2017年3月29日水曜日

平成28年度食味ランキング 新規特A獲得組


平成28年度 日本穀物検定協会 食味ランキング

なんだかキヌヒカリ一族の躍進がすごい…気がする。
結局キヌヒカリもコシヒカリの血を引いてますし、はるみ、夢つくしに関しては片親がコシヒカリですし、キヌヒカリ一族と言っていいのか怪しい気もしますが…細かいことは気にしない!

ちなにみ湘南6号『はるみ』は国や県と言った公的な農業試験場ではなく、民間(全農営農・技術センター)で育種された品種で、民間開発品種で初めて奨励品種に指定されたとのこと。
奨励品種への採用とともに特A獲得でスタートに弾みをつける形になりました。
そんなはるみはなんだかんだ言って(と言うのも失礼かもしれませんが)コシヒカリの子品種。
コシヒカリはやはり遺伝的に非常に優秀な品種だと改めて感じさせられます。

地球温暖化による気温上昇が問題にされて久しいですが、水稲品種も耐高温性品種が増え、特A獲得品種内に占める耐高温性品種の割合も増えているように思えます…と言うか新登場の品種は北海道・青森県あたりを除いて耐高温性がデフォルトになりつつあるという事なのでしょう。


※てんたかくとてんこもりは特に姉妹品種と言うわけではありません、あしからず。


※作中『湘南6号 はるみ』の交配を「コシヒカリ×キヌヒカリ?」と「?」をつけているのはどうにも交配組み合わせがはっきりしないからです。
民間育種(全農)だからかわかりませんが、確たる情報源が見当たらず、どちらが母本でどちらが父本か、ネット上の情報が錯綜しております。
仮に米品種大全5を信用して「コシヒカリ×キヌヒカリ」としております。
※H29.4.1追記
『混乱している』としていたのは
米品種大全5ではコシヒカリが母本、キヌヒカリが父本
なのに
育成元の全農営農・技術センターの広報(グリーンレポートNo.506(2011年8月号))の系統図では「キヌヒカリ」が上段「コシヒカリ」が下段になっていたからでした。(通常、系統図は上段が母本、下段が父本です。)
…ということで、上記の内容を出版元の㈱米穀データバンク様に問い合わせしてみましたところ、ご回答いただけました。
『全農営農・技術センター農産物商品開発室』に問い合わせして回答を得たところによると、湘南6号『はるみ』は米品種大全5に掲載の通り『コシヒカリ』母本、『キヌヒカリ』父本で間違いないそうです。
結局、4全農営農・技術センターの広報(グリーンレポートNo.506(2011年8月号))の記載系譜図が間違っていたか、もしくは論文のような正式な発表文書でもないので母本父本を意識しないで作ったか、どちらかのようです。
㈱米穀データバンク様、ご対応いただきありがとうございました。






平成28年度 日本穀物検定協会 食味ランキング










2017年3月27日月曜日

平成28年度食味ランキング 特A評価復刻組も増加


平成28年度 日本穀物検定協会 食味ランキング

コシヒカリやコシヒカリ御三家の特A獲得数減少、熊本県くまさん姉妹、山形県はえぬき等、特A獲得常連がA評価等と乱戦気味。
代わりと言うわけではないですが、特A評価復帰組、特にキヌヒカリやハツシモ岐阜SLといった20年来の品種の特A評価復刻もありました。

キヌヒカリは平成4年の茨城県産が最後の特A獲得。
今年度は産地が変わって京都府丹波産で23年ぶりの特A評価。
キヌヒカリの直系、きぬむすめ、夢つくし。はるみ、またその子品種にこまる等の活躍が目立つ中、キヌヒカリ自身もようやく評価されました。

