題材
『有色米』
登場品種
越南17号 『コシヒカリ』
富山赤71号
富山赤78号
富山黒75号
令和2年5月作画。
『コシヒカリNIL』大好き富山県が育成した、とどのつまり「有色コシヒカリ」である『赤むすび』『黒むすび』の2銘柄。
『赤むすび』(銘柄)は『富山赤71号』と『富山赤78号』の2品種が品種群設定ですが、実際生産されているのは『富山赤78号』のみ。
理由は単純明快。
『富山赤71号』は稲の見た目が『コシヒカリ』のような通常品種と全く一緒で、混入した際に圃場で排除できなくなるからですね。
『富山黒75号』は穂が黒っぽくなりますし、『富山赤78号』は穂先が赤いので、見分けがつきます。
お米・稲の品種を擬人化しているブログです。(山形県贔屓です)史料を調査し、気を付けて記事を作成していますがあくまでも素人執筆ですので、情報の取捨選択にご留意を。誤記載等あればコメント等でお知らせ頂けると幸いです。(系譜図は最終品種名で記載) ※当ブログの擬人化は管理人の完全主観・偏見によって勝手に行っているものであり、実在する水稲品種そのものの食味・評価・知名度等とは一切関係ありません※
2020年5月17日日曜日
2019年4月10日水曜日
【粳米・有色米】富山赤71・78号~赤むすび~ 富山黒75号~黒むすび~【特徴・育成経過・系譜図・各種情報】
地方系統名
『富山赤71号』『富山赤78号』
『富山黒75号』
品種名
『富山赤71号』『富山赤78号』(品種群【赤むすび(商標)】)
『富山黒75号』(【黒むすび(商標)】)
育成年【赤71号】『平成19年(2007年) 富山県農林水産総合技術センター』
【赤78号】『平成23年(2011年) 富山県農林水産総合技術センター』
【黒75号】『平成21年(2009年) 富山県農林水産総合技術センター』
交配組合せ
【赤71号】『と系赤1824×SL-202』
【赤78号】『富山赤71号×と系1378』
【黒75号】『F1【コシヒカリ×紅血糯】×コシヒカリ4回戻し交配』
主要生産地
主要生産地
『富山県』
分類『粳米(有色米)』
![]() |
『赤むすび』&『黒むすび』 |
どんな娘?
◆赤むすび(商標:品種群)
『富山赤71号』&『富山赤78号』
双子・・・というよりはそれ以上、”2人でひとつ”とても仲の良い2人組。
肌の色を除けばコシヒカリと瓜二つ。
71号はコシヒカリに変身することが出来るため、よくなりすましては他者を驚かせている。78号もほぼ同程度の変身能力を有してはいるが、額の髪の毛の色だけは変えられない為、知っている人にはすぐばれてしまう。
と、多少違いはあるものの基本的に2人ともかなりの(息の合った)いたずらっ子。
しかしながら
有色米にはとっつきにくい性格の者が多い中、『コシヒカリ』の性格を色濃く受け継いで基本的には温和ではある。
◆黒むすび(商標)
『富山黒75号』
『赤むすび』コンビと一緒にいることが多い。
彼女らと同じく『コシヒカリ』の見た目そっくりに変身することも可能ではあるのだが、肌の色をどうやっても変えることが出来ない為、騙される者は少ない。
得意な一発芸(?)は「毒を食らったコシヒカリ」
『赤むすび』と同じく、有色米の中では性格は温和な方ではあるものの、少しばかり野生の血が濃いのかやんちゃな性格が強めに出る。
いたずらも『赤むすび』に比べ、多少過激な方向に向くことが多い。
概要
富山県の赤米・黒米、『赤むすび』『黒むすび』の擬人化です。
ちなみにこれは商標で
『赤むすび』は『富山赤71号』『富山赤78号』二つの品種からなる品種群(ただし作付は78号のみ)。
『黒むすび』は品種『富山黒75号』です。
…が!この娘達、ただの赤米・黒米ではありません。
