2018年3月21日水曜日

山形県『はえぬき』後継が『山形142号』→河北新聞のデマでした。

魚沼産コシヒカリ漫画は遅々としながらも進行中ですが…

これは話題にしないわけにはまいりません。

山形県の主力『はえぬき』の後継品種がついに…!
→【平成30年8月31日追記】『山形142号』が『はえぬき』の後継品種というのは河北新聞の報道によるものだったのですが、どうやらフェイクニュース(誤報)のようです。
 育種状況もよくわかっていない山形県の誰かさんがよほどお粗末な情報をリークしたか河北新聞の記者さんがよっぽどお粗末な取材・理解をしたようです。
 この段階(平成29年度)では未だに評価途上であり、『はえぬき』の後継となるのか、そもそも品種登録されるのかすら不透明な状況、と言うのが正確なようです。
 以下、当初の【『山形142号』が『はえぬき』の後継品種に決定した】ノリで書いたものですが、各都道府県の価格帯構成に関する考察という観点でご覧ください。

そもそも山形45号『はえぬき』は山形35号『どまんなか』とのタッグで山形県の基幹品種を構成、全国に米どころ山形のブランド名として流通させることが目的でした。
相方の『どまんなか』が栽培特性や食味のタイプの違い等の理由で作付面積が振るわないものの、『はえぬき』は見事に山形県の基幹品種として成長し、日本穀物検定協会食味ランキングで22年連続で特Aを獲得するなど、食味の優秀さも示しました。

しかしながら当初山形県内に限定された作付、宣伝戦略の失敗等が重なり、知名度や取引価格は低迷。
外食・中食産業からは前述した食味の優秀さに加えて(一般消費者の知名度不足による)低価格により堅調な需要を保っていますが、当初の目標であったブランド化からは程遠い状況でした。



最近は新品種が出ればブランド米ブランド米とメディアは騒ぎ立てていますが
一般用飯米の目指すところとしては。おおざっぱに以下の三段階に分かれるかと思われます。

①高価格帯(~中価格帯)の高級ブランド品種(富裕層?向け)
②中価格帯(~低価格帯)の一般用飯米品種(一般家庭向け)
③低価格帯の業務用米(外食・中食産業向け)


①が一般的なイメージの”ブランド米”でしょうか?
挙げるまでも無いとは思いますが、『青天の霹靂』『金色の風』『つや姫』『だて正夢』『新之助』『富富富』と、多くの新品種が出ています。
既存銘柄では『魚沼産コシヒカリ』が最たるものでしょうか?(『龍の瞳(いのちの壱)』も有名なんですが、道府県単位ではないのでちょっとここで上げるには微妙…かな)
栽培方法によっては価格帯を広く設定しているものもあり、その点は道府県の戦略によって異なるようです。
あ、胡散臭い『いちほまれ』忘れてました(わざと)。

②は近年の『銀河のしずく』『雪若丸』のように①の品種ほど栽培に手はかけないものの、既存品種より高い価格で取引される良食味品種として、農家の収入アップが期待されています。
山形県の『つや姫』は2018年現在、ブランド品種としての立ち位置を獲得し、それなりの価格帯で取引されるようにはなりましたが、栽培に手がかかるため、実質農家の収入増にはあまり繋がらないというのが実情、という声も聞かれます。

③が実は今最も需要があるのですが、同価格帯品種の生産量減(農家の引退、高価格帯米への生産切り替え等)により、値段が高騰気味です。
古くは北海道や青森県の品質の悪い米を混ぜ物にして増量…なんて時代もありましたが、今やしっかり食味に優れ、かつ栽培特性にも優れた多収の品種がその役割を果たしています。




と前置きが長くなりましたが
各道府県、この①②③価格帯品種の構成が進んでいます。
(とは言え各道府県の知名度や戦略等々あるので単純比較はできないのですが)
低アミロース系の裏方さんたちはこの際カット。