ハツシモ(ハツシモ岐阜SL)は岐阜県美濃産が平成7年来、20年ぶりの特A評価獲得。
コシヒカリの血が混じっていない旭の直系品種が高評価を得て復権への足掛かりとなるか。
(ただし、正確にはハツシモは平成21~22年にハツシモ岐阜SLへの全面切り替えが行われていますので、同じ条件とは言えないのかもしれませんが、そんなこと言ったら基準米だって変わっていますし?)
余談ですが
コシヒカリBL問題で散々騒いでいた評論家(笑)他有象無象サンたちはハツシモ岐阜SLの切り替えには触れてもいません。
所詮コシヒカリBL問題などと言うのは売名行為だけが目的のろくでなしたちがただ騒いでいただけと言うのがよくわかりますね。

四国で初のオリジナル特A獲得品種『おいでまい』も平成28年度に特A評価復帰。
他四国2県も『にこまる』で特Aを獲得。
近年まで米として話題に上がることがなかった四国県産米でしたが、これは高品質化の表れか?

代わって振るわないのが九州産米。
佐賀県さがびより、鹿児島県あきほなみと連続特A獲得米はあるものの
熊本県産はヒノヒカリが特Aだったものの森のくまさん、くまさんの力二品種がA'。
にこまるも四国2県で特A獲得も長崎県産がA’。
福岡県の元気つくしもなかなか特A評価復帰が果たせません。

ただし
ただし
何度でも言いますが何度でも何度でも言いますが
食味ランキングの評価は絶対的な評価ではありませんので、そのコメの美味しいマズイを断定できるものではありません。


ちなみに
日本穀物検定協会の食味ランキングは『基準米に対する相対評価』であり、絶対的評価ではないことはお忘れなく。
その基準米もその年によっては変わっていますので、これまた毎年の評価を単純比較できないこともお忘れなく

基準米
 昭和49年        兵庫県姫路市産『日本晴』
 昭和50年~平成13年  滋賀県湖南産『日本晴』
 平成14年~平成17年  近畿圏産『日本晴』『コシヒカリ』【ブレンド米】
 平成18年~       複数産地『コシヒカリ』【ブレンド米】

平成28年度 日本穀物検定協会 食味ランキング









2017年3月21日火曜日

平成28年度食味ランキング 特A変動多し


平成28年度 日本穀物検定協会 食味ランキング

ひとめぼれ、落ち着きなさい。

平成27年度はコシヒカリとコシヒカリ御三家(ひとめぼれ、あきたこまち、ヒノヒカリ)が特A獲得産地品種の多くを占めましたが、平成28年度は逆にコシヒカリ御三家は後退、キヌヒカリ一族他、地方の品種が特Aに新規・復帰・増加しました。

ヒノヒカリは毎年安定して特A獲得とはいってないのですが、昨年に比較して平成28年度産は特A獲得産地品種が大幅に減りました。

つや姫も島根県産が特A評価獲得ならず。

あきたこまちも元々特A獲得産地が少なかったのですが、今年は秋田県県南産のみが特A獲得。

ただ何度でも言いますが
米の食味ランキングは、主な産地品種銘柄について、日本穀物検定協会がその供試試料を食味試験した結果に基づいて評価するものであり、流通するすべてのお米を評価しているものではなく、特A評価に関しても商品そのものを評価するものではありません。


ネット上では『食味ランキングなんてあてにならない』『特Aだから買ったのに不味かった』などと偉そうにドヤって宣っている方がいますが当然です
特A評価産地品種でもピンからキリまで、A評価産地品種でもピンからキリまで、当然A'評価産地品種にしてもピンからキリまでありますから、美味しい美味しくないも当然あります。
ランキングを発表している日本穀物検定協会自身が広報しているものをわざわざ繰り返し言って詰まるところ何が言いたいのかわかりませんねぇ…



平成28年度 日本穀物検定協会 食味ランキング








2017年3月20日月曜日

青森県産『青天の霹靂』 順調に特A重ね


ちょっとだけ続きます


平成28年度 日本穀物検定協会 食味ランキング

平成28年、青森県の『青天の霹靂』は、平成27年の青森県中弘南・津軽・青森中央産から青森県津軽産へ一本化(?)。
堅実に特A評価を勝ち取りました。
正式に食味ランキングに参加してから2年連続の特A獲得(H26の参考品種時代から数えて3年連続)

