2018年6月17日日曜日

祝(?) 鉄腕ダッシュ2018年!~新品種『ふくおとこ』で18度目の田植え(米作り)!

超個人的にやきもきしてたんですが…

「ザ!鉄腕!ダッシュ!!」の2018年度の米作り決定していたそうです!


◯6/17 米作りの決定が予告されました!

来週はいよいよ米作り回の放送らしいです!

…これだけ。
これだけなんですけど。

色々あってどうなるか本当に心配していましたが
兎に角よかったです。

様々な事情に私は何も述べるつもりはありません。
必要なことは司法がその決断を下し、実行するでしょうから、当事者がいることに、個々人がどうこう何かを言うべきことではないでしょう。


ただ日本のテレビ番組の中で長く稲作に取り組む番組が続いてほしいと願うばかりです。
そしてただ無償で福島を応援し続けてきた、そして応援し続けていく彼らの行動に感謝以外何を向けることが出来るでしょうか。


鉄腕ダッシュで栽培されている品種は『男米』、『新男米』『ふくおとこ』とされており、その系譜は以前の投稿で述べました↓
まぁ品種じゃないんですけどね…とか言う話も↓





ことしは『ふくおとこ』二年目、雑種第二代(F2)の年ですから、多くの性質を備えた『ふくおとこ』が登場するはずです。

↓参考↓



今年も食味試験的なことやるのかな?
となると雑種強勢終わったので今年は少し厳しい評価の年にはなりそうです(鑑定士の方もガチっぽいので…)
選抜している(する)ならば、ことしは『ふくおとこ』の性質が決まる年になりそうです。
ここでうまいこと良い個体を来年の種もみに選べれば…TOKIOの奇跡は品種改良にも起こるはず!



詳しい続報こないかな…
やっぱり来週回待ちかな…


◯6/24 いよいよ田植え回が放送!

いよいよTOKIOと福島の皆さんの田植え!!!

いやいや…さすがに苗もかなり成長しています。
養分を吸い尽くし色は薄く、なお20cm強の草丈まで伸びて、分げつも3~4本ほどになっていました。(6~7葉期に見えました。)
本来ならば田んぼでのびのびと根を伸ばしている時期ですよねぇ…


時期的にも分げつの数的にもうちの「はえぬき成長日記」のはえぬきちゃん並みですので、有効分げつ期をこのような状態で過ごして巻き返しが成るのか…苗がこのような状態での田植えは私も一切知識がありませんので不安と期待が入り混じります。(ってそれよりはるかに遅れているうちの8姉妹たちもいるんですがそれは…)

とは言え
稲作は「苗半作」と言われるほど苗づくりが重要とされていますから
少なくとも収量ダウンは免れない…かな?
18回目の稲作は来年に種子をつなぐための年となりそうです。

今年は『新男米』と『ふくおとこ』を水田の半分ずつに植え付け。
その”半分”が”テニスコート一面分(260㎡)”らしいので、概ね3畝=0.3反=300㎡程度でしょうか?

ちなみにDASH村の苗はすべて一本植え(間隔30cm*30cm)ですね。
一本一本が十分に成長することで「稲の力を十分に引き出す」…のように言われますね。
ただ収量的には1本だろうが3本だろうが5本だろうが実用的には変わらないとは言われます。(田面積当たりの養分条件は同一なら最終有効分げつ総量=穂の数がどれも大体同じになったりなんだりで収量が変わらないから)
ただ1本植えはそのたった1本が病気などの理由で枯れた場合に抜け株になってしまうのがリスキーなので、通常3~5本程度植えにしている次第です。(1~2本枯れても残りが分げつするのでのーぷろぶれむ。)




2018年6月15日金曜日

コシヒカリの血縁・稲の親子関係について~コシヒカリの子品種は子にあらず~


◯手始め四コマ

ということで本日のお題は「稲の親子関係」


◯コシヒカリ御三家の近縁係数、ゲノム率はどれくらい?

