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2020年10月10日土曜日

お米に関するクイズ(超難問)

お米問題30問(試験公開中)

初級問題はお米に興味のある人なら超余裕(のはず)の問題10問
一問一点、合計10点満点。
満点なら次の中級問題へ

中級問題はお米に興味のある人ならそれなりに点数とれるレベル
ネットで検索すれば満点取れるレベル。
10問ですが問題難易度(と独断と偏見)によって点数割り振りの違う100点満点。
満点なら満足しませう。

上級問題すっ飛ばして超上級問題…は
近年の「インターネットで調べれば、ググれば簡単にわかるっしょ」をほぼ許さない極悪内容。
10問ですが配点の違う200点満点。


間違いあったらご指摘ください。
※(念のため)Googleフォームを利用して問題を作成しておりますが、メールアドレスの収拾等は行っていません。
  



クリックしてね(別サイトに飛びます)



初級で満点取れたらクリックしてね




満点取らせないための意地悪問題多数




リンクの背景と問題の難易度に一切関係性はございません



関連コンテンツ


お米クイズ(誰でも正解できるクイズ)









2020年9月6日日曜日

飼料用稲(米)とは?


飼料用稲ってなに? WCS用品種? 飼料米用品種?

(※以下このブログにおける独自設定※)

WCS用品種の首長を務める中国飼198号『たちすずか』(ひよりやま)
飼料米用品種の首長を務める西海203号『ミズホチカラ』(みなみあるぷす)
WCS・飼料米兼用品種の首長および飼米っ娘全体の首長を務める北陸187号『夢あおば』(きたあるぷす)

(※以上このブログにおける独自設定※)

…と、それ以前に
そもそも飼料用稲(米)ってなんなのでしょうか?
なんでわざわざ『コシヒカリ』などではなく飼料用稲を作っているのでしょうか?
というお話。


前段(背景)

昭和37年(1962年)に1人当たり118.3kg/年のピークに達した米の消費量は、以後下降を続け、平成2年(1990年)には70kg/年、平成28年(2016年)には54.4kg/年まで落ちています。
個人の米の消費量が一貫して減少し、さらに日本の人口そのものも減少する中で、当然全体としての米の需要量も著しい減少を見せており、平成29年(2017年)算出の値で毎年8万トンもの需要量が減少(平成27年以降は10万トン/年とペースアップ)し続けています。

そのように需要の少なくなっている厳しい状況のお米ですが、それでも日本にとっては食料安全保障、食生活、農業・農村、国土・環境などに不可欠のものであり、日本人の歴史・文化とも密接な関係にあります。
稲作や水田の持つ多面的機能(景観の保全、地下水涵養など、食糧生産以外の機能のこと)を守る観点からも、主食用米の需要が少なくなったからと言って、水田も同じように減らす、と単純な対応は出来ません。

かといって需要を無視して大量に主食用のお米を作り続ければ、値崩れなどにより日本全体の稲作が大打撃を受けかねません。
となれば、余った水田で「主食用米以外」のものを育てる必要性に迫られます。(という政策が正しいかどうかはひとまず隅に置いておいて・・・)

所謂生産調整、転作と呼ばれるもので、水田で畑作物を育てるのもその一環ですが、その中でも今回の主題となるのが「飼料用稲(米※)」です。
※ただし「米」を収穫目的物としない場合もあるのでやはり「飼料用稲」が正確か。

特に土地柄、もしくは基盤整備が不十分で湿田となっており、畑作物には向かないような場所でも、飼料用としての水稲であれば問題無く栽培でき、かつ水田としての機能も維持できるため、より幅広く耕作放棄地の防止に役立つことが期待されています。
そういった水田保護の意味を持つ以外にも、外国からの輸入に頼っている飼料の国産化による食糧自給率の向上にも寄与できるとされています。
特に世界的な人口増による穀物需要の高まりから、飼料用穀物の輸入に関しても安泰とはいえなくなった近年は、国産体制の整備が急務とされています。(という政策が正しいかどうかは(以下略))