このような有色米は主に糯品種が多かったり、食味の点で問題を抱えていることが多いのですが、これは赤米化、黒米化に必要な遺伝子以外はすべて『コシヒカリ』という言わば『コシヒカリBL』のようなコシヒカリ近縁種の有色米バージョンです。
食味も『コシヒカリ』そのものなので、良好です。
NIL系統育成の王道、戻し交配とDNAマーカー利用により、必要な遺伝子のみを『コシヒカリ』に導入した形です。
”赤米・黒米遺伝子のみを『コシヒカリ』に導入しました”というフレーズだけだと「遺伝子組み換えではないのか?」と勘違いする人がいるそうですが、まったくの誤解です。
昔ながらの交配を利用した品種改良ですので、これを危険視するならこの地上に食べられるものはありません。
ちなみに『富山赤71号』は赤米ですが、ほ場の外見では籾の色が通常品種と見分けがつかない為、籾の先端に色が付く『富山赤78号』が育成されました。
『富山黒75号』は籾の見た目が黒っぽくなるので見分けは容易です。
◇『富山赤71号』
『コシヒカリ』に、インドの赤米『Kasalath~カサラス~』から赤米化に必要な2つの遺伝子を導入(『コシヒカリ』の赤米化)。
◇『富山赤78号』
『富山赤71号』に、ふ先(籾の先端)が赤い『阿波赤米』からふ先の着色に必要な遺伝子を導入(『富山赤71号』にほ場での識別性付与)。
◇『富山黒75号』
『コシヒカリ』に、中国原産のもち米品種『紅血糯』から黒米化のために必要な3つの遺伝子を導入(『コシヒカリ』の黒米化)。
赤米には「タンニン」、黒米には「アントシアニン」が豊富に含まれています。
これらの成分には「抗酸化性」があると言われます。
生活習慣病、動脈硬化、老化、ガン、アレルギー症状等々…様々な害の原因になると言われている「活性酸素」の働きを抑制する性質、それが「抗酸化性」です。
健康志向の需要に応えることが期待される富山県のいろんな意味で異色の品種です。
ちなみに商標名は平成22年1月4日~2月22日まで公募を行い、集まった1,903件の候補の中から選定。
「縁結び」「結果が実る」「仲良くする」に通じるめでたいイメージの「むすび」と、
見た目を想像しやすく、三食おにぎり等にも活用できる名称、ということで『赤むすび』『黒むすび』が採用されました。
(副賞は応募した人の中から抽選で20名に富山県産コシヒカリを贈呈、選ばれた名称の応募者に対する副賞は無い?模様)
勘違いしている人がいないかな?
◯【赤米、黒米のような有色米】=【古代米】というイメージの方、いませんか?
→有色米の古代米があるからといって、有色米が古代米と言うわけではありません。
黒い鳥(カラス)がいるからって、黒い鳥がすべてカラスってわけないですよね。
◯赤米、黒米が芯まで赤い、黒いと思っている方、いませんか?
→普通に精米すると(特に赤米は)ほぼ普通の白いご飯になります。
抗酸化性を活用したい場合は搗精歩合を調整する必要がありますよ。
育種経過
だれか『富山黒75号』の育種論文ください
系譜図
![]() |
『富山赤71号』(品種群『赤むすび』) 系譜図 |
![]() |
『富山赤78号』(品種群『赤むすび』) 系譜図 |
![]() |
『富山黒75号』(『黒むすび』) 系譜図 |
参考文献
〇「コシヒカリ」の美味しさを受け継ぐ黒米粳品種「富山黒75号」の育成
〇「コシヒカリ」の美味しさを受け継ぎふ先色を有する赤米粳品種「富山赤78号」の育成
〇水稲新品種「赤むすび」(富山赤71号、富山赤78号)の育成:富山県農林水産総合技術センター
〇水稲新品種「富山黒75号」の育成と黒米・赤米の名称募集について:富山県農林水産部
〇平成24年9月 農研ニュースvol.5:富山県農林水産総合技術センター
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