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2020年3月30日月曜日

【粳米】~旭(朝日)~【特徴・育成経過・系譜図・各種情報】

地方系統名
 『ー』
品種名
 『旭(朝日)
発見年
 『明治42年(1909年) 京都府 山本新次郎氏』
交配組合せ
 『日の出より選抜』
主要生産地
 『ー』※岡山県育成の『朝日47号』が岡山県で『朝日』として銘柄指定
分類
 『粳米』
水稲品種「旭(朝日)」の擬人化イラスト
旭「日出ずる国の、行く先に幸あれ」





どんな娘?

米っ娘たちのとりまとめ役、太夫元六米の一角。

東の『亀の尾』と並んで、西の良食味米として名を馳せた『旭(朝日)』。

太夫元六米のなかでも最も若く、筆頭になりそうなものですが、亀の尾とは違ってどこかふらふらしていて一所に定まりません。
なのでもっぱら実務関係は亀の尾に任せっきりな部分が多い。
あちらこちらで目撃情報があるまさに神出鬼没の状態で、当人以外が用があって探そうとするとかなりの苦労を強いられます。(ドッペルゲンガー的な目撃例も多々あり。)

とは言え、見識と教養は亀の尾同様かなり高く、処理能力の高さと速さは亀の尾以上との声も。(悪く言えばさっと現れてやることやればさっと消えてしまう)
米っ娘たちにとって頼りがいのある姐さんには変わりない様子。
助言が欲しいとき、話を聞いて貰いたいときには自然と現れてくれるとかくれないとか・・・



概要

こちらも在来に分類されるであろう古参品種の『旭(朝日)』。
西日本を中心に良食味米の代表種として広がったとされていますね。

京都府の試験場が命名(改名)した『旭』ですが、”京都”の”旭”であるから『京都旭』では本当はありません。
京都府で育成・普及された旭系品種は『旭1号』であって、『京都旭』と呼ばれる品種は愛知県で選抜育成・普及された純系淘汰品種です。
昭和時代の滋賀県の試験の記録を見ても「京都府産『旭1号』」「愛知県産『京都旭』」と区別しています。
ただ…前者のような意味で「京都旭」が使われている節もあるのですが…もうどっちの意味の”京都旭”かわかったもんじゃないですね(投げやり)
京都の記録をたどっていくと”京都旭”があるのかもしれません。


明治後期、西日本では『神力系品種群』が多数を占めていましたが、その『神力』は登場当初の明治初期であれば兎も角、米の品質や耐病性などは決して高いとは言えない品種です。
しかしそれでも収量性の高さは高い評価を受けていたのでした。
しかし、京都府で生まれたこの『旭(朝日)』は、その主力品種『神力系品種群』に対して、収量・米の品質・耐病虫害性、そして食味と、すべてにおいて優っていました。
これほど優秀な品種が広まらないわけがなく、西の『神力』に代わり西の『旭』と称されるまでに至ります。

ちなみに
育成者である山本氏が命名する以前から、『旭』と『朝日』と命名された品種は日本中にあったようで、県によって表記が変わっています。
※後述しますが、当ブログでは育成者本人の命名より、より多くの地域で使われた事を重視して、表記『旭』をメインにしております(完全な個人による独断と偏見)

山本氏が命名した当初の名称は『朝日』とされています。
京都府では在来で『朝日』という品種が既にあったので山本氏育成の品種を『旭』とした(…そうなのですが、京都府からではなく直接山本氏から配布を受けた愛知県でも『旭』としているようで、全国的に別種『朝日』が多かったのか、京都府に倣ったのか詳細は不明です。
そして『京都旭』の別名でも有名…なようにネット上では書かれているのですが(前述)、『京都旭』を育成したのは愛知県(大正3年~大正10年)で、京都県が育成した旭は『旭一号』(大正4年~大正7年)、とこれまた非常にややこしい状況です。(どっちが本当?どっちも本当?)
京都府に『朝日』と言う品種があったことは確かで、品種の特性・形態から見ても山本氏の『旭』と明らかな別種であることは確かです。

兎にも角にも、全国的に見て表記『旭』(旭系品種群)としての普及が最も多く、兵庫県と岡山県と静岡県(?)のみ『朝日』(朝日系品種群)として普及していたようでした。
兵庫県と岡山県は在来に『旭』があったので『朝日』とした・・・とする表記も見かけたことがあるのですが、ソースが不明。
兵庫県農技センターは「なぜ改名したのか不明」(http://hyogo-nourinsuisangc.jp/17-zakkan/zakkan-1907.html)と言っていますし、なんとも不明瞭。

