2015年11月8日日曜日

秋田31号~あきたこまち~ 【特徴・育成経過・系譜図・各種情報】

地方系統名
 『秋田31号』
品種名
 『あきたこまち』
育成年
 『昭和59年(西暦1984年) 秋田県 県農業試験場』
交配組合せ
 『コシヒカリ×奥羽292号』
主要産地
 『秋田県』
分類
 『粳米』
「『あきたこまち』でござ~い。」




どんな娘?

コシヒカリ御三家の一角にして、秋田県産米達の大先輩&大黒柱。

出身地は福井県ですが、養子縁組のような形で秋田県に渡り、その秋田県を代表する品種にまで成長しました。
公的には親権がどこにも無い状態ですが、福井県と秋田県が半々持っているというのが彼女の心の内。

『ひとめぼれ』が冷静な時はあまり表に出ないようにしていますが、何かあった際にはまとめ役を買って出ることが多く(残る『ヒノヒカリ』に落ち着きがないというのもありまっすが)、リーダー気質はあるものの、常には飄々と一歩引いた振る舞いを心掛けている様子。
語尾が「~ねぃ」と独特だが、何に由来しているか不明。




概要

『はえぬき』が知名度不足で涙目なのに対して、抜群の知名度を持つ彼女(色々と話題は尽きない)。
作付面積は4位なのですが、検査数量では『コシヒカリ』、『ひとめぼれ』に次ぎ堂々の3位。(『ヒノヒカリ』何をやってる…)
そんな『あきたこまち』の擬人化です。


もちもちと粘りのある食感で、冷めても味が落ちにくいのが特徴。


秋田県と言えば『あきたこまち』!と言っても過言ではない、値段と質のバランスのとれたお米にして、『はえぬき』の父方にあたります。
そんな『あきたこまち』ですが、実は当初は全国的に有名な品種にするにあたって「あきた」という直接的な地名を使うことには抵抗もあり、『あきこまち』が第一候補だったとか。
しかしながら販売戦略上、地名は必ず必要だ!直接販売担当側の強い要望により、『あきたこまち』と命名、結果これは成功したと言って良いのではないでしょうか?


また、平成28年ころから始まった新ブランド米競争では各県が周知のために億単位の宣伝費を投じるのが常ですが、この『あきたこまち』に関しては

1.米どころとしては有名だったものの、長らくオリジナル品種の無かった秋田県で久々の新品種
2.当時としては珍しい「『コシヒカリ』を超える米」として日本穀検のお墨付きを得た

これらのことから各種マスコミに大きく取り上げられ、労せずして日本全国にその名前を売ることに成功したと言われています。


今現在彼女は東北を中心に安定的な作付面積を誇っています。
跡継ぎの『ゆめおばこ』を暖かい目で…見守っているのかな?
さらに秋田県のフラッグシップ米も2022年に新登場予定。
世代交代も近いかな?


萌え米(パッケージ)とやらの先駆けになったのは彼女(無根拠)。
(と言いつつも、実物を見たことは無いのですがコシヒカリBLの『BL(ボーイズラブ)押し』の方が早かった…かな?)
平成20年(2008年)9月22日にJAうご(秋田県羽後町)から販売されたのが先駆だと勝手に思っています。
イラストを手掛けたのはイラスト作家の西又葵先生。
平成26年産(2014年)からは2代目こまち娘も登場。

今(2017年)や探せば萌え米なんていくらでも見つかりますが、キャラクターの作りやすさがやはり先駆者となれた要因?



育種経過

『あきたこまち』となる稲個体の育種が始まった昭和51年(1976年)頃、米不足から米余りの時代へと変わりつつあった中、秋田県には主力となる良食味品種が不在でした。
『コシヒカリ』や『ササニシキ』と言った良食味品種は当時の秋田県では晩生に過ぎ、とても主力としては期待できず、より早生の良食味品種が渇望されていました。

そのような中秋田農試では、独自の育成品種とは別に福井農試で交配された【コシヒカリ×奥羽292号】品種のF2(雑種第二代)のわずか一株を譲り受けました。(石黒慶一郎市場長より畠山研究員へ)

この福井農試のF2を含め、多くの交配品種の系統選抜、個体選抜が行われました。
実質、何十万という株の中からついに昭和55年(1980年)、有望な個体として2個体(『生5505』,『生5504』)が残りました。
奇しくもそれは、福井農試から譲渡を受けた個体の後代だったそうです。
その後2年の圃場栽培試験を経て個体『生5505』系統が『秋田31号』として産声をあげました。
さらに2年間の現地栽培を経て、昭和59年(1984年)『あきたこまち』と命名されました。

ちなみに
秋田県が独自の育種を行っていた1941年までには『秋田25号』まで地方番号が付されていたそうですが、今回(1982年)の育種再開までの長期のブランクを考慮し、26号~30号までは欠番として、再開第一号を『秋田31号』としたそうです。

福井農試が産み、秋田農試が育てた『あきたこまち』、種苗法による登録はその権利を両試験場が譲り合ったために為されていないとか…
始まりとなった種子の譲渡にも見られるように、育成・研究者の方々の謙虚な姿勢に支えられて、「あきたこまち」があると言っては過言でしょうか?


系譜図

蛇足ですが…ネット上での彼女の系譜図は大混乱です。
父本の奥羽292号、そのさらに父本雑種第一代のさらに父本
これが『大系434号』『大系437号』『大系437』とバラバラです。

○米品種大全5では『大系434号』(ネット上の多くのサイトはほぼこの『大系434号』との表記)
○ネット上の系譜図で『大系437号』
○論文『山形45号(はえぬき)の育種』では『大系437』

でもとりあえず下の系譜図『大系437』でいいはず…
※H29.4.1追記
気になってしようがないので㈱米穀データバンク様に問い合わせたところに、丁寧に回答いただきました。
まず『あきたこまち』を育種した秋田農試験、『あきたこまち』の原種を交配した福井農試にも問い合わせしたところ、『大系』の番号を付した『現・農研機構東北研究センター大仙研究拠点』への問い合わせが最も適当であるとの助言をいただいたそうです。
そこで、『現・農研機構東北研究センター大仙研究拠点』に直接問い合わせたところ奥羽292号の育成参考成績書等には『大系437』と記載されていたそうです。
この『大系437』は品種という位置付けにない、研究段階のもののため『号』も付かないとのことで、結論として『大系437』の表記が正しいとのことです。
まぁ米品種のそんな祖先の系譜を気にする人は居ないのでしょうが、ネット上の系譜図『大系434号』は残念ながらすべて間違いなのですが、おそらく当分修正されることはないのでしょうね…ネット社会恐るべし(まぁ一般の方には大した問題ではないのでしょうね)
ちなみに
そもそも㈱米穀データバンク発刊『米品種大全』の系譜図は農水省農蚕園芸局編「水陸稲・麦類奨励品種特性表」(昭和62年9月発行)の系譜データを採用していたそうですので、国が発行したこの特性表が間違っていたようです。(私も見てみましたが確かにガッツリ『大系434号』の記述が)
『米品種大全』の系譜図については次回の書籍編集の際に修正頂けるそうです。
㈱米穀データバンク様にこの場をお借りしてご対応に感謝申し上げます。


秋田31号『あきたこまち』系譜図

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