飼料用稲とは? WCS用・飼料米用・兼用

読んで字の如く…と言えばそのままなのですが
家畜の餌として利用することを目的とした稲のことです。

飼料用と一口に言っても飼料形態で二つに大別され、地上部全体(籾、茎、葉)を収穫しWCS(発酵粗飼料) として牛の粗飼料に利用されるWCS 用(茎葉が多収)と、牛や豚、鶏の濃厚飼料として用いられる飼料米用(籾が多収)とがあります。
籾及び茎葉の両方が多収で飼料米・WCS兼用とされているものも多いです。
※ただし飼料米用は加工用や業務用として用いられている品種もあり、飼料専用ではないものもある。

そんな飼料用稲に求められる能力は4つ、「収量性」「栽培特性」「病害抵抗性」「飼料適性」です。

「収量性」「栽培特性」「病害抵抗性」は「(籾もしくは茎葉もしくは両方の)収穫量が多く」「多肥栽培でも倒れにくく」「病気などにも強く育てやすい」事が求められているのですが、これは全て「低コスト」に繋がるものではないでしょうか。
前述したとおり、家畜の飼料は海外からの輸入に頼っているところが大であり、当然その価格も日本の主食用米とはすさまじく大きな差があります。
なのでなるべく手を掛けず(病気にかかりにくい、倒れにくい)、単位面積当たりの収量もなるべく多い(たくさん穫れる)品種が飼料用稲には求められています。

最後の「飼料適性」については、家畜の嗜好性やWCS(後述)にした場合のTDN(後述)の高さなどが求められ、米の味や品質などに注目して育成される主食用品種とは違い、茎や葉の消化性の良さなど、まさに飼料用として求められる能力のことを指しています。
前述した「栽培特性」、所謂「倒れにくさ」は茎が固いことで獲得することも多く、その為にはリグニンケイ酸といった成分が多い方が良い(固くなりやすい)のですが、これらは難消化性のため、この「飼料適性」の点から見るとあまり好ましくなく、単純に倒れにくい稲を育てればそれでよしとはいきません。
飼料用品種の育成も一筋縄ではいかない事がうかがえますね。


キーワード 【WCS】 【TDN】

飼料用稲を理解するのに欠かせない「WCS」や「TDN」という単語の意味は次の通りです。


○【WCS】ホールクロップサイレージ(発酵粗飼料)
稲やトウモロコシなどの高栄養の子実と繊維質の茎葉を持つ作物をまるごと収穫し、サイレージ発酵させた粗飼料。
稲の場合、出穂期以降に刈り取った稲体をロール状に梱包した後、ラップ材でラッピングする。
稲に付着している乳酸菌(人間の手で添加する場合も多い)により発酵させ、栄養価の向上に加えて、嫌気状態となることで長期保存が可能となる。
「稲発酵粗飼料」「稲WCS」とも表記、口頭では「ホールクロップ」と略すことも(多分)。
稲WCS(ホールクロップサイレージ)
稲WCS(ホールクロップサイレージ)例(おふざけ)


○【TDN】可消化養分総量
飼料がいくら栄養素を持っていても、それが家畜に消化吸収されなければ意味がない。
そこで家畜が飼料を食べた際に消化吸収する三大栄養素、「炭水化物」「タンパク質」「脂肪」について、飼料中の何割の養分を実際に消化吸収できるか示す単位が考案され、以下の式で算出されている。

TDN含量(%)=可消化粗タンパク質+可消化粗脂肪×2.25+可消化粗繊維+可消化可溶性無窒素物
(脂肪に2.25がかかっているのは、他の3栄養素の2.25倍の熱量を持つため)

TDNの値が高いほど消化吸収されやすい飼料、値が低いほど消化吸収されにくい飼料との解釈(でいいんでしょうか…)
ただしエネルギー評価指標として精密性に欠けるとの指摘もあり。
専用品種は50%~60%のTDNとなっていることが多い。
栄養価は基本的に籾の方が高い(不消化の問題を除く)ため、籾と茎葉部分でTDN値は異なっている。

TDN(可消化養分素量)例
【注】使用している値は何の根拠もありませんテキトーです【注】
「貧籾はステータスだ、希少価値だ」




飼料用の専用品種は?(専用以外でも…)

