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2024年1月14日日曜日

いじめられた(影の薄い)『おぼろづき』さん



Xにだけ上げていてこちらに載せていなかったなと。

ちなみにこれは北海道在住の人にこんなこと(大分脚色ありますが意味としてはこんな感じ)を言われた内容です。
やはり米の生産量で1万トンを割るともはや「幻」なのかも知れません・・・
まぁ『ササニシキ』のように全盛期がスゴすぎると2万トン近い生産量があっても「幻の米!」とか言われているんですが(でもそれは現実はどうでもよくて商業的宣伝文句が欲しい人間が言ってるだけなのかもですが・・・)



実用的な低アミ北海道品種の草分け的存在『おぼろづき』。
北海道米のエース『ゆめぴりか』のデビュー時のつまずきをフォローできる実力者だけど、影が薄いだけだから!


令和5年現在でも、ホクレンさんでよりいっそう厳選した『おぼろづき』のブランド「八十九」販売中です。
育つまでに八十八回の手間が必要なお米にさらに掛けた一手間「八十九」是非ご賞味あれ!




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2023年12月20日水曜日

酒米の心白形状~線状心白とは~【漫画】穎童ちゃん登場!




米っ娘が受粉して作る米の名前は「穎童(ほさきわらべ)」!
そんな穎童ちゃんを使って心白の説明です。
穎童の心白は瞳に現れます。


いつもの日本酒界隈のナゾ話(デマ話)なのですが
「酒米の中で線状心白を唯一持っているのは強力と雄町と『山田錦』だけ。『山田錦』は人工的に作られた品種だから、本当に線状なのは強力と雄町だけ」

みたいな話をそこそこ目にします。

これの根拠知っている方いたら是非コメントください酒屋さんに聞いたとか日本酒系メディアに載ってたとかはダメですよ?)



酒米の重要形質とされる「心白」ですが、品種につき単一の心白形状が出るわけではなく、様々な形状の心白が発現します。
そしてその割合は品種によって偏りがあり、『山田錦』は確かに線状心白が大分出やすい部類ですが・・・他の二品種は????

ところで
『山田錦』ですら線状心白は全体の約3割
約2割が点状で
約1割が眼状
約1割が腹白
そして残り3割は(少なくとも見た目は)心白無し。

今でも「線状心白を持つ『山田錦』こそ醸造適性最高峰」的な説明を見ることがありますが
全体の約30%の線状心白があるだけで、そんなに他の品種と差が付くのでしょうか???(『美山錦』とすら1割くらいしか差が無いですよね?)

日本酒界隈の話は謎が多いですね。


参考文献

〇酒造好適米の栽培テキスト:ASK稲作研究会((株)アスク)
〇高温障害に強い多収穫酒造好適米の開発:広島県立総合研究所食品工業技術センター







2023年1月16日月曜日

愛山11号さんの苦悩(明石農業改良実験所etc…って?)





内向的な『愛山11号』さんですので、なかなかはっきり言えないのですが、日本酒界隈で言われていることが誤情報だらけじゃ無いでしょうか?というお話を抽出。


「幻の酒米」⇒たいていの酒米品種より相当生産量が多い
という表現は、まぁ宣伝の一部と考えればまぁ…と思いつつも
大抵の地方酒造好適米品種よりは相当な生産量あるんですよね、『愛山11号』。
(令和2年の)検査数量で15位/120品種の品種が幻とはこれいかに。


「兵庫県立明石農改良実験所」⇒育成してないしそもそも存在しない
『愛山11号』を交配したとか、育成したとかいう謎の組織の名称。これが本当に謎。
日本酒界隈ではこれ一色なんですが、兵庫県はこんな組織運営してないよ?誰が言いだしたん?

ちなみに
兵庫県では昭和22年5月に設置された「明石農改良実験所」は存在します。
もともと兵庫県立農事試験場では昭和2年より全額国庫補助を受けて農林省指定水稲新品種育成事業を行っていましたが、昭和22年にこれを農林省に移管し、同場平岡試験地を農林省農事試験場中国支場に移管しました。
前述の水稲育種事業の移管に伴い、兵庫県立農事試験場内に「農林省明石農事改良実験所」を設置し、事業を継続することになります。(前述の平岡試験地は「明石農事改良実験所平岡試験地」に)
兵庫県立の試験場内に出来た国の出先機関で、水稲の新品種育成を行うための、繰り返し言いますが「国の組織」のようです。
この後昭和26年4月1日に研究機関の整備統合で「明石試験地」となり、その翌年昭和27年4月1日本場(農林省中国農業試験場)へ移転となり、「水稲育種研究室」に変わりました。
明石農事改良実験所の名称だったのはたったの5年と大変短いですね。

ということではい、『愛山11号』の交配は昭和16年明石農事改良実験所は昭和22年5月設立
(「農業」と「農事」の違いに目をつぶっても)そもそも交配時(昭和16年)にそんな機関は存在しない。
そもそも兵庫県立じゃない。
当然この実験所が『愛山11号』を育成した記録なんてどこにもない。

どこからこの妄想は始まったんでしょうか?


