地方系統名
『青系196号』
品種名
『はれわたり』
育成年『令和2年(2020年) (独)青森県産業技術センター農林総合研究所』
交配組合せ
『青系169号×青系170号』
主要生産地
主要生産地
『青森県』(予定)
分類『粳米』
はれわたり「青く晴れ渡る空に燦々と輝くッス!」 |
どんな娘?
姉である青天の霹靂と(血縁上も近いからか)同様に元気では誰にも負けず、周囲を明るい気持ちをさせることに長けています。
まさに閃光のように全国に知れ渡った姉に続き、全国に自分の名を知れ渡らせようと奮起中。
粘り腰と足腰の強さは青天の霹靂以上、姉では果たせない役割を担うべく、つがるロマンから指導を受けて…いるとかいないとか?
大きな空(全国)をまっすぐと、そしてしっかりと見据えています。
概要
青森県が『つがるロマン』に代わる主力品種として推進…したがっているように見える新品種です。
登場が報じられた令和3年当初、県外では「青天の霹靂、つがるロマン、まっしぐらに次ぐ第四の品種」扱いですが、青森県内ではどうも「青天の霹靂、まっしぐらに次ぐ第三の品種」扱いの報道が強いように見えます。
令和3年2月2日に認定品種に選定され、その後令和4年4月1日に奨励品種へと指定されました。
青森県の基本戦略としては(管理人の憶測ですが)高級品種の『青天の霹靂』、一般・家庭向け品種の『つがるロマン』、業務用向けの『まっしぐら』、これが構想にある(あった)はずです。
しかしながら実態として『つがるロマン』は『まっしぐら』に対して全面的に栽培特性で劣り、食味の面でも客観的に見て大差ないというのが現実です。(そして令和元年『まっしぐら』食味ランキング特A獲得という追い打ち)
『青天の霹靂』が需要に対する適正な生産量を確保できない状況を見ても、青森県の稲作の傾向として「手間をかけて高いもの」よりも「手間をかけずにそこそこを」の傾向が強い(と管理人が勝手に思っている)ことからも『まっしぐら』人気が高い一因になっているのでしょう。
「粘りが強く、柔らかな食味」と、先行デビューで高い評価を受けている『青天の霹靂』と対照的な食味をウリに青森県産米の振興に資することが期待されています。
アミロース含有率は16.5%程度(H27~R2の平均)です。
最速で令和5年(2023年)市場デビュー予定です。
出穂期、成熟期は『つがるロマン』に比べ1日程度早く、稈長はほぼ同じ(試験時78cm)ながら、耐倒伏性は「やや強」との判定です。(茎が硬い?ということ?)
最速で令和5年(2023年)市場デビュー予定です。
出穂期、成熟期は『つがるロマン』に比べ1日程度早く、稈長はほぼ同じ(試験時78cm)ながら、耐倒伏性は「やや強」との判定です。(茎が硬い?ということ?)
「穂首が硬くて穂が垂れにくい」らしいので、きっと根元も硬いでしょう(多分)。
葉いもち病耐性は『まっしぐら』と同等、『つがるロマン』以上の「強」、穂いもち病耐性は両品種より優る「極強」とされています。
真性抵抗性遺伝子型は【Pia】【Pii】と判定。
耐冷性は「強」判定で、これも『つがるロマン』『まっしぐら』より優っています。
収量性は『つがるロマン』とほぼ同等(かやや劣る)で、食味面では勝る評価があるそうですが、詳細な資料発表が待たれますね。
千粒重は試験時で22.7gで、一般的な飯米サイズです。
穂発芽性が「かなり難」なので育苗(播種)の際には気を付けねばならないとか。
高温状態で胴割れの発生が多い『つがるロマン』と違い、同条件下でも胴割粒が少ないことも特徴として挙げられています。⇒令和2年の試験では『つがるロマン』53.2%、『まっしぐら』28.9%と高い胴割粒発生状況の中でもわずか8%と低発生でした。
『青天の霹靂』との共通性
『青系196号』は『青天の霹靂』と味の特徴自体は対称的ですが、交配の系譜を見るとかなりの共通親を持ちます。
そして共に『コシヒカリ』からみて来孫というのも一緒です。(なかなかいないんですよ、来孫)
『まっしぐら』『青系136号』『ふゆげしき』、それと依存度は少ないかもですが『ひとめぼれ』、と共通している品種がいっぱいいますね。
そして輝く『山形40号』…!(これが言いたかっただけ)
名称公募
『青天の霹靂』と対になる・・・と言いながらもどのような扱いになるか注目していましたが、平成後期・令和の例に漏れず、名称公募を行うようです。
ブランディングの一環として、消費者への周知が目的でしょうか。
「透き通るような白さが際立ち、食感は柔らかく粘りが強いなど、これまでの県産米にない特徴を持つ品種です」がキャッチコピー(?)