話は戻って

農研機構を中心に専用品種の開発が盛んに行われており、飼料用としての要求を満たした新品種が数多くあり、特に飼料米用品種としては、「需要に応じた米の生産・販売の推進に関する要領(令和2年度現在)」において、国が認可している「多収品種」各都道府県が認可している「特認品種」の2つの区分が設けられています。

国の委託試験等によって、飼料等向けとして育成され、子実の収量が多いことが確認されている「多収品種」は令和2年度現在で25品種が指定されています。
概ね700kg/10a以上の収量(粗玄米重)を持つ品種が並びます。

対する「特認品種」は、一般的な品種と比べて子実の収量が多く、当該都道府県内で主に主食用以外の用途向けとして生産されているもので、全国的にも主要な主食用品種ではないもののうち、知事の申請に基づき地方農政局長等が認定した品種のことを指します。


一方で一般の主食用米品種を飼料用として使用していることも多いそうで、後述する交付金の面や収量などで不利な点もありますが、漏性稲やコンタミ(異物混入)にそれほど気をつける必要も無く、今までの栽培感覚で扱えるなどの点から一般用品種を用いる農家さんも居るそうです。(要出典…ちょっと情報精度に難あり?)

福島県の主食用米品種『天のつぶ』も生産の大半が飼料用、なんて報道がありましたね


飼料用稲の注意点


「飼料用」という新しい分野ですので、当然栽培するに当たってもいくつか注意点があります。

①コンタミの防止(飼料米用品種)
飼料米用とされている品種は当然人間が食べて美味しいお米でないことが多いです。
識別性を持たせるためにお米の品質が非常に悪い品種も珍しくありません。
そんな飼料米が一般に栽培されている『コシヒカリ』や『ひとめぼれ』に混ざってしまっては大変です。
収穫する機械(コンバイン)の清掃を徹底するなどして、主食用と飼料用が混ざることのないように気をつける必要があります。

②漏性稲への対応
前述のコンタミの防止と同様ですが、飼料用稲品種を栽培した後に主食用米品種を植えた場合、前年のこぼれ籾による漏生稲の発生にはより注意が必要です。
『タカナリ』『もちだわら』『北陸193号』などは脱粒しやすく、越冬しやすいとされています。
基本的には飼料用の水田は固定されることが望ましいのですが、熟期が遅いものを採用してそもそも熟する前に刈り取る、畑作を一回挟んで水稲をいったん根絶するなど対応が必要です。

③除草剤による薬害の確認
飼料用として育種された品種は外国の品種を交配している場合も多く、日本で栽培されている品種に一般的に使われている除草剤に感受性を示すもの(枯れてしまう)ものがあります。
ベンゾビシクロン、メソトリオン、テフリルトリオンという成分が含まれた除草剤は、従来の除草剤(スルホニルウレア)への耐性を獲得した雑草に極めて有効とされ、活用されていますが、一部の飼料用稲品種にはこの農薬成分で薬害が発生してしまうのです。
国指定の多収品種では『タカナリ』『オオナリ』『モミロマン』『みなちから』『ミズホチカラ』などで使用不能で、都道府県指定の特認品種でも『ふくおこし』や『兵庫牛若丸』などが使用不能とされており注意が必要です。
栽培予定圃場での耐性雑草発生状況、採用予定品種についても感受性の有無について確認が必要と言うことですね。

冒頭の3人衆のなかでは『ミズホチカラ』が感受性(薬害を受けます)



補助金漬け…な実態

飼料用米は平成26年度から「数量払い制度」により、収量に応じた交付金が水田活用の直接支払い交付金により支払われています。(55,000~105,000円/10a)
加えて国の追加配分として「多収品種への助成」(12,000円/10a)と産地交付金の県設定枠として「一般品種への助成」(2,000~3,000円/10a)もあります。

各都道府県によって別枠の交付金を設けているところもありますが、収量条件さえクリアできれば10aあたり12万円は補助金がもらえる計算です。

このような状況ですから“補助金漬け”との批判はあり、正直その通りでしょう。
ただこれは外国産の飼料と同じ金額で畜産農家が飼料用稲を使用できるようにするためで、それだけ外国産飼料は安く、これだけの補助金をつぎ込まなければ農家の生計が成り立たない、ということです。