「『山田錦』よりも栽培が難しい」⇒試験評価的には別に難しくない
実際の現場の声として「栽培が難しい」というなら、現場の人間でも無い私がどうこう言えた立場ではないのですが…
当時の試験場の評価が「背が高くて倒れやすいから試験を打ち切った」とされていることが非常に多いですがそんな記録はありません
『愛山11号』は対照『山田錦』より5cm程度稈長が低いですし、耐倒伏性も同等かやや強いとの評価だったので、これは完全に誤りです。
耐病性も『山田錦』と同程度で、試験が打ち切られたのは玄米品質の悪さからです。(「胴切れ米」と呼ばれる米粒の真ん中がくびれる、ヒョウタンのような形になる米粒ができる率が高いとか)
「古い品種は倒れやすくて栽培が難しい」という勝手な妄想だけが先行して根付いてしまっているのでしょうか。

「戦後廃れた」⇒廃れる前に栄えてない
これも多分「古い品種→戦前から栽培されてる」という勝手な妄想を言い出した蔵かメディアがあってコピペコピペでいつの間にか根付いたんじゃ無いでしょうか。
栄華を誇っているのはまさに平成後期~令和の現在であり、それ以前に栄えたことはないのですから廃れることも出来ないのでは…
一応昭和後期には16haまで下がってはいますが、それ以外の最盛期が30ha程度だったことを考えると「廃れた」というのもちょっと違うと思うのですが…
これもイメージだけが先行している印象を受けますが、日本酒界隈の酒米情報は基本こういった「イメージ先行(根拠無し)」が常と言えば常なのですが…



これらの明確な根拠(一次資料)があれば是非教えて頂きたいです。


関連記事





参考文献

〇農業試験場60年史:兵庫県立農業試験場
〇研究40年のあゆみ:農林省中国農業試験場






2021年3月6日土曜日

イラスト「令和2年度穀検食味ランキング『はえぬき』特A復活」

題材
 『令和2年度穀検食味ランキング『はえぬき』特A復活!!!!!!!!!!!』

登場品種  
 山形45号  『コシヒカリ』
 山形97号  『つや姫』
 山形112号 『雪若丸』





令和3年3月4日17:00に穀検による令和2年度食味ランキングが発表されました。

山形県産は産地の異なる3品種6銘柄を出品、4産地品種銘柄が特Aとなりました。

『はえぬき』が最上産で特A復活だぜこのやろう!!!
おめでとう!ほんとうにおめでとう!

本人よりも『つや姫』のほうがうれしいですよきっと(管理人妄想)ということで今回のイラストです。
そして『つや姫』の心情がまだちょっとわからない『雪若丸』さん。

最高級品種()の『つや姫』は『山形県村山産』および『山形県庄内産』で安定の特A獲得。
山形県産としてはこれでデビュー以来11年連続の特A獲得です。
『北海道産ななつぼし』『佐賀県産さがびより』と並んで『魚沼産コシヒカリ(新潟IL)』の12年連続の記録まであと1年です。

食味ランキング特A連続最長としては『新潟県魚沼産コシヒカリ』の28年連続や、『山形県産はえぬき』の22年連続が有名どころですが、厳密に同一産地品種銘柄としてみれば、最長連続特A記録は以下の通りです。(と言っても基準品種や県単位で出す場合の取り扱いなども変わっているのでこれも”厳密”とは言い切れないのですが…)


1位.【16年連続】『新潟県魚沼産コシヒカリ』(平成元年~平成16年)
2位.【15年連続】『山形県内陸産はえぬき』(平成6年~平成20年)
3位.【14年連続】『新潟県佐渡産コシヒカリ(新潟IL)』(平成17年~平成30年)
4位.【13年連続】『岩手県県南産ひとめぼれ』(平成16年~平成28年)
5位.【12年連続】『新潟県魚沼産コシヒカリ(新潟IL)』(平成17年~平成28年)