本州北限に位置する青森県。
りんごを代表として農業の盛んな県ですが、稲に関してだけは本州に適合する品種も、北海道に適合する品種も適さないという絶妙な気候の土地柄。
同じく農業の盛んな東北各県は常時何かしらの品種で特A獲得、同じように冷涼な気候の北海道ですらななつぼし、おぼろづき、ゆめぴりかと特A獲得・良食味米の凱歌を上げる中、一人取り残される形となっていた青森県。
『青天の霹靂』の登場でようやく追いつき追い越せの状況となりました。

かつては北海道と同じように冷涼な気候から(失礼ながら)『不味い』『安い』『見た目の悪い』業務用として、市販されるコメの値段調整用・混ぜ込み用としての生産が主流であった青森県。
(ただし、そのような冷涼な青森県で育成された耐冷性の強い品種が他県で活躍したことは特筆しても良いのではないだろうか)
昭和60年代から平成初期にかけて『むつほまれ』や『つがるおとめ』などの県独自品種を打ち出すものの、食味・品質・収量の面で他県の主要品種と比べた場合、どうしても見劣りするというのが正直なところでした。
ただし着実に育種は進み、平成9年に奨励品種に採用された『つがるロマン』はついに単一品種として売り出せるほどの良食味・良品質を持つに至ります。(北海道でいうところの『きらら397』でしょうか)加えて平成17年には業務用米の品種として『まっしぐら』が登場。
ただ、良食味・良品質が認められた『つがるロマン』をもってしても『食味ランキング特A獲得』は成らず、平成も20年代に入ると北海道で『ななつぼし』『ゆめぴりか』が連続して特Aを獲得。
さらに他の都道府県でも独自品種が産声を上げ始めたのもこのころ。
『つがるロマン』の栽培方法を徹底して特A獲得を、との声もあったそうですが、青森県は当時有望な系統が育種中であったこともあって新品種に青森県の悲願をかけました。
それがいまの青系187号『青天の霹靂』。
青森三女の今後の躍進が楽しみですね。

そういえば低アミロース米の『あさゆき』も登場していましたね(擬人化の予定は…う~ん…)
青森県はまず、冷涼な気候から耐冷性・耐病性・耐倒伏性に優れていなければまず稲作ができないという厳しい環境です。
他県の奨励品種が青森県ではほぼ姿がないことからも、その環境の違いは分かるかと思います。
その様な厳しい環境下で『青天の霹靂』のような極良食味米が誕生したことは、ひとえに稲の育成・育種に携わってきた方々の連綿と続く努力のおかげに他ならないでしょう。

ただし!
しつこいと言われようが何度でも言わせていただこう
山形県も負けないよ!


平成28年度 日本穀物検定協会 食味ランキング







2017年3月19日日曜日

【糯米】山形糯87号~こゆきもち~ 【特徴・育成経過・系譜図・各種情報】

地方系統名
 『山形糯87号』
品種名
 『こゆきもち』
育成年
 『平成18年(西暦2006年) 山形農総研センター庄内支場』
交配組合せ
 『わたぼうし×山形糯55号』
主要産地
 『山形県』
分類
 『糯米』

…こゆきもち…です…よろしくお願いします…


どんな娘?