これが良いか悪いかという議論はありますが、とりあえず棚上げしておいて…

そのような体制で2019年産までは国が指定する「多収品種」を作付けするだけで追加の交付金12,000円/10aが出ていましたが、2020年産からは飼料用米や米粉用の複数年契約を結んだ水田に対して12,000円/10aを交付するようになりました。
品種を選んで作付けするだけでもらえるような交付金では、農家の増収意欲を削ぎかねないということで「多収品種への助成」は廃止を含めて見直されます。
一方で、毎年の面積変動が大きい飼料用米の安定生産・供給に寄与するとして、複数年契約を結んでいる水田に対しての交付金が新設された形です。


最後に

平成20年に0.1万ha程度だった飼料用稲は、令和元年度で7.3万haまで増加しました。(とは言えピークだった2017年の9.2万haよりは減少)

この間、日本全体での水田の耕作面積は、需要減の勢いには反してほぼ横這いを維持できており、主食用米需要の減少による生産面積減少を、加工用米などの新規需要米やこの飼料用米の作付面積の増でカバーしている状況です。

日本の水田を、稲作文化を守る一助として、飼料用稲の活用は不可欠であると個人的には思います。

そして各機関で開発されている専用品種達は、主食用品種とは違う、目的に沿った突出した能力を持っていることは間違いありません。
そんな彼女達の今後の活躍に期待ですね。

東北(青森除く)の飼料用品種代表格2名『べこあおば』さんと『べこごのみ』さん



参考資料

○「イネで牛を育てる 農林水産研究開発レポートNo.15(2006)」:農林水産省農林水産技術会議
○「米をめぐる関係資料 平成30年7月」:農林水産省
○「飼料用米の推進について 令和2年8月」:農林水産省政策統括官
○戸別所得補償モデル対策 食料自給率の向上のために!(農林水産省):https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1011/report.html


2020年9月4日金曜日

【WCS用】中国飼198号~たちすずか~【特徴・育成経過・系譜図・各種情報】

地方系統名
 『中国飼198号』(『水稲農林444号』)
品種名
 『たちすずか』
育成年
 『平成22年(2011年) 農研機構・近畿中国四国農業研究センター
交配組合せ
 『クサノホシ×極短穂』
主要生産地
 『中国地方』
分類
 『飼料用(WCS用)』



「たちすずかだ。よろし………どこ見てる?」




どんな娘?

通常の米っ娘たちであれば当然のように持っているものを持っていない娘。
…ナニをとは言わないが持っていない。
むしろ同じ飼料用米グループ内を見渡した方がとんでもない…ナニのとは言わないが兎に角格差を見せつけられてしまう問題に日々苦悩している。
しかし持たざる者だからこそ、得ているものもある。
ステータスだ、希少価値だ…と理屈でわかっていてもなかなか…いや本当にステータスなんですけど

飼米っ娘たちは細分化されWCS用、飼料米用、そして兼用の三つの組織に分けられるが、その中でも新興のWCS用品種の首長を務める。
飼料米用首長のミズホチカラ、兼用首長にして全体首長の夢あおばと共に飼料用米をとりまとめている。
…が3人横並びになることだけは嫌い。なぜだか理由は聞いてはいけない。

「見た目より中身」が信条で、自分を磨く努力は欠かさず、実際その能力は非常に高い。


概要

稲というのは子実である「籾(米)」を収穫する作物ですから、「籾」はその稲を栽培する最大の目的にしてより多く収穫できる品種が求められるのが常識的です。
そんな常識からすれば異端児とも言える、特に近年「籾」が不要とされているのがWCS用稲品種達で、そのWCS用稲品種『たちすずか』の擬人化です。

「まっすぐに立つ草のかたちと、この品種が植えられた水田に吹くさわやかな風(涼風/すずか)」をイメージして命名されました。

耕作放棄田の解消、そして日本の食糧自給率の向上といった目的から、特に平成20年(2008年)頃より飼料用稲の栽培が推進されていますが、それより以前から水稲を飼料として活用できれば濃厚飼料となる籾(お米部分)と牧草となる茎葉を同時収穫・給餌できるものとして大きな期待が掛けられていました。
しかし昭和59年(1984年)の時点で、広島県畜産試験場の古本氏により、水稲を飼料として用いた場合、籾がそのままでは消化されにくいことが判明します。