この視点で見れば、山形県の『つや姫』も毎年産地が変わっているので連続と言うには微妙かもしれませんが、平成29年に山形県全体から2産地方式に変更してから出品してる2産地両方とも漏れることなく特A獲得を続けていますから北海道や佐賀県と並んで「山形県産つや姫11年連続特A」言ったっていいでしょ?(強引)

そういう意味で言えば、『雪若丸』が最上産で「A」評価になったのは少し苦しいところ…
とは言え
同じ土俵でも岩手県の『金色の風』に新潟県の『新之助』に食味ランキング不参加の品種もありますし、くどいようですがこれがすべての指標というわけではありません(でもやっぱり第三者評価としてそれなりの宣伝価値はあるんですよね…)


最近乱戦気味の食味ランキングですが、『愛知県産ミネアサヒ』が県初・品種初特A獲得とかどうなっているだい?(愛知県や『ミネアサヒ』を貶める意図はございません)

そしてやっぱりというかなんというか(これも失礼)
満を持して登場した『富山県産富富富』は…A評価でした

また漫画にしたいな(本当に大丈夫か?)











2020年10月24日土曜日

負けた?いやいや、かったんですよ?



いや…買うっしょ?

日本酒にしても餅製品にしてもですが、「〇〇県産酒米使用」や「〇〇県産もち米使用」みたいな表記ばかりで、稲品種ヲタクとしては寂しい限りですが
こんなふうに単一銘柄がちゃんと表示されている商品を見るとつい「応援しなくちゃ…」ってなるんですよ(ただし自分が擬人化していない品種にはそれほど強く働かない模様)











2020年8月23日日曜日

令和元年度日本穀物検定協会食味ランキング結果【漫画】


【全評価掲載】日本穀物検定協会 食味ランキング【平成元年~】































なんとも最近乱戦気味の穀検の食味ランキングですが
目立つエース米達は、地味に頑張る品種あってこそ(という独断と偏見)。
縁の下の力持ちたちを忘れないようにしたいものです。

そんな今回のマンガは二か所ばかりパクリオマージュを混ぜています。
コシヒカリBLのセリフと、はえぬきのセリフです。
以下、引用です。


ナムコ「ACE COMBAT ZERO THE BELKAN WAR」Larry "PIXY" Foulkeのセリフより


Those who survive a long time on the battlefield start to think they're invincible.
~不死身のエースってのは戦場に長く居たやつの過信だ~

I bet you do, too, Buddy.
~お前の事だよ 相棒~


福本信行氏作 ~天~天和通りの快男児 ●第125話●「不遇」より

ただ…真っすぐ向かっている
ただ…真っすぐ…!
背負おうとしているっ…!

気落ちも気負いもない
ただ真っすぐ…
そのままを背負おうとする…!

そのままを背負おうとするのだ…いつも…!

信じている
たとえどんな境遇であろうと…
それだけで勝負は…
人生は決まらない…!
その思いが背負わせる
投げさせない
ごまかすことを拒否する…!

きちんと背負ってこそ
前へいけるのだ…!
前へっ…!前へっ…!前へっ…!


圧倒的な覚悟…!
不遇のまま敗れることもある…
それはあるんだ…
そのこと自体は否定しない…!
敗れもあるっ…!
いいこと一つなく立ち枯れ
朽ちることもある…!
しかし……それを重々分かった上で
やはり捨てないのだ…
不遇を…
現実を…!

離さないっ…!

貧しさ……
どうにもならない容姿…
才能…
しかし…
それが自分なら……
自分自身というものなら……
しゃあないやろっ…!

そこからいけって……!

逃げるなっ…!
夢想に…!

尽くすっ…!

運命を全て…!
幸運も不幸も全て…
抱え込み……

前へ…!


2020年6月21日日曜日

予告【と言う名の自分への縛り】

令和元年度食味ランキング結果発表

…まぁ何か月も前に済んでいて喜怒哀楽あったわけですが…
新元号初めての食味ランキングと言うことで漫画作成中(と宣言することでさぼらないように、完成するようにしていきたい(切実))
記念すべき1P目


という宣言から二週間以上経ちました。
本日7月8日。
半分出来ましたがまだ半分
やはり完成まで一ヶ月か…

フライングで一ページ目だけ



はえぬきさんに話しかけるも無視?されるつや姫から始まる物語…
後二週間(希望的観測)で完成させ…られるかな







一ヶ月でできるかなぁ…遠い目




2020年4月19日日曜日

山形の主力品種【四コマ漫画】


山形の主力品種と言えば?

