稲作の”中心地”であること」を、また「おいしさの”どまんなか”をつきぬける味わいのお米である」ことを意図して命名されました。

『どまんなか』育種開始当時の昭和56年(1981年)、山形県で主力であった『ササニシキ』は全国的に無理な産地拡大による評価低下、さらに耐病性や耐倒伏性の不十分さが問題とされていました。
加えて奇しくも平成5年の大冷害により大損害を受け、耐冷性の低さも露呈するなど、販売上も栽培上も大変厳しい状況に追い込まれていました。
さらにそれ以前から日本は”米余り”の時代へと移りつつあり、「量」から「質」へ、米に対する要求の変化も、『ササニシキ』に代わり、かつ山形県オリジナルの主力品種への渇望へと繋がっていました。

平野部、中山間地それぞれに主力品種を、ということで期待されたのが平野部『はえぬき』、中山間地『どまんなか』の2品種でした。
山形県内では(県外ではどうでしょう?)「はえぬき!どまんなか!」と両品種の名前が並んだ看板をよく目にしたものでした。(いま(平成後期)でも超色あせた看板を見られないこともないデス。)

しかしながらやがて耐冷・耐病性と食味に勝る『はえぬき』が、『どまんなか』が担うはずだった中山間地でも作付を伸ばしていきました…とはよく言われるのですが
食味に関しては単純に「おいしい」「まずい」ではなく、ササニシキ系の食味を持つ『どまんなか』よりコシヒカリ系の食味を持つ『はえぬき』の方が時代の要求に合っていた…ということも大きいようです。
ただし耐冷性「やや弱」、耐倒伏性「やや強」、耐病性(いもち病)「やや弱~中」と、『はえぬき』(「強」「強」「中」)に比べて『どまんなか』が劣っているのは確かです。

やがて県の奨励品種からも外された『どまんなか』ですが、『はえぬき』の1割程度の作付で生産が続けられています。
米沢の「牛肉どまんなか弁当」食べませう!


育成地における出穂期は『ササニシキ』よりも1~2日ほど早い「中生」に属します。
稈長は『ササニシキ』より5cm程度短く、稈質も「やや剛」と耐倒伏性に優れ「やや強」とされています。
草型は「中間型」です。
いもち病抵抗性は葉・穂共に『ササニシキ』よりは強いものの「やや弱」との判定がされています。
真性抵抗性遺伝子型は【Pia】【Pii】と推定されています。
障害型耐冷性抵抗性は「中」、遅延型冷害抵抗性は「中」~「やや強」の判定です。
千粒重は22.0~22.5gと『ササニシキ』より少し粒が大きめです。
奨励品種決定調査ではいずれも『ササニシキ』並かそれより優る食味と評され、アミロース含有率は1%程度低い17.7%程度です。


名称公募

県産米の失地回復の大きな期待を掛けられた『山形35号』は『山形45号』とともに名称公募を行いました。

山形県では新品種のデビューに当たって「水稲新品種銘柄確立対策協議会」が立ち上げられていました。
一般的にデビューする際に重要な「イメージ戦略」について、その基本的な方向付けをどうするか、検討が重ねられていました。
なお、流通宣伝対策事業全体のコンサルティングは日本ベリエールアートセンター(東京・銀座)に委託されます。
(なお結果はお察し)

県民の期待とデビューに向けた準備が着々と進む中、平成3年(1991年)8月から9月までの2ヶ月の期間で山形県農政課は新品種名の一般公募を行います。
これとは別に首都圏・近畿圏における主婦層に対する試食調査や、市場環境調査が行われており、新品種のネーミングにも活用されることになっていました。

「多くの人から親しまれ、愛される名前」「印象が強く残る新鮮なもの」を基本に全国的に広く募りました。
また国内のみならず、山形県と姉妹県州関係にあるアメリカ合衆国コロラド州及びユタ州でも邦字新聞に掲載して貰うなどしてPR活動をしています。

