地方系統名
『秋田128号』
品種名
『サキホコレ』
育成年『平成31年(西暦2019年) 秋田県農業試験場』
交配組合せ
『中部132号×つぶぞろい』
主要生産地
主要生産地
『秋田県』
分類『粳米』
サキホコレ「さぁ見事に咲き誇ってみせましょう」 |
誰も知らない、おいしさの頂点へ
どんな娘?
極幼少期の名前が有名になり過ぎて正式名称を名乗っても「え?だれ?」となることが多い娘。
正式な秋田県主力米の後継ぎとしてのみならず、さらにその上を担う身としてその意識は高い。
高い故か、少々甘やかされて育てられたせいか時折自分本位のわがままも垣間見え、特に住環境にはうるさい。
そういった行動で勘違いされがちだが、基本的にあきたこまちよりもあらゆる面で体は丈夫になり、仕事の質も高い。(求められている仕事の質が遙かに高いことが要因)
唯一、物事に取り組むときに集中しすぎて時間がかかってしまうのが珠に傷。
概要
秋田128号『サキホコレ』は
商品コンセプトは「秋田の地力がいつもの食卓を上質にかえる。日本人のDNAに響くおいしいお米」
米どころとして名高い東日本各県が高級ブランド米を展開する中、遅ればせながら…ええ、本当に…遅れ馳せでした。
東北や北陸の主立った「米どころ」各県が、平成30年(2018年)の減反政策廃止に合わせて、その前年に続々と高級ブランド等の新品種を打ち出す中、なしのつぶてだったのが秋田県と福島県。
その福島県も令和2年に新品種『福、笑い』を打ち出している中でも、いまだ秋田県は名称応募の状態…というかなりの遅れっぷり。(とはいえ系適番号時点で広報したり名称応募の副賞に100万円を計上するなどスタートの遅れ自体は重々承知している様子)
兎にも角にも
秋田県も「コシヒカリを超える極良食味品種」をコンセプトとした新品種を発表したのでした。
◯白さとツヤが際立つ外観
◯粒感のあるふっくらとした食感
◯上品な香り、かむほどに広がる深い甘み
これらをウリに”米どころ秋田県”が推しています。
作付け地域は気候条件の整った県央・県南の市町村(地域)に限定され、秋田県県北地域では栽培できません。
◯白さとツヤが際立つ外観
◯粒感のあるふっくらとした食感
◯上品な香り、かむほどに広がる深い甘み
これらをウリに”米どころ秋田県”が推しています。
作付け地域は気候条件の整った県央・県南の市町村(地域)に限定され、秋田県県北地域では栽培できません。
秋田県内では晩生に属する『サキホコレ』は、登熟期間の気温が低いと十分にその食味を発揮できないとされており、秋田県県北地域はおしなべてその期間の気温が標準に達していないのが理由です。(出穂後40日間は平均気温22℃が必要)
通常の普及品種の育成であれば、秋田県農業試験場もこの点を妥協するようなことはなかったのでしょうが、これもまた「食味最優先」の育種によるある意味弊害といえるでしょうか。
栽培方法による改善が見込まれればより作付け可能地域は拡大する予定だそうですが、特に県北地域や栽培地域から外された農家からは反発の声もあるようです。
栽培地域のみならず、生産者も当然のごとく登録制です。
栽培地域のみならず、生産者も当然のごとく登録制です。
正確には登録された「生産団体」のみが生産可能で、「生産者3名以上」と「集荷業者」によって構成される必要があります。
JAなどへの一律全量出荷を求めているのではなく、生産団体ごとに出荷業者が付くことも可能なようです。(需要に応じた生産、集荷・出荷体制、技術指導体制などが求められますが)
栽培条件について、稲作では常識である「毎年100%種子更新(購入)・自家採種禁止」は当然として、「農薬使用量(成分)1/2以下(10成分以下)」が加えられています。
特別栽培に該当させる場合に必要な「化学肥料の使用量減」は条件に加えられていませんが、食味に与える影響はないという判断でしょうか(実際そうですし、農薬の使用量減も食味には関係ないんですが)。
出荷基準も「1等米もしくは2等米」、「玄米粗タンパク質含有率6.4%以下(水分15%換算)」、「水分含有率14~15%」と高級路線にしては少し緩い感じもしますが、栽培目標は別に定められていると思われます。(多分)
令和2年には令和4年度(2022年度)の生産団体を募集し、19団体から登録申請がありました。
「秋田米新品種ブランド化戦略本部」の審査により14団体、合計約719haの作付けが決定しましたが、目標としていた800haの作付面積(令和4年度の予定)には届かないため、令和3年度に改めて生産団体を募集するそうです。
一応プレデビュー年となる令和3年度(2021年)は約80haの作付けで約400tの生産を見込み。
味にこだわりを持つ消費者や飲食店を主な顧客と想定し、売り込みをかけます。