上の四コマで『ひとめぼれ』が言っている内容をまとめると以下のようになります。


品種名近縁係数ゲノム率(コシヒカリ由来)
ひとめぼれ0.76980.8%
あきたこまち0.61780.0%
ヒノヒカリ0.60861.3%

父本の母本(祖母の位置)に『コシヒカリ』がいるひとめぼれは兎も角、なぜヒノヒカリの近縁係数が0.50にならないか…というと
ヒノヒカリの系譜図を見てもらうとわかるんですが、父本の『黄金晴』の祖先にさかのぼると『農林22号』がいます。
これはコシヒカリの片親になっていますね。
こんなところで繋がりがあるので、日本の水稲品種は直接交配親でなくとも、共通の祖先をもっていることが多いため、一見関係ないようでも血縁が混じっていることになるんですね。(※詳しい計算方法は省略)
(『亀の尾』『朝日(旭)』『大場』『愛国』『神力』『上州』6品種の寄与率が高いとされています。)

では?

『あきたこまち』は近縁係数を計算すると【0.617】なのに、実際の『コシヒカリ』由来のゲノム率は80%にもなります。

『あきたこまち』はなぜ60%前後ではなく、80%と高い値を示すのか。
同じ近縁係数0.6程度の『ヒノヒカリ』のゲノム率は約60%なのに。


ごめんなさいね~ヒノヒカリ。
実は…あなたは本当の私の子じゃないのよ~
ええええええっ
じっ…じゃあ…あきたこまちが本当の子!?
…いや
なんなんだねぃ、この茶番は…
「本当の子」って意味不明じゃないかねぃ?




…という茶番はさておき
稲の交配と育種を考えてみると単純計算の”近縁係数”が稲の遺伝的背景を必ずしも反映しないことがわかるかと思います(と管理人が勝手に解釈しています。ので間違っている可能性もあるのであしからず。)。

それと遺伝子やら染色体やらゲノムやら理解が浅いので間違っているかも、あしからず。
(詳しいことは自分で調べよう!)


◯稲の育種(品種の作り方)を追ってみよう①~親とF1世代遺伝子型~

品種を作るには何と言っても別の稲個体同士の交配から始まります(交雑育種法)。


今回はこの二品種を掛け合わせて新品種『ひのめぼり』を作ることにしましょう(命名センスゼロ)。

互いの遺伝子型は(説明の都合上)以下のようになっていることにします。


分かりやすくするために各遺伝子の性質を【草丈】【耐病性】【耐冷性】【美味しさ】と単純化しました。
◯各遺伝子は二対で一組です。
◯優勢・劣勢は(この場合関係ないので)考えません。
◯遺伝子座の左右にも特に意味はありませんが、説明の便宜上左を母本(卵細胞)、右を父本(花粉)としている(かもしれません)。

稲のおしべ(花粉)とめしべ(卵細胞)には、それぞれこの遺伝子を半分にしたものが入っていますから、『ひとめぼれ』(母本)と『ヒノヒカリ』(父本)を交配したF1(雑種第一代)の遺伝子型は以下のようになります。

『ひとめぼれ』『ヒノヒカリ』ともにしっかりと固定化された(遺伝子型がホモ)品種ですからF1はすべてこの遺伝子型で統一されています。
【草丈】【耐病性】【耐冷性】【美味しさ】全てにおいて親の『ひとめぼれ』『ヒノヒカリ』から半分ずつ遺伝子をもらっています。(遺伝子型がヘテロ)

この新品種『ひのめぼり』の両親との近縁係数は【0.50】で、遺伝子の由来率も50%です
…と人間なら終わるんですが、そうはいきません。

稲の育種はこれからです。

※例外(?)的にこのF1世代を”品種”としているハイブリットライスがあります。(『みつひかり』とか)
 雑種第一代に起きる雑種強勢という特性を生かして、両親や固定品種より優れた性質を持つ作物品種をF1品種などと言って稲以外の多くの作物で一般的になっています。
 が、これの意味するところは優秀な品種を育てられる(収穫できる)のは最初に種を買った一回限り。種を生産している種苗会社から延々と種を買わなくてはいけないのでまた別の問題があるとも言われていますがこれはまた別の話。
 人工交配した作物は体に危険だとかもはや末期としか思えないような非論理的なことを言っている方たちもいますがそれもまた別の話。のくせに在来種は大丈夫とか言う謎理論を(略