引っ込み思案で非常におとなしい娘。

声も小さいので、注意していないと聞き逃されることも多い。
加えて泣き虫で気弱なので他人に話しかけるのが苦手。
特に滋賀羽二重糯が苦手になってしまった。


概要

山形県で約40年ぶりに登場した県オリジナル糯米品種、『こゆきもち』の擬人化です。
(先代の『でわのもち』は昭和41年(1966年)に育成されました。)

耐冷性は「強」、平地のみならず中山間地での栽培も可能です。
耐倒伏性に関しても、稈長は『ヒメノモチ』より長いものの、茎が強く頑丈なため『ヒメノモチ』より強い「やや強」となっています。
収量に関しても反収が553kg(『ヒメノモチ』比約5%増)と農家にとってもありがたい話ばかり。

その餅質は生餅の状態で大変伸びがよく、硬くなりにくい特性があります。
「硬くなりにくい」と言う特性から、大福餅や生菓子など柔らかさが売りの商品への適性が高いと言われます。

隠れた米王国山形県、粳米『はえぬき』に続き『つや姫』、酒造好適米『出羽燦々』に続き『雪女神』と各代表新品種が台頭する中、糯米も『でわのもち』に続くこの『こゆきもち』。
新世代品種達の躍進に期待です。


育種経過


平成7年(1995年)に農業試験場庄内支場(現・水田農業試験場)で母本『わたぼうし』父本『山形糯55号』を交配し、その後代から数々の試験と分析を経て、既存の糯米品種と比べ優れた性質を持つ糯品種として選抜されました。
平成18年(2006年)に山形県の認定品種となり、平成20年(2008年)から一般作付け(初年度約8ha)が開始されました。



系譜図


山形糯87号『こゆきもち』 系譜図


参考文献

〇水稲糯新品種「こゆきもち」(山形糯87号)の育成:山形県農事研究報告


関連コンテンツ



2017年3月12日日曜日

新潟県産コシヒカリ 堅実に特A重ねる 


平成28年度 日本穀物検定協会 食味ランキング

「あら?コシヒカリ、どうしましたの?」
「コシヒカリBL~今年度の食味ランキングの結果が出たわよ~」

「コシヒカリ(コシヒカリBL)は14産地品種が特Aよ~。新潟県産も特A堅持ね~」
「…」じーっ…

「…何言ってますのよ!新潟県岩船産がA評価に落ちてるじゃありませんの…私の力不足ですわ…」
「何言ってるの~そんなこと言ったら私だって昨年度の特A産地で5産地がA評価になってるわよ~」

「そもそも岩船産が特A評価を受け始めたのはコシヒカリBLに代わってからよ~えらいえらい。」
「…う…いつまでも子ども扱いしないでほしいですわ…」

平成28年度コシヒカリは合計14産地品種が特A評価を受けました。
平成27年度の食味ランキング特A表19産地品種から比べるとその数を減らしてはいますが、品種として特A獲得数はいまだダントツ。
○特A評価から後退【6産地品種】
『新潟県岩船産』『富山県産』『石川県産』『長野県南信産』『三重県伊賀産』『佐賀県』
○新規特A獲得【1産地品種】
『福島県浜通産』
○産地変更【1産地品種】
『兵庫県産』→『兵庫県県北産』

新潟県魚沼産コシヒカリはその特A連続記録を堅持。
平成28年度産は特A評価を堅持していた産地品種(宮城県産ひとめぼれ、山形県産はえぬき等)がA評価、代わって多くの特A産地品種が出るなど乱戦気味ですが、そこはさすが『米どころ日本一』を自負する新潟県魚沼です。
………
サンプル取り違え…←しつこい
食味ランキングに特Aが制定されて以来唯一の28年連続特A評価です。
山形県産はえぬきの特A連続記録が止まったことで、連続獲得記録で彼女を上回る品種が出るのは、あっても当分先になりそうです。
デビュー当時は無責任な『評論家』とやらがコシヒカリBL叩きを散々行っていましたが彼女は法的に国からコシヒカリの後継者として認められており、そして今もその役目を立派に果たしています。(その『評論家(笑)』は今やまったく別の他の話題に夢中ですが…笑えませんね)

…とは言え何度でも言わせてもらおう。

私だって負けないよー!