北海道
①『ゆめぴりか』
②『ななつぼし』
③『きらら397』

青森県
①『青天の霹靂』
②『つがるロマン』→後継品種選定中
③『まっしぐら』

山形県
①『つや姫』
②『はえぬき』(『雪若丸』)
③『はえぬき』

新潟県
①『魚沼産コシヒカリ』『新之助』
②『コシヒカリ』
③『こしいぶき』


新潟県だけ品種じゃないだろ、という点はうまいこと解釈してください。

ようやく話が『はえぬき』に戻りますが、安定した極良食味を持ち、①価格帯を狙ったものの、結局知名度の低さから低価格の業務用米に甘んじており、②、③価格帯を『はえぬき』一品種が担っている状況でした。
近年ようやく①価格帯へブランド品種『つや姫』を確立することに成功し、弟分の『雪若丸』も②価格帯への切り込みを狙って登場したところですが、いよいよ③価格帯としての『はえぬき』にも後継を出すようです。
『はえぬき』が業務用だなんてあまりにも役不足感が否めませんから、それ専用品種はぜひ欲しいとは個人的には思います。


嬉しいような…寂しいような…
え…通常品種の寿命は10~20年程度と言うそうですから、必然と言えば必然なのですが…
『はえぬき』の従妹?にあたる青森県の『つがるロマン』も後継品種選定中です。

山形県が開発したのは『山形142号』(ですが『はえぬき』の後継品種と決まったわけではありません)
2018年度から特性把握のための予備調査に着手し、早ければ22年産での本格デビューを目指します。

母本『雪若丸』(正確には山形112号)父本『山形122号』を交配させた後代から選抜。

『雪若丸』  …『山形80号』×『山形90号』
『山形122号』…『山形99号』×『奥羽397号』

多収性と穂いもち病への耐性に優れ、耐倒伏性も強く、『雪若丸』由来のしっかりした食感を受け継いでいるそうです。
ちなみにF8で地方系統名がついたとか。


【以下、平成30年8月31日追記】

ただし食味評価は『はえぬき』上上に対して『山形142号』上下と2ランク下と、極良食味品種としては「?」と言った感じだそうです。

多収性には見張るものがある…らしんですが、『はえぬき』も反収620kgくらいをある程度の品質を維持して達成することが可能なので、やはりおいそれと【はえぬきの後継】を名乗るには厳しい気がします。



ところで、この前テレビで見たんですが…
うん?
雪若丸が、新食感が過ぎて(既存の品種とタイプが違い過ぎて)今現在適合する炊飯器がどこにもないそうです。
炊けることは炊けるんですが、”最適”な炊飯が出来る製品がないそうです。
ええ?そうなんですか?
えー本当に?
雪若丸は私のような低アミロース系とはまた違う品種…だからでしょうか?
はえぬきより高めのアミロース含有率と正反対ですし
大粒も特徴ですからね。

今回発表がされた山形142号も食味が雪若丸系統だそうなので2022年までにはちゃんと最適に炊ける炊飯器が出来ているといいですね。
えと…はえぬき?
自分の引退についてはなにもナシですか?

引く時が来れば引く、それだけです。
え!?
はえぬき辞めちゃうの!?
えと…つや姫?
いままで何を聞いていたんですか…?
でも~
雪若丸に加えて、山形142号もデビューするってことは~
山形県産の私やひとめぼれも引退かしらね~
 ………

ねぇいなくなっちゃうの?
はえぬき、いなくなっちゃうの?
あの…まだ5年はありますし
すぐさま全面切り替えにはなりませんよ(多分)、つや姫。
ふふ…
本格的な世代交代、ですか。
いつの世でも継ぎ、継がれる時は来るものですね。
その際のてんやわんやも、な。
しかしこれがなければ何も変わらない、何も進まない。
そういうものだ。
あら~?
亀の尾、大場、それは私に「早く引退しろ」…とでも言いたいのかしら~?
そうだな。
”老害”はさっさと消えた方がいいからな。
こら大場、言葉が過ぎますよ。
”老害”となるならば、な。
古ければ良いというわけでもないし、古いからといって駄目というわけでもない。
そういった”当たり前のこと”を見失わないことだ。
だろう?
うふふ…
そうね…
コ…コシヒカリは引退にはまだまだ早いですわよ…
引退してもらっては…困りますわ…
何言ってるの~
私なんてもうとっくにおばあちゃんなんだから~
…それでも…困りますわ…
…貴女がいるのだもの。
そろそろ楽させてくれてもいいんじゃないかしら?
………
ね?
つや姫も
少なくともあと5年はありますし、引き続きよろしくお願いします。
…うん。
わーだーすーはー!????????(私は!?)