◯稲の育種(品種の作り方)を追ってみよう②~F2世代以降の遺伝子型~


さて交配してF1世代が出来たので、次はF2(雑種第二代)です。
生殖細胞(花粉や卵細胞)は減数分裂して発生します。
つまり上記の『ひのめぼり』F1世代の遺伝子座から【草丈】【耐病性】【耐冷性】【美味しさ】それぞれについて二対の遺伝子のうち、『ひとめぼれ』か『ヒノヒカリ』どちらか一方が選ばれて生殖細胞となります。

植物体の染色体(遺伝子)は二対で一組です。

生殖細胞(花粉や卵細胞)はその半分、一対だけです。

前述したように『ひのめぼり』はヘテロ型の遺伝子なので、その生殖細胞は下のような16通りの種類が産まれます。

『ひのめぼり』F1はランダムに生まれるこの16通りの生殖細胞がそれぞれおしべ(花粉)、めしべ(卵細胞)になっており、F1から生まれるF2世代はこの16通りの中から2つを組みあわせたものになります。

例えば
◯パターン7(卵細胞)+パターン15(花粉)
この組み合わせだとF1世代と同じ遺伝子型で、どの性質も固定されていません。(遺伝子型の左右に特に意味はありません)

◯パターン8(卵細胞)+パターン10(花粉)
 これだと【耐病性】と【耐冷性】が『ひとめぼれ』の遺伝子で固定されました。


◯パターン1(卵細胞)+パターン5(花粉)
 これだと【耐病性】以外『ひとめぼれ』由来の遺伝子で固定されています。

これはほんの一例ですので、F2世代がどれだけ多様な遺伝子の組み合わせの雑多・雑駁な集団になるかがわかるかと思います。
あり得る可能性としては…
えーと?…全部で120通り?(自信は無い、まったく無い)

とは言え、これはヘテロ接合体も含めた場合の数。

将来的に産まれる新品種『ひのめぼり』は、交配を繰り返す中で固定され、ホモ接合体になっているでしょうから、最終産まれうる遺伝子パターンは限られます。


◯稲の育種(品種の作り方)を追ってみよう③~固定世代の遺伝子型~

とりあえずF2世代から多様な遺伝子座になりながらも、世代交代(自家受粉)を繰り返すうちにヘテロ接合体は減り、ホモ接合体の遺伝子座が増えていきます。
現代は集団育種法が用いられる事が多いので、F5~7世代まで選抜せずに栽培を繰り返します。
そうすると今回の仮定の場合、理論的には次の16通りの『ひのめぼり』が出来ることになります。


…まぁ16通りの『ひのめぼり』とは言いましたが、パターン1とパターン9は『ひとめぼれ』『ヒノヒカリ』になっていますね。

そう、実は理論上はF2世代以降では交配親と同じ遺伝子座の個体が出来得るんですね。
(例え出来ても選抜されて消えますから何の問題もないはずですし、そもそも確率が相当低い気がする…)


さて話を戻しますと
こうして出来た14の候補は

【パターン8】
 『ひとめぼれ』の栽培特性そのままに、『ヒノヒカリ』の食味を導入した『ひのめぼり』
【パターン15】
 『ヒノヒカリ』に『ひとめぼれ』の耐冷性を導入した『ひのめぼり』

とそれぞれ両親の特徴を何らかの形で受け継いでいますから、あとは育種目標に沿った個体が新品種『ひのめぼり』として日の目を見ることになります。

ここで仮に【パターン8】『ひのめぼり1号』【パターン15】『ひのめぼり2号』としましょう。
1号、2号共に、両親に対する単純な近縁係数を計算すると共に【0.50】ですが、遺伝子依存率は全く違う結果になることがわかるかと思います。