ということで





今や(令和2年)山形県の三大品種と言えば

『つや姫』 『雪若丸』 『はえぬき』

これで文句なく決まりです。

時代をさかのぼれば

昭和後期、自主流通米が出始めた頃には、山形県庄内地方では『ササニシキ』、山形県内陸部では『キヨニシキ』が主力となっていました。
特に庄内産『ササニシキ』は新潟、宮城と並んで自主流通米の三大産地(良食味)と数えられるほどでした。
しかし、ご存じのように『ササニシキ』は良食味ながら耐冷性が低いことから、内陸主力の『キヨニシキ』も食味があまり優れておらず、耐冷性も母親の『ササニシキ』譲りで低く、両者ともに時代のニーズに合わなくなりました。

特に平成元年を挟んで冷害が多発し、耐冷性の優れた品種を望む声が多かったようです。

そこで平成の時代になって山形が送り出した「YAMAGATA’S FINEST」ライス、『はえぬき』『どまんなか』の2品種がデビューします。
平野部を『はえぬき』が、中山間地を『どまんなか』が担うはずでした、結局は耐冷性と耐病性により優れた『はえぬき』1品種が山形県内全域を席巻。
隙間を埋める形でこれも耐冷性に優れている『コシヒカリ』および『ひとめぼれ』が一定の作付面積を記録しています。

日本穀物検定協会の食味ランキングで22年連続で特Aを獲得するほどの実力を見せつけ、山形の基幹品種となった『はえぬき』ですが、売値の面では安値の業務用米がほとんど…
「米どころ山形」として栽培特性に優れ、食味も優秀な品種が手に入っても、全国的に有名になることは出来ず…

そんな山形米の転機となったのが平成20年に生まれた『つや姫』でした。

その食味の優秀性はさることながら、なにより全国に先駆けて「ブランド米」を推し進めた山形県の取り組みは実を結び、魚沼産コシヒカリに次ぐ地位にまで上り詰めました。
順調に作付を増やす『つや姫』と相対して、全体的な作付面積の減少も相まってか山形県内『コシヒカリ』の作付はかなり減っていきます。
作付面積としては1位『はえぬき』、2位『つや姫』、3位『ひとめぼれ』となりました。

こういうのが出るくらいですからね。
左から『ひとめぼれ』『つや姫』『はえぬき』さん

『つや姫』で成功した山形県は、高価格帯と低価格帯の中間を担うべき新品種『雪若丸』を平成30年にデビューさせ、山形県の稲作を担う三本柱がここに揃い踏みしました。
『はえぬき』の代替品種が出るような話はありますが、耐冷性に優れ、多肥栽培にも耐えうるこの品種にわざわざ変える必要性も薄いような気もします。



本来であれば山形県には二枚看板の『はえぬき』と『どまんなか』があるはずでした…が…
まぁ察してください

言うほど『はえぬき』だって有名って訳じゃないですからね。




2019年11月10日日曜日

1等米比率ランキング 平成28~30年平均で


さて(H30現在で)

青森県の『青天の霹靂』が第一位
北海道の『ほしのゆめ』が第二位
山形県の『どまんなか』が第三位、と言えば!?


…と言うことで(質問形式なのにタイトルでバレバレという矛盾はさておき)
本日のお題は「1等米比率ランキング」となっております。
(R1現在確定しているのはH30時点での検査数量なので一年遅れのようになっております)

令和初年度の検査状況は?


令和最初の本年ですが、新潟県産コシヒカリ(『コシヒカリ新潟BL』)が一等米比率20.8%(9月末時点)と言われているのを筆頭に、高温障害による検査等級の低下が話題になっていますね。
新潟県で2等以下に格付けされた理由の実に70.2%が、米の色が白く濁るなどの「形質」によるものだそうで、明らかな高温による生育障害です。
他にも高温耐性があると言われる(でも多分耐性無いです)『こしいぶき』でも52.6%と、新潟県にとってなかなか厳しい年になりました。

ただこれは全国的な傾向のようで、全国の1等米比率も昨年度比で約10%低下。
特に東高西低の傾向は強く、西日本の一等米比率はかなり低い状況になっています。
【全国平均67.6%】
上位都道府県は長野県(96.5%)、栃木県(92.4%)、岩手県(91.0%)
下位都道府県は香川県(6.6%)、福岡県(13.8%)、和歌山県(19.2%)となっていますね。