なして山形県品種勢ぞろいでわだすだけでねんだべや!?
わだすははえぬきとちっこいころがら一緒にいだのになんでわだすだけでてこねぇんだべや!?
大体引退がなんだべや!
即消える訳でもないべ!?
わだすだってまだ消えてねぇべや!!!
ど…どまんなか…落ち着いてください







【平成30年8月31日】
って言うか誤報だったんがず!!!


6 件のコメント:

  1. こんにちは。はえぬきが世代交代ですか…。いくつもの都道府県で奨励品種に指定されているような子は交代もゆっくりだと思いますが、山形県内のみでなら比較的スムーズに移行するのでしょうかね…?私事ですが、先日、米目的の東北旅行に参りまして、最終日に山形市内の物産店に立ち寄り、初めてはえぬきを購入しました。自分が住む関西ではなかなか商品として目にすることがないので、食べるのが楽しみです。

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    1. おおお!
      山形県来訪&『はえぬき』ちゃん買っていただけましたか!

      水加減がてきとーでも美味しく炊けるしっかりした粒感の『はえぬき』、美味しく食べて頂けるとありがたいです~

      と、言っても個人の好みがあるので「絶対おいしいに決まってる!!」なんてことを気軽に言えないのが、変な話米の良いところと思います。(私は巷で人気の『ゆめぴりか』が苦手です。)

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  2. 山形県は「はえぬき」後継について、マスコミに情報オープンで行くのか……というのが個人的な驚きです。
    まあ、もう1系統に決め打てているとか、現在全国の試験場を揺るがしている「品種登録の未譲渡性の解釈問題」からは無縁の未配布系統だからとか、何か戦略があるとかいろいろあるんでしょうけど。

    ってか、既に1系統に絞り込み済みだから、2022年本格デビューが現実的なんですよね……。同時期デビューかつ「デビュー年には現時点での『つがるロマン』全部を置き換えるだけの種子を用意する」予定なのにまだ複数残しとか無茶にも程が…おっと、これ以上言うと私の身が危ない。

    青森県の場合は地方系統番号持ちから候補選んだけど、山形県の場合は品種候補として完全に決め打ったから地方系統番号を付与したってところですね。それといろんな大人の事情とかいろいろ思うとやっぱり山形県の立ち周りは上手いなと思います。

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    1. 山形142号は多分「はえぬき」より良食味を推す宣伝が為されそうな予感がしますね。あと耐冷性基準は「はえぬき」が品種登録されたときとは違っている(ざっくり言うと「はえぬき」時代の「極強」は現在基準の「かなり強」。だから「吟烏帽子」は品種登録上「かなり強」表記だが旧基準の「極強」)ので、もし耐冷性「極強」で来るなら「はえぬき」以上の可能性が高いでしょうね。
      あと、いもち病抵抗性については……「山形119号」ってどうなったんでしょうね(「はえぬき」のpi21のIL)

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    2. 耐冷性について訂正。青森県の属する東北北部では旧極強=かなり強のようですが、山形の属する東北中部では「ひとめぼれ」を強とするのが今の基準なので、現在の基準だと「はえぬき」は強とするみたいです。例えば「雪若丸」の耐冷性もその基準での「中」なので、多分「はえぬき」や「ひとめぼれ」が極強の基準に直すと「やや強」になるような感じです。
      基準品種の地域差、区分が7段階から9段階に増え、従来の「極強」を越える耐冷性の表記ができるようにした結果ですが……私もちょくちょく悩みますw

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    3. …あれ?
      『ポストロマン』は2020年まで試験・選定…でしたっけ?
      2021年育種家種子→原々種栽培?
      2022年原々種→原種栽培?でびゅー
      原種→種もみ栽培…
      …あれ?うん、きっとうまいことする方法があるんですよね、きっと。うん。


      はぇ~
      そして耐冷性って基準改変なったんですね、知りませんでした。
      山形142号の耐冷性は記述ありませんでしたが、最近のトレンドを見ると『はえぬき』並みの耐冷性を持たせていないような気もしますが、実際どうなんでしょうかね?

      どちらにせよ『ポストロマン』も『ポストはえぬき』もあと5年(最短、あくまでも最短)。
      その頃にはH29~30年デビューの高級路線品種達の趨勢もある程度決まっていそうですね。
      先行している『つや姫』や『青天の霹靂』達は価格を維持できるのか、(個人的に)やきもきしてます…

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