『ひのめぼり1号』=『ひとめぼれ』『ヒノヒカリ』75%25%
『ひのめぼり2号』=『ひとめぼれ』『ヒノヒカリ』25%75%

ただし、【パターン3,4,6,11,12,14】の六通りは遺伝子上も両親均等に50%となっています。

そしてここで私が言いたいのは14通りの『ひのめぼり』どれひとつとして『ひとめぼれ』と『ヒノヒカリ』の交配から直接生まれることは無いという事なんです(ホモ接合体になり得ない)。
品種『ひのめぼり』は『ひとめぼれ』と『ヒノヒカリ』の子である『雑種第一代(F1)』からしか生まれないんです。
品種化されれば間違いなくこの『ひのめぼり』は『ひとめぼれ』の子品種、『ヒノヒカリ』の子品種と呼ばれるのですが、実は『孫』なんですよ。(という屁理屈をこねてみたかっただけ。)

※1:実際は前述したように交配親のさらに交配親が共通であったりするので単純に母本由来、父本由来の遺伝子とはできない点もあるのですが、そこは簡略化しました。
※2:実際はこのように単純な遺伝をするものではなく、主たる性質のほかに他の性質に影響を与える遺伝子もあるのですが、そこは簡略化しました。
※3:これは超単純化した考え方ですので現実とは大きく乖離している部分もあります、あしからず。

◯超極端に結論を出そう

こんなところ(?)で超極端な結論を出させていただくと、結局これが近縁係数はほぼ同じ【0.6】程度ながら『あきたこまち』と『ヒノヒカリ』のコシヒカリ由来のゲノム率が80%:60%と大きく違う理由です。

人間であれば子は親の遺伝子を50%ずつ引き継ぎます。
しかし
稲の子品種は親の遺伝子を均等に引き継ぐとは限らないのです。
(稲の”親-子”は人間でいうところの”祖父母-孫”の関係です)

同じく片親に『コシヒカリ』を使って育成された品種でも「どのような性質に注目して選抜するか」によって母本父本どちらかに遺伝子が偏った品種は十分生まれ得ることは上の例で示した通りです。
『コシヒカリ』の遺伝子を多く残した個体が選抜された結果が『あきたこまち』であり
『コシヒカリ』と『黄金晴』両親の遺伝子をほぼ均等に残した個体が選抜された結果が『ヒノヒカリ』ということでしょう。


と…ということはだよ?
あたいはコシヒカリの子で間違いないってことでいいんだよね!?
そうよ~
びっくりさせてごめんなさいね~

(びっくりしたことにびっくりですわ…)
えと…私も近縁係数とゲノム率がだいぶ近似していますから、選抜も両親の性質を均等に引き継いできたと言えるのかもしれません。
ちなみに上の例の【パターン13】のように元の品種はほぼそのままに、他品種の耐病性の導入だけを目指す育種の極致が『コシヒカリ新潟BL』や『ハツシモ岐阜SL』です。
理論上は雑種世代を繰り返してもBLは出てくるはずなんだけどね~
確率的に非常に低いから何度も”戻し交配”を行うのよ~
は~い!はいはいはい!
質問!

どうしました?つや姫。
ぜんぜんわからない!
ええ…
そう言えば結局、私ってコシヒカリの何になるのかしら?
もう長くなり過ぎたので出てこないでください…
ええ!?(また?)