応募期間は令和3年6月16日から同7月16日まで(当日消印有効)
年齢・性別・国籍を問わず、としているので、青森県民限定というわけでもなさそうです。
応募方法はWebの専門フォームか、郵送(応募専用ハガキかハガキ)というのは一般的ですが、「お一人様一点まで」というのはちょっと珍しい?
賞金50万円の『いちほまれ』の時は「1人で500件応募した」みたいな報道もありましたし、粗製濫造というか乱発応募防止のための措置でしょうか?
まぁでもこの方が練りに練った一押しの名称応募が期待できそうですし、選考の労力も軽減できますね。
採用された方1名に賞金20万円と試食用サンプル『青系196号』60kgを贈呈とのこと。
『つや姫』名称公募の際の副賞にも近いなかなか豪勢な内容です。
ただしその他の応募者に対する副賞はなしで、次点賞や参加賞のようなものは6月16日現在確認できていません。
令和3年11月29日に三村申吾知事の臨時記者会見で選定された名称発表が行われました。
新品種名は『はれわたり』。
応募総数は県内外から10,205件と、一人一件の応募制限があったにしてはお姉ちゃん『青天の霹靂』公募時の11,049件に引けを取らない数が集まったようです。
マーケティングに関わる大学教員、消費者団体、集出荷団体の関係者等を含む10人で構成される新品種名称選考委員会で6つまで案を絞り込み、県が最終的に選考を実施、「青森の晴れ渡る空から恵みを受けた、すがすがしく輝くおコメ」をイメージしたこの名前が選ばれました。
「青森の空が広く晴れ渡るイメージ」を思い描き、全国に知れ渡って欲しいとの願いが込められています。
【いち個人の主観では】
『青天の霹靂』は「青く”晴れ渡る”空に輝く稲妻」。
「晴れ渡る」=「はれわたり」
姉妹繋がりがあって良いなと思うのです、はい。
育種経過
稲品種データベースくらいしか情報がありませんが…
育成開始年は平成21年(2009年)。
系統番号は『黒2522』で、配布開始年が平成27年(2015年)ですからこの年に『青系196号』の地方系統名が付された…はず。
付されたならばそこからの奨励品種決定試験…に5年もかかっているのはどうも長いですね。
通常2~3年程度で白黒はっきりさせているはずですが、『青天の霹靂』同様に育成年の違う他系統との比較試験とかたくさんしたんですかね?
認定品種に制定された令和2年度(2020年)時点ではF12~13くらいにはなっていると思われます(1~2年目に世代促進しているはずです)。
ちょっと遅れ咲き感(失礼)がありますね。
ちょっと遅れ咲き感(失礼)がありますね。
こればっかりは正式発表がないとどこまで行っても推測だけです。
系譜図
青系196号 系譜図 |
参考文献
〇青森米 新品種「青系196号」ネーミング案募集:https://aomori-komehonbu.gr.jp/naming2021/
〇R03Web参観デー農総研 水稲認定品種「青系196号」の特性:https://www.youtube.com/embed/c2uyH2WzPQo?autoplay=1&loop=1&playlist=c2uyH2WzPQo
〇2021年11月29日 知事臨時記者会見:https://www.youtube.com/watch?v=hS2kBj4yL2g
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