2020年8月23日日曜日

令和元年度日本穀物検定協会食味ランキング結果【漫画】


































なんとも最近乱戦気味の穀検の食味ランキングですが
目立つエース米達は、地味に頑張る品種あってこそ(という独断と偏見)。
縁の下の力持ちたちを忘れないようにしたいものです。

そんな今回のマンガは二か所ばかりパクリオマージュを混ぜています。
コシヒカリBLのセリフと、はえぬきのセリフです。
以下、引用です。


ナムコ「ACE COMBAT ZERO THE BELKAN WAR」Larry "PIXY" Foulkeのセリフより


Those who survive a long time on the battlefield start to think they're invincible.
~不死身のエースってのは戦場に長く居たやつの過信だ~

I bet you do, too, Buddy.
~お前の事だよ 相棒~


福本信行氏作 ~天~天和通りの快男児 ●第125話●「不遇」より

ただ…真っすぐ向かっている
ただ…真っすぐ…!
背負おうとしているっ…!

気落ちも気負いもない
ただ真っすぐ…
そのままを背負おうとする…!

そのままを背負おうとするのだ…いつも…!

信じている
たとえどんな境遇であろうと…
それだけで勝負は…
人生は決まらない…!
その思いが背負わせる
投げさせない
ごまかすことを拒否する…!

きちんと背負ってこそ
前へいけるのだ…!
前へっ…!前へっ…!前へっ…!


圧倒的な覚悟…!
不遇のまま敗れることもある…
それはあるんだ…
そのこと自体は否定しない…!
敗れもあるっ…!
いいこと一つなく立ち枯れ
朽ちることもある…!
しかし……それを重々分かった上で
やはり捨てないのだ…
不遇を…
現実を…!

離さないっ…!

貧しさ……
どうにもならない容姿…
才能…
しかし…
それが自分なら……
自分自身というものなら……
しゃあないやろっ…!

そこからいけって……!

逃げるなっ…!
夢想に…!

尽くすっ…!

運命を全て…!
幸運も不幸も全て…
抱え込み……

前へ…!


2020年8月11日火曜日

【粳米】北海292号~おぼろづき~【特徴・育成経過・系譜図・各種情報】

地方系統名
 『北海292号』(『水稲農林389号』)
品種名
 『おぼろづき』
育成年
 『平成15年(2003年) 北海道農業研究センター』
交配組合せ
 『あきほ×北海287号』
主要生産地
 『北海道』
分類
 『粳米』
おぼろづき「どうも~おぼろづきです」





どんな娘?

北海道の極良食味米の先駆者。
当初はきらら397以上の実力者として期待され、実際関係者の評価は高いのだが、きららの圧倒的な知名度に押され、一般消費者の認知度は非常に低い。

ただしきらら397に黙ってテレビに出てみたり、大型新人ゆめぴりかにかこつけて名前を売るなど、したたかに立ち回っており実は腹黒なのではないかとの噂も
ちなみに“怒らせると怖い“の典型であり、スイッチが入りそうになると周囲はフォローに追われる。




概要

北海道の本格(?)的極良食味米の先駆け品種『おぼろづき』の擬人化です。

ほのかな甘みと独特な風味を持ち、低アミロース系統ならではの粘りが特徴で、冷めても食味が落ちにくいのでお弁当などにいれてもおいしく食べられます。
低アミロース系統、とは言ってもアミロース含有率14%程度(育成当初平均)と極端に低くないのに加え、餅臭や粘りがアミロース値に比べて高くないなど、『コシヒカリ』にも近い食感で一般用飯米として利用できるとされています。(それまでの道産低アミロース米はブレンド用か加工用でしかありませんでした)
ただし…一般的な食味計ではタンパク質含有率が高いものを「美味しくない」方向に評価しますが、『おぼろづき』は基本的に高タンパク傾向なため、この点は不利なようです。(腹黒を見透かされたか


北海道米と言えば…の定番ですが
平成後期から令和現代においては『ゆめぴりか』『ななつぼし』を有する日本トップクラスのお米の生産地ですよね。
しかし昭和における北海道米は「鳥も食べない」「猫も食べない」”鳥またぎ”、”猫またぎ”と呼ばれて、不味い米の生産地として悪い意味で有名でした。

そんな中でも北海道の試験場では「多収米」への育種に力を入れたために苦労したのはまた別の話…

『きらら397』の登場と販売戦略により劇的な良食味米産地へと変化を始めた北海道において、『ゆめぴりか』登場までは道随一の食味とまで言われたのがこの『おぼろづき』です。(ただし影は薄い)
後輩の新エース『ゆめぴりか』がデビュー当初年に天候不順により不作となったため、『ゆめぴりか』の規格外品とこの『おぼろづき』をブレンドして販売、消費者の希望に応えました。
裏方に回る形にはなりましたが、これも北海道のエース米として食味に劣るところは無しと認識されていたことの表れではないでしょうか。

北海道では中生の早に属し、『ほしのゆめ』並みです。
障害型耐冷性は「強」との判定で、後述しますが育種目標通り『きらら397』の「やや強」より強いものとなっています。
いもち病抵抗性は葉いもちが「やや弱」、穂いもちが「中」とそれほど強くない為、適期防除が必要です。(真性抵抗性遺伝子は「Pii」「Pik」と推定)
玄米千粒重や収量は『ほしのゆめ』並みややや低い程度、それでもやはり収量性は低いとされています。
肝心の食味では低アミロースによる粘りの強さから『ほしのゆめ』や『きらら397』よりも高い評価で、『コシヒカリ』や『ひとめぼれ』よりも優れているとの評価も受けています。