しかし…
この通りだとするとそもそも稲に近縁係数を用いること自体間違っているような気もするのですが…じっさいどうなんでしょう?➡コメント欄参照
※近縁係数は「いくつの対立遺伝子座がどちらで固定するかの平均だそうなのでこれで良いようです。(Kayさん解説感謝です!)
なので本当の遺伝子依存率はやはり幅が出るようですね。(人間だって祖父母-孫間では25%の依存率とはならないはずですしね)

繰り返しになりますが、これは管理人の勝手な解釈なのでどこか(もしくはほとんど)間違っている可能性があります。



参考文献

〇「コシヒカリ」の全ゲノム塩基配列解読:http://www.naro.affrc.go.jp/archive/nias/seika/nias/h22/nias02201.htm
〇コシヒカリとその近縁品種の栽培面積:http://tmhkyoshida.my.coocan.jp/yosida/honbun/kosimen.htm

2018年6月9日土曜日

【ポストコシヒカリ】について考える~新ブランド品種平成30年度生産量~



東北各県でも田植えが終了。
北陸・東北で新登場したブランド米達の田植えには各県知事や市町村長が出向いて新興ブランドの宣伝に余念がない様子。


◯緒言~ポスト”コシヒカリ”~

さて
減反政策の終了を見越してのこの新品種ラッシュの中、福井県の胡散臭い『いちほまれ』に用いられ、そのせいもあってか、報道の中で新興ブランドを目指す品種達の代名詞のようにも使われることがあるポストコシヒカリ”

ちなみに、しつこいかもしれないんですが、越南17号の品種名はカタカナで『コシヒカリ』が正しい表記です。
商品名としてひらがな表記の「こしひかり」もありますが、あくまでも品種名はカタカナで『コシヒカリ』なんです。

なのに

「コシヒカリ発祥の地」とか宣っているくせに当の福井県が「ポストこしひかりとか表記してるんですよ、ほんとサイテー
福井県の情報発信のいい加減さがこんなところからも見て取れますね。



◯そんな福井県はさておいて 2018年度生産目標

話が超ずれました。
新興ブランドたちの生産基準・出荷基準については前日の記事で書きましたが
6月になり、大体出揃った平成30年度の生産量は以下の通りです。
(『ゆめぴりか』はどう探しても情報が見つけられんかった…)


デビュー年(プレ)都道府県品種名H30作付面積H30耕作者数H30生産目標
2015年(2014年)青森県青天の霹靂1,977ha853経営体10,000t
2017年(2016年)岩手県銀河のしずく1,000ha(?)7,500t
2018年(2017年)岩手県金色の風240ha1,200t
2010年(2009年)山形県つや姫9,293ha5,321人56,000t
2018年(2017年)山形県雪若丸1,709ha90組織1,987名10,000t
2018年(2017年)宮城県だて正夢286ha21団体387人1,400t
2017年(2016年)新潟県新之助2,100ha11,000t
2018年(2017年)福井県いちほまれ600ha約380人3,200t
2018年(2017年)富山県富富富531ha481生産者2,500t
2017年石川県ひゃくまん穀650ha3,700t
2018年高知県よさ恋美人100ha500t
2018年(2017年)熊本県くまさんの輝き



こんな感じです。

既にブランド化の確立やデビューから十分時間の経過している『つや姫』は別格として

平成30年度(2018年)をもって全品種が…訂正、『よさ恋美人』以外が本格デビューとなるわけですが

生産目標量が最も多い部類に入るのが約10,000トンで、デビュー4年目となる青森県『青天の霹靂』、デビュー2年目の新潟県『新之助』が作付面積も約2,000haでほぼ並んでいます。
そしてなんとそこに本格デビュー初年度の山形県の、山形県の『雪若丸』が並びます。(誇張)この迅速さ、まさに牛若丸の鵯越逆落とし!!(意味不明)
『雪若丸』の作付面積は約1,700haと少な目なのに生産目標が並んでいるのは、『雪若丸』は最高級ブランド路線ではなく、反収の抑制をそれほど考えていない、ということの表れでしょうか?
しかしそれにしても展開が早い…他の同時期ビュー品種と比べてもピカイチの速さ(?)です。

生産目標で次点は7,500tの岩手県『銀河のしずく』。
ただ…作付面積約1,000haで生産目標7,500tって「IBC岩手放送」の記事に書いてあったんですが…そんなことあります?
作付面積1,300~1,400haくらいないと辻褄合わないような気も…『銀河のしずく』ってそんなに多収品種だっけ…?