『山形45号』『山形35号』両品種の名称公募において、最優秀賞(各1点、合計2点)と優秀賞(各3点、合計6点)が用意されていました。
最優秀賞に対する副賞は賞金30万円と『山形45号』10kg、『山形35号』10kgを贈呈。
また優秀賞への副賞は賞金10万円と『山形45号』5kg、『山形35号』5kgが用意されました。
賞金総額は120万円とかなりの大盤振る舞いが見て取れます。


出足の8月の応募数は鈍かったものの、9月17日に行われた中間発表を受けて応募数が激増したと言われ、9月後半は1日に7千通もの応募が郵送されてきた日もあったそうです。
前述したアメリカからも、主に日系人の方々から約20通ほどの応募があったそうです。
最終的な応募数は11万1,142点。
2品種分の応募数とは言え、平成後半~令和において行われた名称公募に引けを取りません。

山形県農政課は想像以上の応募数に(うれしい?)悲鳴を上げつつ整理作業を行い、最終的に『えりぬき』『だんとつ』の二つが選ばれました。
そうして選ばれた『だんとつ』をさらに検討、平成4年(1992年)6月25日に『山形35号』は『どまんなか』と名づけられました。


育種経過

昭和56年(1981年)、山形県農業試験場庄内支場で母本『イブキワセ』父本『庄内29号』の交配から生まれた後代から選抜されました。
耐倒伏性と良食味に優れるが耐病性で劣り、玄米外観が劣る『庄内29号』に『イブキワセ』の玄米品質、そして耐病性を導入するのが主たる育成目標でした。

1981年交配。
1982年雑種第一代養成。
1983年個体選抜、1984年単独系統と選抜育種。
1985年のF4世代より『庄216』の系統群番号が与えられ、1987年F6世代で『山形35号』の地方系統番号を与えられるに至ります。
以後奨励品種決定調査や食味試験などが行われ、晴れて1991年山形県の奨励品種となりました。(その後は…前述してますので聞かないでください…)


系譜図

父本の『庄内29号』は『はえぬき』の母本となっており、実は二人は異母(?)姉妹。

山形35号『どまんなか』系譜図


参考文献(敬称略)

〇水稲新品種「山形35号」の育成:山形県立農業試験場研究報告
〇オリジナル水稲品種の開発とトップブランドへの展望:櫻田博


関連コンテンツ






【粳米】山形45号~はえぬき~【特徴・育成経過・系譜図・各種情報】

地方系統名
 『山形45号』
品種名
 『はえぬき』
育成年
 『平成3年(西暦1991年) 山形県 県立農業試験場庄内支場』
交配組合せ
 『庄内29号×あきたこまち』
主要産地
 『山形県』
分類
 『粳米』
「はえぬきです…こんにちは」

どんな娘?

引っ込み思案で自己主張が苦手(下手)。

ただ、自己主張が苦手なために知名度が低いだけで、その堅実かつ質の高い仕事ぶりは知る人ぞ知るところ。
とはいえやはりそれに見合う対価に恵まれない状況に本人も少しもやもやしています。
それでも決してくじけない、倒れない。

山形の米っ娘達のとりまとめとして、さらなる上を目指すつや姫、雪若丸を支えることに腐心している。
・・・表面上あまり見えなくても本人は頑張っている。

薄幸のおとなしい米っ娘です。


概要

魚沼産コシヒカリにも劣らない実力を持ちながら低価格での取引に悩まされる山形県が生んだ悲運児…自己主張に失敗した所が彼女の失敗…ってそれだけではないのですがね…
そんな『はえぬき』の擬人化です。
コシヒカリに匹敵する極良食味、かつ草丈が短く機械作業に適し、極強の耐冷性を持つ山形県の「ユメのコメ」です。

山形に生まれ、山形で成長した、まさに生え抜きの山形県品種。
『はえぬき』なんてすばらしい名前だと思うのですが、どうも世間の評価は芳しくない様子。


日本穀物検定協会の食味ランキングで平成27年まで22年連続の特A評価を受けるという実力は折り紙つき、安定した品質を誇る優秀な品種です。
このように特A評価を長期間受け続けたのは他に『新潟県魚沼産コシヒカリ』しかありません(『岩手県産ひとめぼれ』も惜しいところなのですが…)。