お米のアミロース含有率は登熟期の気温(積算温度)によって変動します。
(多分)低アミロースに分類される『おぼろづき』は、『きらら397』などの一般品種よりもこの気温による変動が大きいですが、先代の北海道低アミロース品種達よりは変動幅がやや小さいとされています。


育種経過

良食味品種を目指す北海道の育種の戦いは、初期に於いては「いかにアミロース含有率を下げるか」に苦心していました。
そのような中で既存の北海道品種よりもアミロース含有率の低い『ゆきひかり』『きらら397』といった良食味品種の基幹になる品種が育成されました。
同時に『あやひめ』に代表される低アミロース品種の育種も進められ、これらは粘りが非常に強いことからブレンド用や加工用としての利用が主となっていました。

このような状況の中、北海道産の一般飯米の更なる食味向上には、既存の低アミロース品種と一般品種の中間のアミロースを持ち、かつ含有率の年次変動の小さい品種の開発が必要とされ、これが大きな目標となります。

『おぼろづき』の育種は平成7年(1995年)に開始されましたが、その前身は一足先に平成5年(1993年)に育成が開始された父本の『95晩37(北海287号)』と言えるのではないでしょうか。
それまでの北海道の低アミロース品種『彩』『はなぶさ』『あやひめ』などは全て『ニホンマサリ』の突然変異系統『NM391』由来でしたが、『おぼろづき』の父本である『北海287号』は『きらら397』の細胞培養変異個体として育成された低アミロース系統(「Wx1-1」遺伝子所有)です。
従来の低アミロース品種『はなぶさ』よりアミロース含有率が2%程度高く、白濁程度が少ないものでしたが、変異元の『きらら397』と同じく耐冷性が不十分という欠点がありました。

平成7年当時は、まだ地方系統名の付かない『95晩37』としての交配父本でしたが、この『95晩37(北海287号)』の適度な低アミロース性を活かして耐冷性を改良する目的で交配が行われました。

母本に選定されたのは『空育150号(あきほ)』で、『上育394号』(『しまひかり』と『キタアケ』の交配F1を葯培養して育成(『きらら397』と同じ交配組み合わせですね))と『空育133号』の交配から育成された品種です。
良質・良食味で耐倒伏性にはやや不安があるものの、障害型耐冷性が強いことから、『きらら397』普及後も切り替えの進まなかった『ゆきひかり』普及地への代替が期待された品種です。


改めて
平成7年(1995年)に交配が行われ、25粒の種子(『札7交128』)を得ました。
同年F1世代(雑種第一代)10個体を温室で養成し、600粒の種子を採種します。
翌平成8年(1996年)にはF2~F4の3世代を温室で世代促進します。
F2世代は410個体を播種し、130粒の種子を採種。
F3世代は130個体を播種し、120個体を(軽度)選抜。
F4世代も同じく120個体を播種し、50個体を選抜しています。

平成9年(1997年)F5を系統栽培(1系統当たり10個体の50系統)し、以後選抜・固定を行っています。
この代では5系統15個体を選抜しました。(『2022』『2026』『2028』『2043(後の『おぼろづき』系統)』『2044』の5系統)
平成10年(1998年)には『札系98020』の系統番号が付され生産力検定試験及び特性検定試験に供試されます。この年F6世代は昨年選抜の5系統15個体を5系統群15系統として各系統39個体を播種。
2系統群2系統(『2026-Y5-1』『2043-Y20-1』)に属する10個体が選抜されます。
.
平成11年(1999年)からは系統適応性検定試験にも供試されます。
F7世代は2系統群10系統として各系統60個体を播種。
『2043-Y20-1-L88』系統から5個体が選抜されます。
この系統は『北海287号』由来の低アミロース性を有しつつ、耐冷性が「強」との判定から、平成12年(2000年)にF8世代に於いて『L88』系統群は『北海292号』の配布系統番号が付され、北海道の奨励品種決定調査基本試験に供試されました。
この年は1系統群5系統で各系統60個体を播種し、『L88-L33』と『L88-L37』の1系統群2系統が選抜され[『L88-L33』から1個体、『L88-L33』から7個体の計8個体が翌年に残りました。
平成13年(2001年)も引き続き特性検定試験と奨励品種決定調査基本試験に供試され、奨励品種決定調査の現地試験もこの年から実施されたようです。F9世代8系統の中から1系統(『L37-L39』)10個体が選抜されました。
育成の最終年となる平成14年(2002年)F10世代で1系統群10系統各60個体を播種し、この年は特性検定試験は無く、奨励品種決定調査の基本試験と現地試験が行われました。
最終1系統(『L39-L39』)10個体が選抜されています。

平成15年(2003年)、F11世代で『おぼろづき』(『水稲農林398号』)として命名登録され、平成17年(2005年)に北海道の奨励品種となりました。
種苗法に基づく品種登録は平成18年(2006年)です。

食味試験などの結果も『コシヒカリ』を凌ぎ、極良食味の単品ブランド米として生産・販売出来る、道産米では今までに無かった低アミロース品種と期待されました(なお実態)。
『おぼろづき』は道産米の食味レベルの底上げとともに、北海道な冷涼な気象条件を活かした極良食味の道産米産地の形成に役立つことが期待されました。



系譜図

北海292号『おぼろづき』系譜図




参考文献

◯北海道米LOVE「おぼろづき」:https://www.hokkaido-kome.gr.jp/variety/oboroduki/
◯極良食味の低アミロース米水稲品種「おぼろづき」:北海道農業研究センター研究報告



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