令和元年度1等米比率 都道府県別(%)

都道府県1等米比率都道府県1等米比率
北海道89.8滋賀57.3
青森89.5京都59.3
岩手91.0大阪22.3
宮城59.0兵庫50.1
秋田89.7奈良80.5
山形90.5和歌山19.2
福島84.4鳥取42.8
茨城81.4島根57.7
栃木92.4岡山79.3
群馬55.1広島82.9
埼玉48.1山口73.5
千葉83.6徳島39.9
東京-香川6.6
神奈川38.8愛媛31.6
山梨87.9高知20.2
長野96.5福岡13.8
静岡76.3佐賀54.6
新潟33.1長崎47.5
富山84.6熊本22.6
石川84.6大分47.5
福井86.4宮崎68.1
岐阜53.5鹿児島37.1
愛知20.7沖縄57.5
三重33.3全国平均67.6

東北六県は宮城県以外は80%以上を確保しているものの、軒並み前年度より比率は低下。
因みに宮城県の1等米比率が大幅に低下した(34.5ポイント減)理由は高夜温によるものらしいです。



そもそも”1等米”とはなんぞや~米穀検査における等級検査・品位~

では、そもそもこの「1等米」とはなんなのか?
なんとなく高級な、美味しいお米のことを言っているのでは?と思っている人も少なくないと思います。

だからそれが下がるってことはお米がまずくなっているのかな…と考えてしまう人もいるかもしれませんが
実はこの1等米、2等米と言った区分において、「味」は評価基準に全く含まれていません
では1等米とは何?と言えば…

”見た目の綺麗なお米”という一言に尽きます。

検査員の人が目視で確認して
①粒がそろっていて
②見た目がきれいで
③白く濁ったり、変な色の着いていない、ゴミの入っていない
そんなお米の最上位が1等米と呼ばれます。

玄米の検査規格として詳細な項目は以下のようになっています。


品位整粒歩合形質水分被害粒、死米、着色粒、異種穀粒及び異物
1等70%以上1等標準品15%以下15%以下
2等60%以上2等標準品15%以下20%以下
3等45%以上3等標準品15%以下30%以下
※被害粒や死米、着色粒の項目には「死米」「着色粒」についてさらに最高限度の数値が設定されていますがここでは割愛します。


このように「整粒 70%以上」「1等標準品」「被害粒等 15%以下」の条件を満たすと、1等米と呼ばれます。
細かい内容は以下の通り。

◯整粒…被害粒、死米、未熟粒、異種穀粒及び異物を除いた粒のこと。
◯被害粒…病気、虫害、成長障害等で損傷を受けた粒(発芽粒、病害粒、芽くされ粒、虫害粒、胴割粒、奇形粒、茶米、砕粒等)のこと
◯死米…充実していない粉状質の粒(青死米及び白死米)のこと。
◯未熟粒…死米を除いた成熟していない粒のこと。
◯異種穀粒及び異物…他の植物の穀粒、及び土砂、ガラス片、金属片、プラスチック片のこと。

難しそうな被害粒の名前がいっぱいできますが、要は見た目が綺麗なお米の比率が大きいと1等米、見た目の悪いお米が増えると等級が下がります。

あれ?じゃあ高温障害で玄米が白濁すると何が悪いの?
と、確かに被害粒やその他の定義の中に”白濁”という言葉は出てきません。
と言うことで最後に問題になるのが「1等米標準品」や「2等米標準品」と言う言葉が出てくる「形質」と言う項目。

◯形質…皮部の厚薄、充実度、質の硬軟、粒ぞろい、粒形、光沢並びに肌ずれ、心白及び腹白の程度のこと。

はい、この「心白及び腹白の程度」
ここに近年問題になっている高温障害が非常に大きな影響を及ぼします。
日中の高温、もしくは高夜温によって稲体の体力が損耗、籾に上手くデンプンを転流出来なくなると米粒が十分に充実せず、隙間が生じて、見た目には白濁した状態になります。
障害の程度によって全体的に発生したり一部に発生したりと、程度の違いこそあれ、玄米に白濁りの部分が出来てしまうと、この検査項目に引っかかり、1等米を逃すことになってしまいます。

では1等米でないと美味しくないのか?と言えば…
等級が低ければ必ずしもマズイということではありませんが、まったく関係がないとも言えない…というのが私見です(中途半端)。
まぁ…そんな明確に味に大きな影響を与えるようなものではないのは確かです(与え得る項目もあるけど)。
玄米の白濁なんて、炊いてしまえばわかりませんしね。

ということで
令和元年度産新潟県産コシヒカリについては、2等米となったものが多いものの食味には影響がないことが確認されています。

だがしかし

買取価格は当然2等米より1等米の方が高いデス。(他の野菜とかも見た目の揃っている方が高いですよね。)
お米の味には大きな影響がないとしても、農家の皆さんの収入には大きな影響がある

それが検査等級というヤツです。


【本題一個前】平成30年単年度で見る一等米比率ランキングは?