ただし、デビュー当時に山形県が箱入り娘として大事にし過ぎました。
産地間競争の激化の折、県の主力品種『ササニシキ』が冷害による(他県産の)大打撃で信用を失うという事態に陥るに当たり、状況打開の大きな期待がかけられたのが『山形35号(どまんなか)』と『山形45号(はえぬき)』の2品種でした。
しかしあくまでも「山形県オリジナル品種」にこだわり、県外への作付に慎重になり過ぎたため、丁度デビュー時に冷害への弱さを露呈して全国的に一線から去りつつあった『ササニシキ』の作付を、『ひとめぼれ』他同世代の別の品種達に取られてしまうという悲劇が。
他、宣伝不足等も重なり、全国的な知名度はまったく上がらず、品質の割に安値での取引をされています。
ただし冷めても美味しい、美味しいのに安い、そんな彼女は(平成初期~中期の時点で)セブンイレブン始め、食品業界には引く手あまたであり、一般消費者には「安くて美味い」米となって届いています。
そして何よりも
彼女の失敗は山形県になによりも大事な「教訓」を残しました。
大成品種『つや姫』の成功を陰ながら『はえぬき』が支えていると言ってもよいと、私は思います。

『つや姫』のおかげか少しずつ評価は上がっている?のでしょうか
”ブランド米”と呼ばれています、うれしいです!

育成地における熟期は「中生の晩」で『ササニシキ』よりも2~3日遅い品種です。
草型は中間型で、標肥・多肥条件のどちらでも稈が短く(約65~70cm)、茎はやや太く強稈であると評価され、耐倒伏性は「強」です。
葉いもち病抵抗性は総合的評価から「やや強」、穂いもち病抵抗性も同じく「やや強」となっています。(真性抵抗性遺伝子型は【Pia】【Pii】と推定)
白葉枯病抵抗性は「やや弱」で『ササニシキ』と同等です。
耐冷性は育成当初「強」の判定でしたが、後に「極強」に(の後さらに基準が変わり「強」に)
収量は『ササニシキ』並(約580~620kg/10a)ですが、多肥で倒れることがないのでやや収量は勝り、玄米品質は常に勝っているとの判断がされています。
千粒重は約22~23gです。

名称公募

県産米の失地回復の大きな期待を掛けられた『山形45号』は『山形35号』とともに名称公募を行いました。

山形県では新品種のデビューに当たって「水稲新品種銘柄確立対策協議会」が立ち上げられていました。
一般的にデビューする際に重要な「イメージ戦略」について、その基本的な方向付けをどうするか、検討が重ねられていました。
なお、流通宣伝対策事業全体のコンサルティングは日本ベリエールアートセンター(東京・銀座)に委託されます。
(なお結果はお察し)

県民の期待とデビューに向けた準備が着々と進む中、平成3年(1991年)8月から9月までの2ヶ月の期間で山形県農政課は新品種名の一般公募を行います。
これとは別に首都圏・近畿圏における主婦層に対する試食調査や、市場環境調査が行われており、新品種のネーミングにも活用されることになっていました。

「多くの人から親しまれ、愛される名前」「印象が強く残る新鮮なもの」を基本に全国的に広く募りました。
また国内のみならず、山形県と姉妹県州関係にあるアメリカ合衆国コロラド州及びユタ州でも邦字新聞に掲載して貰うなどしてPR活動をしています。

『山形45号』『山形35号』両品種の名称公募において、最優秀賞(各1点、合計2点)と優秀賞(各3点、合計6点)が用意されていました。
最優秀賞に対する副賞は賞金30万円と『山形45号』10kg、『山形35号』10kgを贈呈。
また優秀賞への副賞は賞金10万円と『山形45号』5kg、『山形35号』5kgが用意されました。
賞金総額は120万円とかなりの大盤振る舞いが見て取れます。