そのまま給餌した場合、消化されずにそのまま排泄されてしまう籾が一定割合出てくる事は知られていましたが、これが給餌対象によって大きく差があることがわかったのです。
和牛繁殖牛などに給餌する場合、比較的少量を与えるので家畜が十分時間を掛けて咀嚼でき、籾にも傷が付きやすいため不消化率は10%程度で済みますが、大量に飼料を必要とする搾乳牛などでは咀嚼時間が減り、結果不消化率も50%までに至るという報告まであります。
そしてTDN(可消化養分総量)算出の際には前者と同じように比較的少量を与えるので、不消化率は10%程度です。
いわば理想値であるTDNに対して、特にWCSを大量に摂取する家畜における実際の利用可能栄養分との間に大きな差が発生してしまう可能性があるのです。
単純計算でTDN56%の稲でも籾が50%不消化であれば計算上TDNは40%まで低下してしまうことになり、1割もの栄養ロスはとても看過できるものではありません。

結果、家畜が効率的に栄養を摂取するためには子実(籾)に損傷を与える対策が必要であると結論づけられました・・・が
穀粒となる飼料米は兎も角、稲をそのまま刈り取ってサイレージにする稲WCSはその製造工程で、籾に傷をつけるような作業を導入するのは作業効率面、設備面から考えて現実的でしょうか・・・
いやいっそ、籾の存在が栄養ロスの原因となるのならば、籾自体がなければ良いのではないか?
このような考えを基本として育成されたのがこの『たちすずか』です。


WCS用品種としてはエリート中のエリート(だと墨猫大和的に思っている)『たちすずか』はまさに要求された能力を全て獲得していると言っても過言では・・・(過言かも知れない


『たちすずか』の熟期は『クサノホシ』よりも4日程度遅い、瀬戸内海平坦部では「極晩生」になります。
稈長は121cm程度で、耐倒伏性は「極強」です。
葉いもち圃場抵抗性は「弱」、穂いもち圃場抵抗性は「不明」で、真性抵抗性遺伝子が「Pib」「Pita」「Pi20(t)」であるため通常は発病しません(菌レースの変化による)。
白葉枯病抵抗性が非常に強く(ただし圃場抵抗性かは不明)、『中国69号』経由で『早生愛国3号』の白葉枯病抵抗性遺伝子「Xa-3」が導入されている可能性があります。
縞葉枯病には罹病性で、紋枯病抵抗性は「中」です
穂発芽性は「難」と『リーフスター』より発芽しにくいです。
湛水直播栽培適性も持ち、飼料用として非常に優れた品種ですね。



WCS用として優れた特性の数々


籾が少なく消化性が良い、倒れにくく収穫適期も幅広い、まさに飼料用稲品種の優等生ですが、そんな『たちすずか』最大の特徴と(して紹介されていると)言えば、”茎葉中の炭水化物含量が高いこと”ではないでしょうか。

収穫物全体に占める籾の割合が非常に少ない『たちすずか』は、全収穫物乾物重1.87t/10aのうち、籾は0.23t/10aで全体重量の1割程度しか籾がありません。
従来飼料用稲品種の『クサノホシ』約40%や、WCS専用品種である『リーフスター』の約27%と比較してもかなり少ないことがわかるかと思います。
それでいて両者間にTDNの差はほとんど無いどころか『たちすずか』の方が高いとされています。
(羊で56.8%、乾乳牛で52.4%である『クサノホシ』のTDN含量に対し、『たちすずか』のTDN含量はそれぞれ61.1%、58.1%との試験結果あり)