ということで今日の本題…の前にさらにもう一つ。
1等米比率の高いお米ランキングですが、まずは平成30年度単年度の上位品種と、過年度の順位表をご覧ください。


H30順位品種名H29順位H28順位
1どまんなか96
2銀河のしずく4-
3金色の風--
3青天の霹靂113
5富富富--
6きたくりん38
7いわてっこ3015
7雪若丸--
9いちほまれ--
9そらゆき815
9まっしぐら2829
12とちぎの星69
13ほしのゆめ23
14てんこもり77
15だて正夢--

平成最後の新品種ラッシュ、そして彼女らは高品質を売りにしているものが多いため、『金色の風』『銀河のしずく』『雪若丸』、『富富富』、『いちほまれ』と上位に食い込みながらも、デビューが最近の為、過年度の順位がない品種が多いのですが…
基本的に、単純な作付面積に左右される収量ランキングとは違い、年度毎の変動が非常に大きいのがおわかり頂けるでしょうか?

ちなみにこれらは検査数量1,000t以上の品種に限って集計しています。

純粋に1等米比率のみで集計すると1位に比率100%の品種が10品種前後並ぶのです・・・
それらは生産量一桁(トン)のものがほとんで、一番多くても100tにも届いていない状態。
統計的にも母数が余りにも小さいと信頼性に乏しいかな・・・と

日本の販売農家の平均耕作面積は1.74ha。販売農家数(30a以上)122.1万戸(2018年時)。
※平均耕作面積であって水田のみの耕作面積ではないのですが、H30の耕地面積【田】が240.5万haなので、そこそこ合ってる?ということで解釈してます。
母集団が約100万人で、許容誤差を・・・まぁゆるーく10%としませう。
この場合許容できる精度を持った結果を導くために必要なサンプリング数は100人程度になるはずなので・・・あ、反収は全国平均からキリのいいところで550kg/10aとします。

有効な精度を求めるための”100人の農家が生産するお米の量”は…

100人×1.74ha/人×5.5t/1ha=957t

一戸の経営体が単一品種作っているわけでもないのでしょうが、一つの目安として、こんな計算をしてみて、キリのいいところで1,000t以上の検査数量の品種を対象にしました
まぁ正直言えば、マイナーな品種が10品種以上100%で1位を占めているランキングなんてあまりにも面白みがなさ過ぎて…
ということで、1,000t以上生産されている品種に限って一等米比率のランキングを作成しております。

かつ年度毎の変動が余りにも大きい為に3年平均の1等米比率でランキングを作成しました。然るに、3年分のデータが無い新参品種は今回のランキングからは外れています。
と言うかこれも単年度単年度で見ると順位の変動が激しすぎておもしろくないという私情も・・・

【やっと本題】1等米比率ランキング【H28~H30 3ヶ年平均】

…と言うことで
平成28年~30年の三年間、検査数量1,000t以上の品種の1等米比率ランキングは以下の通りです!