出足の8月の応募数は鈍かったものの、9月17日に行われた中間発表を受けて応募数が激増したと言われ、9月後半は1日に7千通もの応募が郵送されてきた日もあったそうです。
前述したアメリカからも、主に日系人の方々から約20通ほどの応募があったそうです。
最終的な応募数は11万1,142点。
2品種分の応募数とは言え、平成後半~令和において行われた名称公募に引けを取りません。

山形県農政課は想像以上の応募数に(うれしい?)悲鳴を上げつつ整理作業を行い、最終的に『えりぬき』『だんとつ』の二つが選ばれました。
そうして選ばれた『えりぬき』をさらに検討、平成4年(1992年)6月25日に山形45号は『はえぬき』と名づけられました。(庄内で生まれ、庄内で育ったまさに生え抜きの米が大きく飛躍し続けることを願って)


育種経過

昭和57年(1982年)山形県農業試験場庄内支場で母本『庄内29号』父本『あきたこまち』の交配が行われ、その交配から選抜されました。(相棒のどまんなかより一年遅れ)
耐倒伏性・良食味で優れるも玄米品質が芳しくなかった『庄内29号』に玄米品質の優れる『あきたこまち』を交配し、良質・良食味の品種育成を目標とした形です。

1983年にF1世代の養成。
1984~1985年にかけて雑種集団の養成(集団育種法であるのでこの時点での選抜は無し)と進み、1988年F6世代に『庄546』の系統群番号が付与され特性検定試験、生産力検定試験が行われました。
そして1990年F8世代に『山形45号』の系統名が付されました。
耐倒伏性「強」、耐冷性「極強」(※当時の基準)と栽培特性に優れ、コシヒカリ系統の粘りと旨さを持つ極良食味米です。




系譜図

後発品種の『山形95号』、『雪若丸』がいよいよ山形県で始動!
彼女達は『はえぬき』の跡継ぎとなるのか、はたまた全く別の立ち位置となるのか、これからも注目していきたいですね。

※『あきたこまち』の父本『奥羽292号』の祖先にいる『大系437』ですが、ネット上では圧倒的に「大系434号」の表記が多いですがそれはすべて誤りです。
この『大系437』が正解です。『あきたこまち』の記事参照。
山形45号『はえぬき』系譜図


参考文献

〇水稲新品種「山形45号」の育成:山形県立農業試験場
〇倒伏しにくい・良質・良食味品種「はえぬき」:山形県農業総合研究センター水田農業試験場
〇オリジナル水稲品種の開発とトップブランドへの展望:山形県農業試験場庄内支場 櫻田 博 
〇「山形45号 山形35号 期待の県産米 PR活動」:山形新聞(平成3年7月31日)
〇「期待のコメ新品種 山形45号 山形35号 名称応募、10万点超す」:山形新聞(平成3年10月5日)


【粳米】山形97号~つや姫~【特徴・育成経過・系譜図・各種情報】

地方系統名
 『山形97号』
品種名
 『つや姫』
育成年
 『平成20年(西暦2008年) 山形県 農業総合研究センター水田農業試験場
交配組合せ
 『山形70号×東北164号』
主要生産地
 『山形県』
分類
 『粳米』
つや姫「目指すは日本一!」

炊いてほれぼれ 冷めても美味しい

お米はここまで美味しくなれる。


毎月28日は「つや姫の日」!
美味しい『つや姫』をいっぱい食べよう!みんなと食べよう!

どんな娘?