蛇足


そういえば
近年の新品種の台頭から絶対的ともいわれてきた『新潟県産コシヒカリ』のブランド力が落ちてきているそうです。
新しいものが大好きな人間です。
北海道ゆめぴりか、青森県青天の霹靂、山形県つや姫等々…高級路線の品種が増えれば相対的に価値が下がるのは致し方ないこと…でしょうか。
しかしこの期に及んでも
『新潟県はコシヒカリBLを作っておりコシヒカリではない』→『コシヒカリBLは味が悪い(断言)』みたいなことを言ってる輩が度々います。
コシヒカリBL批判家のほとんどは『①私が食べてみると不味かった!』『②友人にも味が落ちたと言われた!』『③科学的にも種苗法的にも違う品種!』『④遺伝子組み換え!危険!』
①お前の舌は超技術かよ(未だ画一的な味覚判断装置はないというのに、そんな超技術の舌をお持ちのようです。)
お前の友人は二千人超いるのかよ(『意味のある』統計取るにはこのぐらい必要なはずですが…?)
③そんなこと当の新潟県自身も公表してるし国も認めてるわ(その上で『コシヒカリ』として売ることを法的に認めています。)
④笑うしかない(流石にこれはほんの少数…と思いたい)
と、その様な記事・ブログを書いている人にそこまでの悪意はないのかもしれませんが、問題はこれを見た考え無しの人間が悪意だけを残して拡散することです。
「コシヒカリBLは不味い、悪い」はなんら根拠のない妄言です。
勿論、食品の味と言うものは相当に個人の主観が入るものですので、私自身も「コシヒカリBLはコシヒカリと全く同じ味だ!違うはずがない!」などと妄言を振りまくつもりもありません。
自身が感じた味をどう表現しようがどう発信しようが個人の自由です。
ただし
客観的情報から判断する限り、『コシヒカリ』と『コシヒカリ新潟BL』を同等とすることには何ら問題はありません。




平成28年度 日本穀物検定協会 食味ランキング



2017年3月8日水曜日

宮城県産ひとめぼれ 連続特A逃す

宮城県産ひとめぼれに衝撃

平成28年度 日本穀物検定協会 食味ランキング

ひとめぼれは4産地品種が特A評価。
特A評価を受けた産地数は平成27年度と変わりませんでした。

ひとめぼれの本家と言える宮城県では、冷害で不参加だったという平成15年を除いて県産ひとめぼれが連続で特A評価を受け続けて(あくまで『宮城県』という大きいくくりで、ですが)きましたが、平成28年度産では初のA評価陥落となりました。
その代わりに岩手県県中、大分県でひとめぼれがそれぞれ初の特A評価。
○特A評価より後退【2産地品種】
 『宮城県産』『福島県会津産』
○新規特A獲得【2産地品種】(共に初)
 『岩手県県中産』『大分県久大産』

やはり平成28年度の食味ランキングは波乱続きです。
本当にサンプル取り違えしてませんよね?←しつこい

しかしまぁ特Aランク年次表を見ていただければわかりますが意外と穴だらけで県北・県中産共に特A逃している年がありますし、参加していないって言っても平成15年抜けていることは確かですし…「連続特A逃す」って言ってもあんまりしっくりきません。
山形県産はえぬきショックに比べれば…
それでもやっぱり生まれた地、ひとめぼれの地元と言える宮城県でのA評価は悔しいところ。
表面上の特A獲得数は兎も角、やはりこれは試合に勝って勝負に負けたというやつでしょうか?

ちなみに現品種中純粋な意味での最長連続特A評価を受けている『岩手県県南産ひとめぼれ』は平成28年度もめでたく特A評価(13年連続)。
金色の風&銀河のしずくで賑わう岩手県ですが、このひとめぼれももっと宣伝してよいのでは?