本来高栄養源となる籾の割合がそれほど少ないにもかかわらず、TDNが従来以上と言うことは、『たちすずか』の茎葉が従来品種と異なりかなりの高栄養源となっていることになり、実際茎葉中には大量の可溶性無窒素物(でんぷん等の炭水化物)が含まれています。
通常光合成で作られた炭水化物や、茎に溜められていた炭水化物は、出穂を契機に籾へと転流されていきますが、その籾が少ない『たちすずか』では炭水化物が茎や葉に残留するものと考えられており、これは籾に存在するときと異なり、不消化の影響を受けないので、より効率的に活かすことが出来るとされています
また、炭水化物の中には「糖」も含まれ、従来品種2~5%程度の糖含量(乾物ベース)に対して『たちすずか』のそれは8~15%もあります。
糖はサイレージ発酵させる際に乳酸菌の餌として必要とされるもので、それが多く含まれる『たちすずか』であればよりよい乳酸発酵による長期保存やサイレージ品質の向上が見込めます。

そんな茎葉はもともと消化しやすいとされ、その茎葉の割合が多いために『たちすずか』は消化性が良いと紹介されていることも多いですが、『たちすずか』ではさらに難消化成分の「リグニン」や「ケイ酸」の含量が他品種と比較して少ないために、より消化しやすくなっているとされています。
粗繊維消化率は従来品種の『クサノホシ』で約50%、高消化性と言われる『良質な牧草』で70%前後と溝を空けられている状態でしたが、これが『たちすずか』では約60%と大幅な改善を見せています。
従来品種より消化しやすい茎葉になって、更にその茎葉の比率が90%!なんですかこれパーフェクトですか、状態(これは育成時点ではわからなかった特徴だそうで)。

さらに『たちすずか』は、従来品種で黄熟期以降に急激に低下するTDNについても、黄熟期以降もTDNを低下させることなく収穫できる事がわかっています。
また、籾が少ないため重心が低く、加えて前述した高糖含量の影響からか、生育後期になっても倒伏しにくいため、刈取作業に支障を来すこともありません。
この収穫適期の広さは、いままで違う熟期の品種を組み合わせて栽培したり、移植期の異なる栽培計画を立てる必要があった農家の作業体系を大幅に改善することが期待されます。

収穫物の利用率も高く、収穫適期も非常に広い『たちすずか』は
まさに飼料用稲としては革新的な新品種であると言えるでしょう。
関東以西にしか適さないのは東北人として残念(早生化品種出るかな。)。



栽培上の注意点も


そんな異能児『たちすずか』ですから、今までの常識では能力を発揮できないこともあるため、栽培にもいくつか注意が必要です

①適期刈取を(早刈注意)
収穫適期の長さが特徴ではありますが、『たちすずか』における茎葉中の高い糖含量は、出穂後20日目から40日目頃にかけて増加します。
そのため、従来の飼料用稲の感覚で早期(出穂後間もなく)に刈り取りを行ってしまうとWCSの品質は悪くなり、牛の嗜好性も低くなりがちだそうです。
これは前述したように糖含量がまだ増えておらず少ないことと、糊熟期や乳熟期における『たちすずか』は従来品種よりも水分含量が多いことから、低糖・高水分による不良発酵になっているとされています。
籾の難消化性の問題を解消している『たちすずか』は黄熟期以降もTDNの下げ幅が小さく、従来であれば「刈り遅れ」になってしまうような時期でも問題無く飼料として活用が見込めますので、今までの常識にとらわれず、遅く刈り取る必要があります。

②十分な窒素肥料を
『たちすずか』の多収・低籾・高糖といった特徴の発揮には多肥栽培(有効窒素成分10~15kg/10a)が必要です。
窒素施肥量が少なくなると、全体の収量が落ちるだけでなく、籾重割合が大きくなり、糖含量も抑制されてしまいます。
前述したように非常に強い耐倒伏性を持つ『たちすずか』にはそのポテンシャルを十二分に発揮させるためにも、多肥栽培が重要となります。
ちなみに種子生産する際は晩植え・疎植・低肥料にすることで種子量を増やす取り組みが行われます。
『たちすずか』の収量(籾)は40kg/10aから300kg/10a(試験時最高481kg/10a)と栽培方法によってかなりの差が出るので、WCS用生産と種子生産でそれぞれ真逆の取り組みが必要になるわけですね。