明るく裏表のない性格で老若男女問わず、だれからでも好かれる娘。
何があろうと決して倒れず、最近の夏の猛暑もなんのその、元気活発に日本全国を走り回っています。

山形県内ではかなりののんびり屋。そんなマイペースを決して崩すことなく、周囲から心配されていた時期もありました。

今や全国の米たちの一種の目標となり、追われる立場となりましたが、そんなプレッシャーもなんのその。
天真爛漫・元気いっぱいの米っ娘です。


概要

科学的に裏付けされた極良食味「コシヒカリを超えるコメ」筆頭!!!(管理人の独断と偏見と依怙贔屓


隠れた米王国山形県が、前作『はえぬき』の雪辱を果たさんと満を持して繰り出した最強品種『つや姫』の擬人化です。
山形県で開発された稲品種の中で初の”晩生”(育成地基準)。
当初は「刈り取り前に降雪が来るのでは?」と心配する声もあったそうですが、そこは最近の温暖化に救われているところでしょうか。


現代の日本の米の最高峰『魚沼産コシヒカリ』の牙城を崩すべく、元気に全国を走り回っています。
その特徴はなんといっても極良食味と耐暑性(高温登熟耐性)。
加えて生産する農家、その栽培法を徹底して管理して生まれる品質。
山形県では『つや姫』の生産には最低でも特別栽培(農薬・化学肥料両方を慣行比50%削減)が課されており、より厳しい条件で高品質な『つや姫』の生産を目指しており、各県のブランド米と呼ばれる品種達と比べても一段と厳しいものとなっています。(※参照”平成30年度水稲新品種達の栽培条件・出荷基準~高級ブランド米の覇権はいかに?~”)

慶応義塾大学先端生命科学研究所の解析では旨味となるアミノ酸の一種、グルタミン酸が約3割、アスパラギン酸が約6割、『コシヒカリ』より多く含まれていることが科学的に証明されています。
そのような「旨味」成分が多い一方、「苦味」のもとになるアルギニンやフェニルアラニンは他品種と同等かやや低いという結果も出ており、このようなバランスの良さが『つや姫』の極良食味につながっているものと考えられています。

そしてこれは、消費者には関係のない話かもしれませんが…
近年の地球温暖化による猛暑下においても、その品質を落とさない耐性を持っており、平成22年(2010年)の記録的猛暑ではその力をいかんなく発揮し、一等米比率全国平均63%(新潟19%)のところ、98%という国内品種の最高値を記録しました(当の山形県も想定外の強さ!)。

草型は中間型、『コシヒカリ』並の晩生品種です。
耐倒伏性に関しては「やや強」と『はえぬき』同様倒れにくくなっています。
葉いもち病抵抗性は「強」と格段に強くなっています。
穂いもち病抵抗性に関しては、試験の際の罹病率が低く「判定不能」となっているため、現状かなりいもち病に強い品種と言えます。
真性抵抗性遺伝子型は【Pik】【Pii】と推定され、現状【Pik】を侵すレースが山形県内で少ないことが原因と思われます。
ただこれだけは真性抵抗遺伝子を侵すいもち病菌のレース変化によっては圃場抵抗性がどうなるかはまったくの未知数で、あくまでも”見かけの上では”強いという点には注意が必要です。
耐冷性は「中」(旧「やや強」相当)で多少劣りますが、近年の気象変動を見る限り、問題になるほどのことではないと想定されます。
収量は試験時に約560kg/10a、玄米千粒重は約22gで一般飯米用品種の中では平均的と言えます。


全国に先んじたブランド化戦略

このような優れた性質を有する『つや姫』を日本一のブランド品種とすべく、先代『はえぬき』『どまんなか』コンビで大ゴケした経験を教訓として、山形県とJAが一丸となって
取り組んできました。

”ユメの米”とまで呼ばれた『はえぬき』(と一応『どまんなか』も)が今や大半が低価格帯の業務用に甘んじている現状。
その要因とされるのが次の三点です。

①.登場初期に作付を県内に限定したため、県外での知名度が上がらなかった(さらに同世代デビューの他品種に全国区での作付を奪われた)。
②.さらにPR活動もうまくいかず、①に加えて知名度の低迷に拍車がかかった(山形県とJAでの統一した活動もなし)。
③.短稈で倒れにくく、比較的病気にも強い品種であった為、山間地などの栽培不適地での作付け拡大や、収量を上げようとする多肥栽培が横行し、食味・品質を大幅に下げた(市場評価の低下)。