古い品種に関しては誤情報がかなりの頻度でネットに上がっているので注意が必要ですね。


『コシヒカリ』との関連性

『コシヒカリ』につながる系譜としては、『コシヒカリ』の母親『農林22号』のさらに母親『農林8号』まで遡ります。

この『コシヒカリ』の祖母に当たる『農林8号』の父親、『コシヒカリ』から見て曾祖父が『朝日』となっています。
『農林8号』は兵庫県が育成した品種ですので、『朝日』も兵庫県で普及していたものとなりますね。(とは言え、下でも紹介していますが兵庫県の『朝日』はちょっと取り寄せ先が不明瞭…)
西日本津々浦々で栽培されていた『朝日』の子品種達が全て祖先と言うわけではなく、この兵庫県の『朝日』がその祖先となります。


…じつはこの『朝日』は京都府の『旭』ではない可能性も…?


現代の『朝日』(『朝日47号』)

岡山県農事試験場では大正6年(1917年)に京都府から『旭』を取り寄せ、『朝日』に表記を変更しています。

大正6年(1917年)~大正13年(1924年)まで品種比較試験に供せられました。
大正14年(1925年)には、『朝日』から純系淘汰選抜を開始しており、昭和5年(1930年)には『朝日20号』『朝日47号』『朝日49号』の3品種が残存しています。
昭和8年(1933年)には『朝日20号』と『朝日49号』が廃棄され、残る『朝日47号』が令和現代にいたるまで系統保存・栽培されているそうです。
独自に自家採種している農家さんもいないとは言いませんが、系統保存の精度から言えば現代で『朝日』と呼ばれる稲品種は、子品種(純系淘汰)の『朝日47号』とするのが妥当でしょう。

と言うことで
岡山県で系統保存されている『朝日47号』については、現代の基準で耐倒伏性も葉いもち病抵抗性も「弱」との評価で、これが昔は「病気に強く倒れにくい品種」とされていたことから、当時の主力品種は現代の品種と比較してより病気抵抗・耐倒伏性が弱かったことが想像できますね。
脱粒性も「極易」で、穂発芽もしやすいことからコンバインでの刈り取りはかなり苦労するようです。

ちなみに
ジーンバンクに保存されている兵庫県の『朝日』とされる品種は耐倒伏性は「強」で脱粒性は「難」と違うのが、果たして純系淘汰による育成の違いなのか、同音(名)異種なのか不明です。

異名同種『朝日』備忘録

古い資料の調査で見つけたものを忘れないように書き残しておきます。

○滋賀県『朝日』
滋賀県立農事試験場設立当初、明治28年(1895年)の時点で滋賀県東浅井郡原産の『朝日』が種類試験(品種比較試験)に供試されています。
後世に有名となった『旭(朝日)』とは違って、「発育遅くて軟弱なり」となかなか酷評されてます。
また、翌明治29年には栗太郡原産の『日出(ひのいで)』も追加されています。
(京都の『日の出』との関係は不明ですが)



育種経過

明治42年(1909年)、京都府乙訓郡向日町字物集女の篤農家、山本新次郎氏が在来品種『日の出』の中に倒伏しない2穂があるのを発見し、それを翌年に栽培。

倒伏にも強く、病害虫にも強い(当時の主力品種比)この変異株を、山本氏は『日の出』にちなんで『朝日』と命名しました。

山本氏は京都府農事試験場にこの『朝日』を持ち込み、京都府は品種試験に供し、好成績を得たとされています。
京都府では既に丹後地方に『朝日』という名前の品種があったため、『旭』と命名、後に純系淘汰を行い大正7年(1918年)には『旭1号』を育成しています。
大正時代、多くの県にこの『旭1号』が配布されたものと思われ(後述図参照)、各県で選抜試験も行われ、”旭系統”品種は西日本を中心に急速に広まりました。

京都府ではこの後も純系淘汰により旭系の品種育成が進められたようです。
昭和11年(1936年)段階で『旭1号』(8,233ha)、『旭2号』(2,280ha)、『旭3号』(2,201ha)、『旭4号』(9,588ha)が確認でき、この旭系品種達が京都府の水田の6割を占めています。

そんな『旭系品種群』の盛んな京都府ですが
起こりである大正時代、京都府の選抜以前にも、山本氏は独自に各県試験場、もしくは各県へ在来『朝日』を配布していたようです。
愛知県では独自に選抜して『京都旭』を育成、鹿児島県も京都府農事試験場の選抜前である大正3年に『旭』を取り寄せたことになっています。
このように必ずしも京都府選抜の系統のみが広まったわけではないようです。