秋田米ブランド推進室は「価格以上に価値のある米だと消費者に感じてもらいたい」と期待するものの、コロナ禍も有り主要銘柄が軒並み価格下落する中でその前途は多難か。
『あきたこまち』より成熟期で10日ほど遅い晩生種で、収量や玄米千粒重は『あきたこまち』並です。
耐倒伏性は「中」と並なものの、いもち病耐性は「やや強」と先代『あきたこまち』(やや弱)よりも強くなりました。いもち病真性抵抗性遺伝子は【Pii】と推定。
高温登熟耐性および耐冷性の両方が「やや強」となっており、近年問題になっている高温による品質低下にも強く、万が一の冷害にも備えているといえるでしょう。
名称公募
ご多分に漏れず名称は一般公募。
何度でも言いますが他県に比べて大幅に遅れている秋田県。
地方系統名である『秋田128号』がつかないうちに広報を始めたので、系統名のさらにその前、試験系統用の仮番号『秋系821』が用いられ、以後最後まで継続しているようです。
古くは『きらら397』(上育397号)から、平成中後期に『つや姫』(山形97号)や『いちほまれ』(越南291号)など、名称公募時に地方系統名で知られた品種は少なくないですが、品種とも呼べない段階である仮の系統番号で知られている(そして地方系統名が全く知られていない)のはこの『秋田128号』くらいではないでしょうか?
兎にも角にも
令和2年4月7日から5月17日にかけて公募を行いました。
出遅れを意識してか、福井県の『いちほまれ』を超える副賞を設けました。
最優秀賞(1名)に賞金100万円と『秋系821』30kg。
優秀賞(4名)に秋田県農林水産物5万円相当と、『秋系821』5kg。
また審査員特別賞(若干名)として大館曲げわっぱ弁当箱と『秋系821』5kg。
最後に秋系821賞として応募者の中から300名に『秋系821』2合分。
中でも目を引くのはやはり最優秀の賞金100万円で、他県と比べてもその金額は破格の高額さ。
それを反映してか応募総数は日本全国および海外からのものも含め過去最大(かもしれない)の25万893件。
この中からまずは一次選考が行われます。
「新品種の本質を捉えた名称」など、秋田米新品種ブランド化戦略本部で示された方針に沿ってブランド課総合プロデューサーの梅原真氏が20案を選考。
さらに専門家・有識者で構成する名称選考部会(敬称略)【梅原真(デザイナー、武蔵野美術大学客員教授:高知県)、君島佐和子(雑誌「料理通信」編集主幹:東京都)、鶴田裕(専門誌「食糧ジャーナル」編集部長:東京都)、田宮慎(合同会社casane tsumugu代表:秋田県)、JA全農あきた、秋田県】において、令和2年8月、最終候補となる6つの名称に絞りました。
番号 | 候補名 | 説明 |
---|---|---|
① | 秋うらら(あきうらら) | うららかに晴れた秋の日。食べると心がうっとりするようなおいしいお米 |
② | あきてらす | 秋田から日本の食卓を照らすような、おいしさと存在感を持つお米 |
③ | 秋の八二一(あきのはちにいいち) | 研究段階の番号「秋系821」から命名。研究者の努力により、多くの新品種候補から選ばれた特別なお米 |
④ | 稲王(いなおう) | 王様の名にふさわしい食味・品質、存在感を持つお米 |
⑤ | サキホコレ | 花が咲き広がるように、全国で食されてほしい。生産者と消費者へのエールでもある |
⑥ | べっぴん小雪 | 雪国で育まれた、美しく、別格(べっぴん)なおいしさのお米 |
令和2年10月秋田県知事による最終選考が行われ、11月17日に名称発表。
品種名は『サキホコレ』に決定しました。
○選考理由
・市場で長く親しまれ、存在感を示すことができる。
・響きが良くて、メッセージ性が高く、プロモーションの展開に期待が持てる。
・明るい未来を感じさせる。
○ネーミングに込めた思い
・「秋田の地力」から生まれた「小さなひと株」が、誇らしげに咲き広がって、日本の食卓を幸せにしてほしい。
・この名前は、お米自身へのメッセージであると同時に、生産者や消費者に明るいチカラを与えてくれる「エール」でもある。
佐竹知事によれば最終選考は『サキホコレ』か『稲王』かの二択に絞っており、最終的には名称から性別がイメージされないように配慮したとのこと。
11月21日にキックオフイベントと共に、名称公募者である秋田市の警察官、成田氏に賞金100万円と『サキホコレ』30kgの授与式も行われました。
成田氏曰く「花が咲くように全国に広がってほしいとの想いを込めた。みんなに愛されるコメになってほしい」とのこと。
令和3年度にはパッケージデザイン発表と先行作付け。
令和3年7月8日に東京の神田明神ホールでパッケージデザインの発表が行われました。