『つや姫』は

①.デビューを待たずに全国28府県に種子を配布し、いち早く他県への展開を図りました。
  →当初、宮城県と大分県が奨励品種に採用。次いで島根県、長崎県も採用。
  それでいて品質の低い『つや姫』が出回らないよう、各県には栽培要件などの設定を要請(後述)。

②.これについては枚挙にいとまがないほどたくさんあります。
  県とJAが協力してPRに取り組み、初年度だけで2億円余りの額を宣伝に投じました。
  当時としては珍しかったテレビCMも、購買層の女性から高感度が高く食通で知られる作家の阿川佐和子さんを起用して実施。読売新聞にも広告を掲載しました。
  さらに吉村美恵子県知事を筆頭として県職員までもトップセールスとして各地を巡り『つや姫』の知名度向上を図りました。
 「つや姫レディ」や地元サッカーチーム「モンテディオ山形」のユニホームの広告もありますね。

 特に平成22年(2010年)の記録的猛暑時に記録した一等米比率98%という大挙は、各メディアによって大々的に報じられました。おかげで多大な広告費用を掛けずとも、全国に高温耐性が高く、美味しい新品種『つや姫』の名を知らしめるのに大いに貢献したとされています。


③.前述したように生産者は登録制、栽培適地(当初で県内水田の約3割のみ)以外での作付けは禁止し、高品質の米生産を目指しています。
 栽培要件も有機栽培を前提とした”最低でも特別栽培”全国と比較しても非常に厳しもの。
 他県で奨励品種になった際も可能な限り、栽培条件を限定するよう要請しています。
 さらに山形県産『つや姫』に関しては品質管理に加えて生産量管理にも重きを置き、足らず余らずの適正供給量の維持に努めています。(生産量が足りなければせっかく得たシェアを他品種・産地に奪われかねず、逆に余るほど過剰な供給となると価値の下落につながります。)

本格デビュー当初の平成22年(2010年)の生産量は約12,500t。内県外用に10,000t、県内用に2,500tを割り振るなどあくまでも県外重視の姿勢は明確でした。
このように見事に『はえぬき』の教訓を生かし、今や(2018年現在)全国に知れ渡る一大ブランド品種としてその名を轟かせるまでになりました。

そして令和の時代を迎え、米生産の盛んな東北六県・北陸四県では各県が減反政策廃止の時代を見据えた品種を携え、『つや姫』と同じ土俵に上がってきています。


それでも山形県(つや姫)は負けないぞい!


◯令和元年(2019年)12月時点~
 新潟県の魚沼産コシヒカリが2万782円/60kgで全国1位、対して山形県産『つや姫』は1万8,631円で2位につけています。
 本格デビューから10周年を迎え、山形県はこの現状に甘んじず、さらなる躍進を企画しました。
 新年度から始まる第5次戦略の中で「5年以内に魚沼産コシヒカリを超える」ことを目標に掲げ、いよいよ本丸取りに動きます。

〇令和2年(2020年)~
 コロナ禍で業務用米の需要が激減し、民間の在庫量の増加により米価全体が下がり、新潟県産や魚沼産の『コシヒカリ』ですらマイナスになる中、唯一北海道産『ゆめぴりか』と山形県産『つや姫』だけが値上がりの傾向を見せました。
 両者ともに業務用ではなく家庭向けであったことが大きいとされていますが・・・
 新潟県産コシヒカリの神話崩壊とも言える事象・・・とまで言うとさすがに過言でしょうか。



名称公募

『はえぬき』を上回る日本一のお米として『山形97号』を育て上げたい…
山形県の強い意気込みで、平成20年(2008年)1月21日の時点で県民への周知を図る「水稲新品種『山形97号』デビュー1,000日前イベント」を開催し、デビューに向けた3ヶ年戦略を開始します。

「米どころ山形の恵まれた環境と、人々の熱意が、かつてないおいしい、新しいお米を創り上げました。」
そんな『山形97号』について、デビュー1,000日前イベントに続き、山形97号ブランド化戦略実施本部事務局は広く一般から名称を募集しました。