育種経過

籾はなるべく少ない方が良い、とされたWCS用稲品種。
先に育成された品種に『リーフスター』があり、こちらも子実の割合が低い事が特徴でしたが、刈り遅れによる倒伏、そして給餌した際の嗜好性の低下等が問題になっており、より大規模化する農家に対応するためにも収穫適期がより広い(黄熟期以降も収穫可能な)品種の育成も課題でした。
さらに、飼料用として収穫適期とされる黄熟期では茎葉に乳酸菌の養分となる糖含量が低く、不良発酵を生じる原因の一つされていました。
『たちすずか』はこの「低い籾割合」「広い収穫適期」「高糖含量」を目指して育成が開始されました。

なお、『たちすずか』の育成は、農林水産省委託プロジェクトである
【新鮮で美味しい「ブランド・ニッポン」農産物提供のための総合研究(3系)】(2003~2005年度)
【粗飼料多給による日本型家畜飼養技術の開発】(2006~2009年度)
の予算を得て行われました。

平成13年(2001年)、近畿中国四国農業研究センターにおいて『中国147号(サトホナミ)』を母本、『極短穂(00個選11)』を父本として人工交配が行われました。

父本となった『極短穂』は、『葵の風』と『中国156号』との交配後代から、平成12年(2000年)のFS世代個体選抜で見いだされた自然突然変異系統で、下位の枝梗が退化する(穂の下の部分がなくなる=穂が短くなる)のが特徴です。(この短穂の形質を支配する遺伝子は染色体11に座乗する短穂遺伝子1(sp1)と同座と推定)

人工交配して得られた種子は70粒。
同年度冬期、その中から5粒の種子が蒔かれ、温室内でF1養成が行われます。
平成13年(2002年)にF2世代3,000個体が普通期乾田直播栽培で養成されます。

翌平成14年(2003年)はお休みの年。
冷蔵庫内で保管されました。

平成15年(2004年)から舞台を移し、国際農林水産業研究センター沖縄支所(当時)でF3~F4世代(5,000個体)の養成が行われます。
平成16年(2005年)、F5世代3,000個体を普通期移植栽培で育成、個体選抜を実施し45個体が選抜されます。
平成17年(2006年)にはF6世代で系統選抜を実施します。
前年の45個体を1系統当たり16個体の45系統(『多系選426』~『多系選470』)として育成。
この中から9系統が選抜されますが、後の『たちすずか』となる系統が生まれる『多系選435』系統からは5個体が選抜されています。
以後系統育成による選抜・固定が行われていくことになります。

平成18年(2007年)、F7世代で系統番号『多収系1072』が付され、生産力検定本試験・特性検定試験に供試されます。
選抜過程は前年の1系統5個体を1系統群5系統(『多育246』~『多育250』 )として各系統32個体を養成し、『多育248』系統から5個体を選抜しています。
試験の結果は良好とされ、平成19年(2008年)F8世代で系統名『中国飼198号』が付されました。
F8世代は前年の1系統5個体を1系統群5系統として各系統64個体を養成し、1系統30個体を選抜しています。
『中国飼198号』は各都道府県に配布され、地方適応性の調査が行われました。
結果、収量性(茎葉)、耐倒伏性、飼料適性の面でWCS用品種として優れた適性を持つことが認められました。
平成20年(2009年)に1系統群30系統(各系統32個体)を養成し、最終的に1系統5個体を選抜して育成を完了しています。


平成21年(2010年)3月に種苗法に基づく品種登録出願が行われ『たちすずか』と命名されました。




系譜図


参考文献

○茎葉多収で消化性に優れ高糖分含量の飼料用水稲品種「たちすずか」の育成:近畿中国四国農業研究センター研究報告
○牧草と園芸 第65巻第4号(2017年)『飼料用イネ新品種「たちすずか」の特徴について』:広島県立総合技術研究所 畜産技術センター 飼養技術研究部 副部長 河野 幸雄
○高糖分飼料イネ「たちすずか」栽培技術マニュアル:農研機構 近畿中国四国農業研究センター
○極短穂型飼料イネ品種「たちすずか」によるホール クロップサイレージの栄養価と第一胃内分解性:広島県立総合技術研究所畜産技術センター



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ネタです。たちすずか本人は絶対こんなことしません。



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