※岩手県県中及び大分県久大のひとめぼれ生産者の皆様、アッツ・キスカとの表現はあくまでネタですので平にご容赦を…
え?そもそも意味が分からない?
それはそれで結構でございます。
悪意はないという事だけご了承ください。

平成28年度 日本穀物検定協会 食味ランキング





2017年3月4日土曜日

【粳米・掛米】山形100号~出羽きらり~ 【特徴・育成経過・系譜図・各種情報】

地方系統名
 『山形100号』
品種名
 『出羽きらり』
育成年
 『平成22年(西暦2010年) 山形県 県農業総合研究センター水田農業試験場』
交配組合せ
 『山形75号×ちゅらひかり』
主要産地
 『山形県』
分類
 『粳米(掛米用品種)』

出羽きらりです。大きくなれるよう頑張ります!




どんな娘?

(管理人の独断と偏見で)なんでか大きくならない小さい娘。
(それでもこれでも平成23年のデビューから成長著しい!…はず)

酒米の分野では山形酒米三姉妹の後ろに隠れ気味、山形県の看板としての役割はつや姫と雪若丸の後ろに完全に隠れる小さな娘。
そんな目立たない存在ながら、あれやこれやと人の世話を焼くのが好き。

物静かな性格ですが、一人で何でもできるオールマイティさは知る人には非常に頼りにされています。


概要

山形県の多用途米(掛米用品種)『出羽きらり』の擬人化です。
育成した山形農試では”酒造適性米”とも呼ばれています。

『出羽きらり』育成以前、稲作と共に酒造も盛んな山形県では、酒造好適米として『出羽燦々』『出羽の里』の基幹2品種を要し、高級酒のブランド確立に大きく貢献していましたが、一番生産量の多い普通酒において用いられる掛米専用品種に優秀なものは無く、主食用米品種の流用が主でした。
と言うのも、掛米用品種としてはまず価格の安さが求められ(つまり多収品種)、当時該当した『トヨニシキ』『ふくひびき』『雪化粧』『山形59号』といった品種は収量の不安定さ、胴割米の発生などから生産現場、加工現場両者から敬遠されていたためです。

「吟醸王国やまがた」として、酒造メーカーからも「山形県オリジナルの掛米用品種を!」との声もあり、栽培特性に優れ(耐病・耐冷性)、低タンパクかつ精米時に砕けにくく、多収の品種を目標として産まれたのがこの『出羽きらり』です。

その為、粳米(多用途米)に分類されてはいますが、大半は酒造掛米用として利用されているようです。
『出羽燦々』・『出羽の里』・『雪女神』で構成される山形県オリジナル酒造好適米三姉妹と分類は異なりますが、彼女もまた「米どころやまがた」「吟醸王国やまがた」を支える品種です。

『はえぬき』と熟期が同程度(山形県で中性の晩)で、玄米千粒重は『はえぬき』より1割程度重い(玄米一粒の大きさが大きい)。
収量性も高く、『はえぬき』(約540kg/10a)より1~2割多収(約620kg/10a)です。
雑味のない淡麗な酒質が特徴で、辛口、甘口、幅広い日本酒の味に対応が可能です。
穂いもち病抵抗性、耐冷性ともに「強」と見た目(管理人のちびっ子擬人化)とは裏腹に丈夫で栽培特性が優れています。


育種経過

平成11年(1999年)にいもち病抵抗性が強い良質品種の育成を目標に母本『山形75号』、父本『ちゅらひかり』の交配を行い、その後代から育成されました。

平成11年(1999年)8月に人工交配され、得られた種子は15粒(交付番号:庄交99-55)。
同年10月、世代促進温室でF1養成。
翌平成12年(2000年)にF2を圃場で集団養成(368個体)。
同年10月から3月まで世代促進温室においてF3を集団養成(1360個体)を行い、115gの種子を得ます。