最優秀賞(1点)には賞金30万円と『山形97号』60kg、優秀賞(4点)には賞金5万円と『山形97号』10kgを用意していました。
このほかに応募者全員を対象とした参加賞として
・尾花沢すいか6Lサイズ1玉(8/1~8/15応募分)20名分
・だだちゃ豆2kg(8/16~8/31応募分)20名分
も設けられていました。

平成20年(2008年)8月1日から8月31日までの1ヶ月間の間に全都道府県に加えアメリカハワイ州からのものも含め、最終3万4,206件の名称応募がありました。

同年9月から10月の間に山形97号ブランド化戦略実施本部で名称の絞り込みを行い、以下の7点の名称が候補として残りました。

番号候補名説明
一の穂(いちのほ)味わい、白さ、ツヤ、香りなど、おいしさナンバーワン、「米は山形」を堂々と。
おしんちゃん世界50ヵ国以上で人気の「おしん」+「ちゃん」で親しみやすく、覚えやすく。
千年の恵(せんねんのめぐみ)食の楽土をめざして先祖代々受け継いだ米づくりへの想い、技を「千年」に結晶させて。
つや姫(つやひめ)炊き上がりのツヤと輝き、冷めてもおいしい商品力に、大切に育てた意味の「姫」を。
出羽穂の香(でわほのか)山形の旧国名「出羽」に、「香りが素晴らしい」という特徴をやさしく表現。
めでた めでた「花笠音頭」にのせ、高品質米の誕生を祝う「セレブレーション・ライス」。
山形97号(やまがたきゅうじゅうななごう)すでに知名度のある開発ナンバーをそのままに、品種への自信をこめた名称。

この7点の候補を対象として平成20年(2008年)12月19日から平成21年(2009年)1月22日の期間で、今度は県民投票が実施されます。(当然山形県民が対象)
ちなみにここでも投票者の中から30名が抽選で選ばれ『山形97号』5kgがプレゼントされています。

そしてその県民投票の結果

1位『山形97号』
2位『出羽穂の香』
3位『つや姫』

(以下4位「おしんちゃん」、5位「千年の恵」、6位「めでためでた」、7位「一の穗」)という山形県民の変な県民愛が噴出する結果となり、この結果を受けたうえで、山形97号ブランド化戦略実施本部は商品特性の伝わりやすさと首都圏在住女性の支持が高いことなどを理由に平成21年(2009年)2月23日、名称を『つや姫』に決定しました。
品種への自信を名称に込めるようなことがなくて本当にほっとしています。



○中国、香港、台湾でも「つや姫」「TSUYAHIME」及びロゴマークを商標登録済み。
 香港、台湾では中国語表記『山形滋雅(シャンシン ズーヤー)』も商標登録。
 行くぜ世界!
 (なんで『艶姫』じゃないのかって、あちらでは”艶姫”だとちょっといかがわしい職業のお姉さんの意味になってしまうからだとかなんだとか)


育種経過


平成10年(1998年)から「次期主力品種の育成」を目標として開発の始まった『つや姫』。
中生~晩生の早の良質・良食味米の育成を育種目標に、同年母本『山形70号』父本『東北164号』として人工交配が行われました。


◆母本の『山形70号』は耐倒伏性が強い良食味の品種で、平成9年(1997年)~平成12年(2000年)まで奨励品種決定調査に供試されましたが、『はえぬき』『コシヒカリ』の代替品種としては収量・耐倒伏性に劣るとの判断が下されました。しかしながら品種特性解析試験(平成9年)では玄米品質、食味は良好であり、味度も高いとされています。

◆父本の『東北164号』は平成8年(1996年)に系統名を付され、各地域で奨励品種決定調査に供試されており、系統名を付された同年には山形県の庄内試場で予備調査が行われました。『コシヒカリ』並みの収量、『ササニシキ』を上回る食味との評価でしたが熟期の遅さと玄米品質の低さから一年で打ち切り。翌年の品種特性解析試験では玄米千粒重の重さと食味の良さが判断され、今回の交配相手として選ばれました。