次いで生産目標が3,000t前後なのが北陸三県で、福井県『いちほまれ』、富山県『富富富』、石川県『ひゃくまん穀』の三品種です。
ただし
本当は富山県の『富富富』は当初作付目標1,000haだったので、募集期間の延長もしましたが、結局目標の半分程度しか生産希望者は集まらなかった模様。
しかし…名称募集や情報発信等々、ブランド化に拙速感・準備不足感・後手後手感が漂う(『富富富』の記事参照)富山県ですが、なぜ最初から1,000haも作付を目指したのか…
やはり色々噛み合ってないようにしか思えない『富富富』(というより富山県)

最後に生産目標1,000t強を掲げているのが岩手県『金色の風』と宮城県『だて正夢』。
単純に生産量の増が早ければ優秀、とするのは不適とは思いつつも
『金色の風』『だて正夢』、共に前日の記事で栽培基準や出荷要件などがすんなり見つからなかった(情報発信が弱い)二品種だったのは偶然なのか…(各県の戦略の違いもあるとは思いますが)
ブランド化戦略でスピードがどのように影響を与えるか素人の私にはわかりませんが…岩手県と宮城県、大丈夫?



◯”ポストコシヒカリ”を考える

ようやく本題。

”ポストコシヒカリ”を考えるにあたり、『コシヒカリ』という品種をどのようにとらえているか?で大きく意味合いが違ってきます。

世間一般的な『コシヒカリ』の意味するところでは
①全国に普及し、日本最大の作付面積を誇る品種『コシヒカリ』
②日本最高級の品種銘柄『コシヒカリ』(新潟県魚沼産)
の二面性があると思われ、”ポストコシヒカリ”も両者の意味が混同して使われている感があります。
広く普及(作付)される品種としての『コシヒカリ』、最高級ブランドとしての『コシヒカリ』、この両者は同一には扱えないものです。

「『はえぬき』後継 山形142号」で書きましたが、今や道府県単位で狙う価格帯に応じた品種構成が進んでおり、狙っている路線も理解せずに”ポストコシヒカリ”と一緒くたにすることには個人的に抵抗があります。

①に対する”ポストコシヒカリ”で間違いがないと思われるのは石川県の『石川65号(ひゃくまん穀)』と言えます。
平成29年度は新品種であることと在庫の少なさから少し高騰気味のようでしたが、栽培要件や生産者登録制などの制限は見受けられず、あくまでも作付面積の多い品種『コシヒカリ』に一部置き換わり、栽培特性・収量に優れた品種としての普及を目指す様子がうかがえます。
中・外食産業向けと石川県が公言していることからも、高級ブランド化とは一線を画していることがうかがえます。


◯では、”ポストコシヒカリ”筆頭の『いちほまれ』は?

参考までに平成27年度の相対取引価格(年平均)ランキングを下に掲載しましたが、『福井県産コシヒカリ』は全国第21位となっています。
福井県は『いちほまれ』がこの価格帯でいいと思っているのだろうか?(いや、思っていない)

全国の相対取引価格5位以内を目指す!と言っている『金色の風』を要する岩手県も、県産『ひとめぼれ』は全国第50位。
岩手県は『金色の風』がこの価格帯でいいと思っているのでしょうか?