3年総合順位品種名1等米比率栽培地数
1青天の霹靂98.4%1
2ほしのゆめ98.3%1
3どまんなか98.2%1
4きたくりん97.9%1
5大地の風97.7%1
6とちぎの星97.6%1
7てんこもり97.3%1
8きらら39797.1%1
9どんぴしゃり96.9%1
10そらゆき96.8%1
11山形95号96.3%1
12ふさおとめ95.8%1
13ななつぼし95.5%1
14いわてっこ95.3%1
15つがるロマン95.2%1
16はえぬき95%9
17ふっくりんこ94.9%1
18まっしぐら94.6%1
19なすひかり94.3%1
20あさひの夢93.9%10
21ゆめぴりか93.7%1
22つや姫93.3%9
23ふさこがね93.1%1
24てんたかく92.9%3
25めんこいな92.8%1
26風さやか91.5%1
27あきたこまち91.2%32
28ひとめぼれ91.2%35
29ゆめみづほ90.9%1
30ゆうだい2190.9%10
31萌えみのり90.7%7
32みずかがみ90.6%1
33ふくまる90.3%1
34彩のきずな90.2%1
35ハナエチゼン90%10
36おぼろづき89.4%1
37まなむすめ89.4%1
38天のつぶ89%1
39ゆめおばこ88.8%1
40ゆきん子舞88.6%1
41晴るる87.8%1
42あきげしき87.6%4
43元気つくし87.1%1
44みずほの輝き87.1%1
45あきさかり86.7%7
46彩のかがやき86.6%1
47チヨニシキ86.1%4
48つぶぞろい85.8%1
49あきろまん85.7%1
50こしいぶき85.4%1
51能登ひかり84.8%1
52ほしまる83.4%1
53夢ごこち82.4%18
54ほほほの穂82.3%1
55コシヒカリ82.2%45
56ササニシキ81.6%8
57朝日81.3%1
58きぬむすめ80.1%12
59あいちのかおり79.8%3
60京の輝き79.3%1
61ミルキークイーン79.1%36
62さがびより79.1%1
63おてんとそだち78.9%3
64つくばSD1号78.7%10
65大地の星77.5%1
66ゆめひたち77%3
67ゆめまつり75.7%3
68ゆきの精74.4%1
69中生新千本73.9%5
70おいでまい72.6%1
71日本晴71.5%17
72秋の詩70.5%1
73みえのゆめ67.8%1
74ハツシモ67%3
75くまさんの力65.3%1
76にこまる63.6%26
77アケボノ62.7%1
78夢しずく61.9%1
79ミネアサヒ61.8%4
80どんとこい61.7%8
81あきだわら58.8%20
82あきほなみ58.3%1
83さとじまん45.7%3
84ヒノヒカリ44.9%27
85みつひかり44.1%20
86キヌヒカリ43.5%27
87たんぼの夢39.5%1
88あきまさり37.3%3
89イクヒカリ27.4%7
90夏の笑み25.5%1
91金のいぶき13.6%6
92夢つくし12.3%1
93森のくまさん10.5%1




平成28~30年度平均
第1位は青天の霹靂』
青森県のみで栽培。本州最北端、厳寒の地初の特A獲得品種は、平成30年産の収量の少なさで農家離れが見られると言っても県のフラッグシップ米の名に恥じない品質の高さを見せつけています。


第2位は『ほしのゆめ』
北海道のみで栽培。北海道米と言えば『ゆめぴりか』『ななつぼし』、『きらら397』などが有名どころですが、一等米比率では堂々の道1位。
『きらら397』に続き、同産米の定番として役目を果たしてきた彼女ですが、平成26年度産から検査数量はいよいよ1万トンの大台を割って縮小気味…
それでもかつての主力品種として、品質の安定性はピカイチであることの証明かな?

第3位は『どまんなか』!!!

山形県のみでの栽培品種。
登場当初相棒であった『はえぬき』に、現在では作付面積で大きく差を広げられたものの、県のフラッグシップ米候補品種として、その実力をまざまざと見せつけています!!
ソフトで『ササニシキ』に近い味と言われる『どまんなか』
山形県と言えば米沢牛!米沢牛と言えば牛肉どまんなか弁当!牛肉どまんなか弁当と言えば米品種『どまんなか』!
どうかよろしく!

…という茶番はこれくらいにしておいて
上位10品種はすべて単県(道)での栽培品種になっていますね。
ようやく16位になって『はえぬき』(9県で栽培)、20位で『あさひの夢』(10県で栽培)が出てくるのみで、適地栽培というもの大事さが垣間見えるでしょうか。
山形県で開発しているから山形県の風土に適している、だから開発県で栽培した米が一番美味い!…とまでは言いませんが、やはり多少なりともそういった一定の適正地域のような傾向があるのは間違いないでしょう・

しかしそんな中上位に食い込む山形県の『はえぬき』はすごいぞ!すごくないですか!?やはり山形県産米の優秀さの証左ともいえるこの結果を私は嬉しく思うのでありますよ!!!

ちなみに最高級品種として名高い()山形県のつや姫は22位になっていますが、山形県単独としてみた場合の一等米比率は97.7%になっており、この数値ですと単純に見て6位まで食い込みます。
高温登熟耐性に定評のある『つや姫』は、出身地の山形県以外にも九州から甲信まで10の県で栽培されており、残念ながら山形・宮城・島根以外の栽培地での1等米比率は比較して低いものになっています。
単純にこのランキングで下位にいるからと言って主生産地、代表生産地の有名銘柄の質が低い、というわけではありません、あしからず。(そして1等米比率が低いからと言って不味いわけではない)

ちなみに『コシヒカリ』は82.2%で55位ですが、有名な新潟県のコシヒカリ、つまり『コシヒカリ(新潟)BL』さんは…

…うるさいですわ…
あらあら~
あまりイジメないであげて頂戴ね~
わたしも~暑さは苦手なのよ~?