平成13年(2001年)、F4世代より個体選抜を開始。
圃場に栽植した2160個体の集団は出穂、稈長などの変異は少なかったものの、この中から中稈で穂揃いが良好、穂重感のある196個体を圃場で選抜します。
さらに室内においてその中から玄米品質により36個体を選抜。
平成14年(2002年)、選抜された36個体(F5)を1個体1系統の単独系統として、1系統あたり30個体ずつ栽植。
出穂期、草姿、耐倒伏性といった立毛評価と耐冷性試験の結果に加えて、室内での玄米品質選抜により、29系統が選抜され、『庄3379』~『庄3407』の育成地番号が付与されます。
平成15年(2003年)F6世代より生産力検定試験、特性検定試験に供試されます。
それを受け、玄米品質、食味は『はえぬき』並みで精米玄重が多く、耐病・耐冷性が強い『庄3389』(後の『山形96号』)、『庄3404』(後の『山形100号』)など12系統が選抜されます。
平成16年(2004年)F7世代、『庄3404』は場内における生産力検定試験の他、酒田市荻島、川西町堀金、山形県立農業試験場、宮城県古川農業試験場で現地系統適応性検定試験を受けます。
しかしその結果は、収量性の高さを除けば玄米品質や耐病性、食味評価など芳しくなく、再検討となります。
平成17年(2005年)F8世代で再び現地系統適応性試験。
場所は試験場内と酒田市荻島。
その結果、玄米品質は劣るものの、収量性、葉・穂いもち病抵抗性共に『はえぬき』『ひとめぼれ』に優り、大粒で胴割れ米も少なく、掛け米として有望であるとの評価が下されます。
同年度、平成18年(2006年)2月に『山形100号』の系統番号が付与されます。

『山形100号』は平成18年~平成21年(2006年~2009年)の4ヶ年、山形県内各地で奨励品種決定調査に供試されます。
穂いもち病抵抗性”極強”、そして大粒・多収で醸造特性に優れ、すっきりと淡麗な酒質であることから有望と認められ、平成22年(2010年)2月に山形県で奨励品種(認定品種)に採用されました。



系譜図
平成23年(2011年)に『山形100号』としてデビュー、後平成25年(2013年)に『出羽きらり』へと改名。
山形100号『出羽きらり』系譜図


参考文献

〇水稲新品種「山形100号」の育成:山形農業研報



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2017年3月3日金曜日

波乱のH28食味ランキング 陥落者たち

平成28年度 食味ランキング 特A落ちが…
※『あき』三姉妹とは管理人の勝手な命名・呼称です。(秋の詩、あきほなみ、あきさかり)
 共通項はコシヒカリの血族だというくらいですがそんなこと言ったら現行品種のほぼすべてが姉妹ですワ…ということは気にしない!
 あきほなみはH25年産から特Aとってますが…細かいことは気にしない!

平成28年度 日本穀物検定協会の食味ランキングですが大荒れです。
ただし、下でグダグダ書きますが…
米の食味ランキングは、主な産地品種銘柄について、日本穀物検定協会がその供試試料を食味試験した結果に基づいて評価するものであり、流通するすべてのお米を評価しているものではなく、特A評価に関しても商品そのものを評価するものではありません。


はえぬきの陥落に始まり、よくよく中身を見れば特A常連組のはずの品種でもA評価が目立ちます。
栃木県は県オリジナルの二品種がA評価。
宮城県はだて正夢が参考品種として特Aとなるも県産としては初めてひとめぼれがA評価。
その他全国でコシヒカリ、ヒノヒカリ、あきたこまちといった主要品種も特Aの産地品種数を減らしました。
際立つのは熊本県産米。
くまさんコンビがなんとA'評価(基準米と同等)になりました。
新品種の三女『くまさんの輝き』は参考品種として特A評価を受けたものの…熊本地震の影響でしょうか?
その代わりと言いましょうか、初特A獲得米も増え…

なんだかここまでハチャメチャに変わっていると…
協会でサンプル取り違えでもしたんじゃなかろうか?
などと…ええ、しつこいとは思うんですが、失礼とは思うんですが邪なことも考えてしまいます。


平成28年度 日本穀物検定協会 食味ランキング




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