結局
上記の新興ブランド米達の目指すところは一体どこなのか?と考えると答えは簡単です。
そう
彼女たちの目指すところはなにか?と言えば
『新潟県(魚沼産)コシヒカリ』
と言って語弊はなく、世間一般の報道で使われる”ポストコシヒカリ”にしても、この意味に『銀河のしずく』『雪若丸』『石川65号(ひゃくまん穀)』と無関係の品種も一緒くたにして扱っているだけです。(正確には『青天の霹靂』も別路線)


◯結論

実は”ポストコシヒカリ”とは”ポストコシヒカリ新潟BL”ということになるかと思います。

福井県は「コシヒカリ発祥の県として~」なんて言ってますが、実質的な意味では、目指しているのは(下落気味とはいえ)全国で高価格で販売されている『コシヒカリ新潟BL』のポジションな訳です。

ただし…ブランド化競争に負ければ、おそらく待っているのは現在の『コシヒカリ』と同価格帯での取引、前述した①としての”ポストコシヒカリ”です。
むしろ、知名度が広がらず、他県産のブランドに圧倒的に圧されれば、『コシヒカリ』以下の取引価格という事態まで想定しなければいけません。
各県相当な費用をかけて宣伝してはいますが、認知度の上がらなかった銘柄の多くに与えられるのは無銘のブレンド米用途(業務用米)です。
業務用米をことさら卑下するつもりはありませんが、やはり多大な宣伝費用を注ぎ込んでいる以上、低価格帯に甘んじるような事態は避けたいと考えるのが当然でしょう。


今年が本格デビューとなる新興ブランドも多く、各種報道によっては「いよいよ勝負の年」のように書かれていますが、それは少し楽観的過ぎやしないでしょうか。
今年はすでに「勝負の結果が出る年」というには性急に過ぎる…でしょうか?



◯蛇足~やはり偉大な『コシヒカリ』~

とは言え、下の表を見て頂ければわかると思いますが、やはり相対取引価格の上位を占めているのは圧倒的に『コシヒカリ』。
コシヒカリ御三家の『ひとめぼれ』『あきたこまち』『ヒノヒカリ』ですら大きく溝をあけられています。
やはり『コシヒカリ』は偉大な品種と言って差し支えないと思われますが、その『コシヒカリ』をさらに別格の領域まで押し上げ、頂点としてのブランドを確立させたのが新潟県です。

そういう立場を考えるとまた”ポストコシヒカリ”の意味合いもいろいろなものがあるな、とまたまた考えられます。
美味しいお米の代名詞『コシヒカリ』のように美味しいお米の産地の代名詞としての”ポスト新潟県”を明らかに目指しているのが我が山形県。
県産米の著しい評価低下を防ごうというスタンス(のように管理人の独断と偏見により見える)青森県とはやはりなにか一線を画しているのかな?とも思います。




…それでなんで西日本の米はこんなに高いんだ?(わからない…)
う~ん…収穫が早いから”新米”としての取引額が東北より高めになる…のかな?