ということでお察しください。(でも味には影響ないんですよ?とりあえず)


有名だけど意外に1等米比率が低い(玄米の見た目の悪い)品種達


品種1位が青森県で、2位の『ほしのゆめ』を筆頭に北海道の品種が軒並み1等米比率が高いのはやはり冷涼な気候のおかげでしょうか。
逆に暑さの影響もあるのか目立って1等米比率が低いのはやはり西日本。そして西日本を中心としている品種は有名どころの品種でも1等米比率は低くなっています。
特にコシヒカリ御三家の一角、『ヒノヒカリ』。

彼女については単純な生産量では4位にまでなっているのに1等米比率ではワースト10入りと言う状態。
華麗なるキヌヒカリ一族、『キヌヒカリ』、『夢つくし』、『はるみ』(未掲載ですが40%台中盤)、『夢しずく』等…

彼女らも50%以下と軒並み低い値です。
個別の2等米の原因がなんなのかわからないと何とも言いにくいですが…
『キヌヒカリ』は炊飯米の白さと輝きは『コシヒカリ』にも勝ると言われる品種です。
しかし心白米が出やすい、との評価があるので、玄米の状態ではやはり1等米評価が受けにくいのでしょうか。

でも『きぬむすめ』ちゃん
は大健闘で80%台に乗せています。


そして最下位…
かつては日本穀物検定協会で日本一位と謳われた『森のくまさん』が
堂々のワースト一位で1等米比率も10%台…
やはり『コシヒカリ』と『ヒノヒカリ』、暑さに弱い者同士の間に生まれたサラブレットは当然暑さに弱いのか…


最後に念押し

どうでしょうか。
今回は1等米比率という観点で、変動が大きい要素であるためなるべく平等な目で見るために少し特殊な(1,000t以上・3年間平均)集計をしてランキングにしてみました。
ただしこれは食味と直接関係のあるものではありません。(ランキング下位がまずい米と言うわけではないです。)

今回のランキングには参加資格なし(検査数量1,000t以下)だったのですが、『龍の瞳』『銀の朏』の高級ブランド・極良食味で有名な『いのちの壱』
彼女も1等米比率は60%程度で、本生産地の岐阜県でも同程度です。
今回のランキングでいくと大分下位の方に分類される割合です。
このように直接的に食味と関連があるものではないのです。

ただ、見た目が綺麗で、形が整い、粒が揃ったお米を高い比率で作る、それは栽培地の技術の高さ、そして稲品種の質の高さを図る上で一種の指標になることは確かです。
そんな”一面”としてこちらのランキングはご覧ください。


岩手県の『銀河のしずく』『金色の風』、宮城県の『だて正夢』、富山県の『富富富』、福井県の『いちほまれ』等、年数が足りないためにランキングに乗ってこない品種達が多かったですが、年を重ねるたびにこのような品種達がおそらく上位を占めるようになる…かもしれません。
福井県内限定栽培を謳っている『いちほまれ』のような品種がむしろ強いかもしれませんね。



※1等米比率が高い県は紹介されるのに1等米比率が高い品種は紹介されないので自分で調べてみた結果でした。


にゃっはー!
山形県いずナンバーワン!
いえーい!
なんばーわん!
ええっ!?
ナンバーワンはおらじゃなかったのか!?
…もう、別に誰が一位でもいいですわよ。
うむ
負け犬のなんちゃらかな?
あの…てんこもり、それはあまりに失礼では…
うむ
…構いませんわよ。
飛びぬけて私が低いのは事実ですわ。
だからね~
暑さに強い娘達には頑張ってもらわないとね~
は…はい!
おまか…
任されたぜ!
…私の言葉を遮らないでくださるかしら…?
あん?
コシヒカリBLのことなんだから関係あるのは俺だろ?
もしくはせめて富富富だな
富富富?
(えー…?)
えーっと…ですね…
これより私たち新興ブランド米より精進いたします。
どうかよろしくお願いします!
雪若丸?
何を勝手にまとめて…
収拾がつきませんでしょう?
おやめなさい。
















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