交配初年、得られた種子数は27粒。同年に世代促進温室で8個体をF1培養。
翌平成11年(1999年)、圃場に栽植されF2育成。同年世代促進温室でF3培養、得られた種子重量は48.7gでした。
平成12年(2000年)、F4世代864個体を圃場に展開【集団内容・中世の晩~極晩生、短稈~長稈】。
この864個体の中から出穂期中生の晩~晩生、短稈~長稈、穂数多、耐倒伏性の強い33個体を選抜。さらにこの33個体の中からアミロース含有率が低く、品質と草姿の良好な23個体を室内選抜。
平成13年(2001年)、23個体を単独系統として
熟期、草姿、耐倒伏性他立毛有望度、葉いもち圃場抵抗性及び耐冷性検定結果から圃場において18系統を選抜。
さらに品質、玄米粗タンパク質含有率により8系統まで絞られます。

平成14年(2002年)、8系統は『庄3182~庄3189』の育成地番号が付され、この中から『庄3187』(これがのちの『つや姫』)系統のみが選抜され、生産力検定試験、特性検定試験、翌平成15年(2003年)からは系統適応性検定試験に供試されます。
平成15年(F7世代)は冷夏・冷害、平成16年(F8世代)は台風15号による潮風害に見舞われ、生育特性の試験は揮わなかったものの、『コシヒカリ』『はえぬき』を上回る良食味が評価され、平成17年(2005年)F9世代に 『山形97号』の地方系統番号が付されます。
『山形97号』はその後、4年間(F9~F12世代)の県内奨励品種決定調査で有望と認められ、平成21年(2009年)山形県の奨励品種(奨励)となります。

同年、名称公募3万4,206件の中から選ばれた7候補から県民投票および検討の結果、名称を『つや姫』に決定しました。


系譜図

宣伝ではよく、「山形県の産んだ亀ノ尾の血を受け継ぎ…」と言われてますが、詰まる所コシヒカリの血を継いでいるんです。
交配組合せになっている『山形70号』、『東北164号』共に、その親にはコシヒカリの血が受け継がれています。
やはりここでも『亀の尾(4号)』、『旭』と現代日本の良食味米の始祖達の存在が大きいことに気付かされます。

山形97号『つや姫』 系譜図


参考文献

〇水稲新品種「つや姫」(山形97号)の育成:山形県農業総合研究センター水田農業試験場
〇つや姫公式HP:https://www.tuyahime.jp/



関連ページ


『つや姫』おにぎりセブンで販売!









品種名・産地品種銘柄・商標の違いについて



















つや姫 顔アップ

4年前に『つや姫』の米っ娘をデザインした当初に描いたものです。
仲間内で「姫って言ったら擬人化だろう」というふざけた話から私が勝手に暴走していって作った最初の米っ娘がこの『つや姫』でもあります。(本当の超初期にはヤンデレで眼つきも悪く、鎌を持ち、しかも3人いるというカオスな状況…)


ようやく形の定まったこのころですが、髪形や頬の数字デザインが今と少し違います。(しかも頭から稲が…)


あの頃は姫のダッシュ力が鈍りはしないかと少し心配していましたが、私の心配などなんのその、日本一の米の座へと今も上り続けています。
ただ、安心はできません。
日本各地で特A米目指して、つや姫と同地位を狙った品種が生み出されています。

がんばれ山形米!
がんばれつや姫!

新潟酒72号『越淡麗』 ラフ設定

酒造好適米『越淡麗』 ラフ設定画

信交酒480号『ひとごこち』 ラフ設定

酒造好適米『ひとごこち』 ラフ設定画

広酒2号『八反錦1号』&広酒3号『八反錦2号』 ラフ設定

酒造好適米『八反錦1号』&『八反錦2号』  ラフ設定画

ブログ アーカイブ

最近人気?の投稿