同年3月に県が選考した日本デザインセンター(東京)社長でデザイナーの原研哉氏による考案で、「白地に筆で大きく”サキホコレ”と書かれた」シンプルなもの。
・・・まぁ個人の偏見なんですが、シンプルが過ぎませんか?(何も印象に残らなそう・・・)
令和4年度に一般作付けと市場デビューを予定しています。
※令和2年時点で育種論文がないので以下の内容が単体育種のことなのかプロジェクト全体のことなのか(特に選抜系統数)不明です。
育種経過
※令和2年時点で育種論文がないので以下の内容が単体育種のことなのかプロジェクト全体のことなのか(特に選抜系統数)不明です。
全国屈指の米どころである秋田県として、産米の新たな顔となり、産地を牽引していくことができる極めて食味の高い品種の開発が急務とされていました。
そんな「極良食味品種」開発のプロジェクトは平成26年度(2014年)から開始されました。
”プロジェクト"は平成26年からですが、その”育種”は平成22年(2010年)から始まっていました。
母本は『中部132号』、父本は『つぶぞろい』の交配になります。
◇『中部132号』は愛知県の育成した品種で、良食味かついもち病への抵抗性が高い品種です。
おそらく『みねはるか』由来の高度ないもち病圃場抵抗性所持系統です。
◇『つぶぞろい』は秋田県が育成した品種で、大粒・良食味の品種となっています。
『ひとめぼれ』以上の耐冷性・いもち病耐性も持つ優良種です。
平成22年(2010年)に交配。
翌平成23年(2011年)は世代促進が行われます。(詳細は不明ですがF2~F3?)
平成24年(2012年)は12万株を養成。
『中部132号』×『つぶぞろい』交配後代のみでこの数…はないと思いますので、おそらく良食味試験系統全体のことだと思われます。
平成25年(2013年)の試験系統が800系統なので、おそらく800個体選抜したものと思われます。
平成25年の800系統は翌平成26年(2014年)には80系統まで選抜(この年から極良食味米プロジェクト開始)。
平成27年(2015年)は28系統、平成28年(2016年)には16系統に絞られます。(プロジェクト全体の候補系統数と推定)
平成29年(2017年)にはついに最終5系統が選抜され、おそらくこの中の一つが『秋系821』であると思われます。(まさか5系統すべてが同じ交配後代では…たぶんないと思いますが…)
平成31年(2019年)3月、『秋系821』は、県、関係農業団体等で構成する「秋田米新品種デビュー推進会議」において、新品種候補に決定されました。
その系適番号で大々的な宣伝が行われます。
最終的に地方系統名『秋田128号』を与えられます。
『秋系821』の系適番号が広く広まったことに加え、丁度秋田番号も120番台と丁度良かったことから「821=128」と似た番号を割り振ったことが窺えますね。
令和2年11月に品種名『サキホコレ』が決定し、秋田県のフラッグシップ米としてのスタートを切ります。
系譜図
秋田128号(秋系821)『サキホコレ』 系譜図 |
あ!今日も早く更新してる。さてとどんなきじかなー...ふーん珍しく(というか初?)記事名に?マークが入ってる。どんなお米かなー...
返信削除who are you?(というか128号?821号ではなくて...ナニソレボクハジメテミター)
いやでもこれは後につ〇姫やコ〇ヒカ〇などの超有名なお米になる可能性もなくはないですね。僕的には最終名称候補6つの中で『稲王』が一番似合ってると思いますがクロネコさんはどう思われますか?早く試食してみたいものですね!(前半の茶番はお許しくださいッッッ!!)
by12TK
最初の記事の漢字変換するの忘れた…お恥ずかしいぃ(〃ω〃)
削除by12TK
秋田128号についてはゲフンゲフン…
削除現在有名どころの『あきたこまち』『ゆめおばこ』共に女性的な名前ですから、続けて3姉妹とするのか、対照的な男性的に名前にするかというところだと思いますが…
自分は米っ娘なんてものをしているので、どうしても前者(3姉妹)のイメージが強いですね(汗
というわけで
男性らしい『稲王』が除かれ
古くさい感じのする『サキホコレ』、事故ってる感じのする『秋の八二一』
”秋”田県なのはわかるけど「あき」のつく品種多過ぎ問題から『秋うらら』『あきてらす』も除き…
というわけで
『べっぴん小雪』ちゃん推しです(。・ω・。)
とは言え、ただの個人的な願望なので
①「あき」名称が三つもあることを考えると、秋田県としてはこの中から選ぶんじゃないかな…
②山形県の姫・若、岩手県の銀・金と対照的な名称に対抗して男性的な『稲王』かな…
という予想です(当たったためしがない)