岡山県、兵庫県では『朝日』の名称で広まったそうですが…ジーンバンクの兵庫県原産『朝日』のデータを見る限り、本当に同種なのかちょっと微妙?
静岡県にも在来から選抜したとされる『盤田朝日3号』が広まっていましたが、これが同じ旭系統か不明。

ということで本当に同音異種の多い「あさひ」ではありますが、山本氏選抜の『朝日』の後継品種達が日本中に広まったのは確かなようです。
これら『旭(朝日)』の子品種達(旭(朝日)系品種群)は昭和7年(1932年)には約330,000ha、昭和11年(1936年)には約530,000haと関東以西の3分の1の面積を占めるに至りました。


旭一族?概要図

前述で同音異種、異音同種どうこうたくさん書きましたが
非常に混乱すると思いますので、その関係性をサラッとまとめました(推測含む)。

「京都府から取り寄せ」と言う表記が「京都府農事試験場から」なのか「京都府(地域)から」なのか判別がつきませんので曖昧なところも多いデス。

長崎県の『第一旭』や熊本県の『旭号』ははたして、山本氏の『朝日』系列なのか?
愛媛県、徳島県の試験した『旭』とは、山本氏の『朝日』系列なのか?
静岡県、兵庫県の『朝日』とは、山本氏(以下略

誰か教えてくだちい。
『朝日47号』のみ昭和育成


ちなみに、愛知県は『京都旭』の育成の後『愛知旭』や『千本旭』も育成してそれなりに普及したのですが…この2品種は名前からして紛らわしいのですが、交雑育種法で別品種を掛け合わせているので、果たして『旭系品種群』に加えていいものか…


系譜図

旭(朝日)系譜図



参考文献(敬称略)

◯博士論文「イネ品種”朝日”における脱粒性の改良に関する研究」:大久保和男
○農事試験成績報告第一:滋賀県農事試験場
○農事試験成績報告第三:滋賀県農事試験場


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2016年3月3日木曜日

イラスト『始祖米っ娘 ひな祭り』

題材
 『雛祭り』

登場品種
 亀の尾
 朝日
 大場
 愛国
 上州
 神力
 (雄町)
 (山田錦)
亀の尾「あの…なんで私が内裏なんでしょうか?」


H28.3月作品

お雛様です。
装飾多すぎて力尽きました。

上段左(内裏様)     『亀の尾(亀の尾4号、他)』
上段右(お雛様)     『旭(朝日、他)』
中段左(くわえの銚子) 『大場(森多早生、他)』
中段中(三方)       『愛国(銀坊主、他)』
中段右(長柄の銚子)  『上州』
下段左(小鼓)        『神力(撰一)』
あとほぼ見えてませんが…
『神力』の右が『雄町』、その右が『山田錦』です


日本の良食味米の始祖と呼ばれる米として「亀の尾」「旭」を挙げましたが、遺伝子的には始祖と呼べる米は6品種あるようです。
それがこの絵の中で顔が映っている6人の米っ娘、太夫元たちです。
亀の尾、旭、大場、愛国、上州、神力…日本の現代のお米たちの始祖となる彼女らは実際数多くの品種を持つ品種群と言ったほうが正しいでしょうか?
固定もしっかりとなされず、各地に普及した彼女らはそれぞれの地域でそれぞれ適した血統のみが選りすぐられていきました。
そんな彼女らはほんの一部、現代でも粳米として生産されたり、酒造好適米として使用されています。
ちなみに
あくまでも追跡できる範囲で管理人個人が『始祖』と呼んでいるだけで、本質的な始祖とは異なります、あしからず。
彼女ら個人の話はまた後程…

しかし…始祖米『上州』さんはまったく情報がありません。
インターネットでのヒットほぼ皆無です。

2016年1月31日日曜日

漫画『序章 つや姫・はえぬき・どまんなか』~工事中~

米っ娘桜源郷。
米っ娘たちが暮らす桜咲き誇る里である。

今日のお話は『ア』の姉さんの社から…


~工事中~
鋭意製作中ですがひとまず出来ただけ上げていきます。



◎登場人物◎

○『ア』の姐さん
米っ娘たちの母親代わり。
米っ娘たちの食事は主に彼女が支給している。
米っ娘達より遥かにデカいです。
○亀の尾
旭と並ぶ始祖にして起源である古参米。
各組の太夫とは別、太夫元六米のうちの一人。

○旭(朝日)
東の亀の尾、西の旭。
日本の良食味米の始祖にして起源である古参米。
太夫元六米のうちの一人。
○山形97号『つや姫』
この時は交配されたばかりで系統名もついていません。


○山形45号『はえぬき』
この頃にはもう立派な山形の主力になってました。
…宣伝はうまくいってなかったけども…

○山形35号『どまんなか』
悲しい過去なんて気にしないの!

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