順位産地品種銘柄地域区分価格
1新潟コシヒカリ(コシヒカリBL)魚沼20,442
2山形つや姫17,953
3新潟コシヒカリ(コシヒカリBL)岩船16,628
4新潟コシヒカリ(コシヒカリBL)佐渡16,600
5北海道ゆめぴりか16,209
6新潟コシヒカリ(コシヒカリBL)一般16,186
7山梨コシヒカリ15,993
8福岡夢つくし15,215
9福岡元気つくし14,998
10鹿児島あきほなみ14,822
11長崎コシヒカリ14,785
12熊本コシヒカリ14,534
13兵庫コシヒカリ14,439
14鹿児島コシヒカリ14,414
15熊本森のくまさん14,330
16岐阜コシヒカリ14,307
17宮崎コシヒカリ14,266
18静岡コシヒカリ14,238
19鹿児島ヒノヒカリ14,229
20富山コシヒカリ14,228
21福井コシヒカリ14,206
22長崎にこまる14,180
23三重コシヒカリ伊賀14,131
24京都コシヒカリ14,109
25佐賀さがびより14,089
26石川コシヒカリ13,901
27長崎ヒノヒカリ13,857
28長野コシヒカリ13,782
29山口コシヒカリ13,708
30三重コシヒカリ一般13,625
31宮崎ヒノヒカリ13,622
32熊本ヒノヒカリ13,608
33島根コシヒカリ13,606
34滋賀コシヒカリ13,601
35高知コシヒカリ13,511
36福岡ヒノヒカリ13,493
37福島コシヒカリ会津13,424
38大分ひとめぼれ13,402
39宮城つや姫13,393
40香川コシヒカリ13,343
41山梨あさひの夢13,328
42鳥取コシヒカリ13,306
43山形ひとめぼれ13,227
44愛知コシヒカリ13,210
45大分ヒノヒカリ13,197
46北海道ななつぼし13,117
47徳島コシヒカリ12,970
48佐賀夢しずく12,940
49広島コシヒカリ12,933
50岩手ひとめぼれ12,930
51栃木コシヒカリ12,904
52埼玉コシヒカリ12,878
53秋田あきたこまち12,845
54宮城ひとめぼれ12,827
55宮城ササニシキ12,815
56岐阜ハツシモ12,798
57京都キヌヒカリ12,729
58山口ヒノヒカリ12,696
59茨城コシヒカリ12,648
60山口ひとめぼれ12,648
61静岡あいちのかおり12,638
62高知ヒノヒカリ12,630
63佐賀ヒノヒカリ12,630
64静岡きぬむすめ12,618
65富山てんたかく12,563
66三重キヌヒカリ12,558
67愛媛コシヒカリ12,536
68岐阜あきたこまち12,535
69千葉コシヒカリ12,530
70奈良コシヒカリ12,525
71福井ハナエチゼン12,519
72島根きぬむすめ12,511
73北海道きらら39712,508
74長野あきたこまち12,485
75山形はえぬき12,445
76岩手あきたこまち12,422
77新潟こしいぶき12,412
78愛知あいちのかおり12,382
79香川ヒノヒカリ12,322
80鳥取きぬむすめ12,316
81滋賀キヌヒカリ12,258
82奈良ヒノヒカリ12,123
83鳥取ひとめぼれ12,112
84秋田ひとめぼれ12,066
85愛知大地の風12,051
86岡山ヒノヒカリ12,051
87福島コシヒカリ中通り12,048
88栃木なすひかり12,021
89兵庫ヒノヒカリ12,000
90広島あきろまん11,983
91兵庫キヌヒカリ11,961
92秋田めんこいな11,928
93埼玉キヌヒカリ11,914
94石川ゆめみづほ11,899
95岩手いわてっこ11,898
96島根ハナエチゼン11,890
97岡山あきたこまち11,885
98埼玉彩のかがやき11,878
99滋賀日本晴11,859
100群馬あさひの夢11,844
101青森つがるロマン11,787
102茨城あきたこまち11,769
103広島ヒノヒカリ11,764
104愛媛ヒノヒカリ11,740
105愛媛あきたこまち11,732
106青森まっしぐら11,582
107徳島キヌヒカリ11,561
108岡山アケボノ11,536
109群馬ゆめまつり11,525
110栃木あさひの夢11,382
111福島ひとめぼれ11,146
112福島コシヒカリ浜通り11,138
113千葉ふさこがね11,120
114千葉ふさおとめ10,988
115茨城ゆめひたち10,795
116福島天のつぶ10,530
116全銘柄平均13,175
















2018年6月4日月曜日

【はえぬき成長日記】始めます(た)~バケツ稲~

※この後、窒素摂りまくって無事再分げつしました(髪)

唐突ですが始めます(た)。


いわゆるバケツ稲ですが、今回はTwitterでやっていきます(多分)↓


バケツ二つで3本植えと5本植えの二種を試してみます。
肥料入れ過ぎた気がする…のでおそらく分げつ数がとんでもないことになるでしょう(保険)。

はてさてどうなることやら…Twitterの使い方よくわかりません…




本当はつや姫、雪若丸、はえぬき山形三姉妹揃い踏みといきたいところなんですが、前者二名は種苗法による保護の他にも
生産者ガイドラインにより種苗としての第三者への譲渡が禁止されています。
たかだかバケツ稲でそこまで…などと軽く考えるなかれ。(というか管理人が軽く考えたくない)

汎用品種はえぬきちゃんが最適です。

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