2018年6月9日土曜日

【ポストコシヒカリ】について考える~新ブランド品種平成30年度生産量~



東北各県でも田植えが終了。
北陸・東北で新登場したブランド米達の田植えには各県知事や市町村長が出向いて新興ブランドの宣伝に余念がない様子。


◯緒言~ポスト”コシヒカリ”~

さて
減反政策の終了を見越してのこの新品種ラッシュの中、福井県の胡散臭い『いちほまれ』に用いられ、そのせいもあってか、報道の中で新興ブランドを目指す品種達の代名詞のようにも使われることがあるポストコシヒカリ”

ちなみに、しつこいかもしれないんですが、越南17号の品種名はカタカナで『コシヒカリ』が正しい表記です。
商品名としてひらがな表記の「こしひかり」もありますが、あくまでも品種名はカタカナで『コシヒカリ』なんです。

なのに

「コシヒカリ発祥の地」とか宣っているくせに当の福井県が「ポストこしひかりとか表記してるんですよ、ほんとサイテー
福井県の情報発信のいい加減さがこんなところからも見て取れますね。



◯そんな福井県はさておいて 2018年度生産目標

話が超ずれました。
新興ブランドたちの生産基準・出荷基準については前日の記事で書きましたが
6月になり、大体出揃った平成30年度の生産量は以下の通りです。
(『ゆめぴりか』はどう探しても情報が見つけられんかった…)


デビュー年(プレ)都道府県品種名H30作付面積H30耕作者数H30生産目標
2015年(2014年)青森県青天の霹靂1,977ha853経営体10,000t
2017年(2016年)岩手県銀河のしずく1,000ha(?)7,500t
2018年(2017年)岩手県金色の風240ha1,200t
2010年(2009年)山形県つや姫9,293ha5,321人56,000t
2018年(2017年)山形県雪若丸1,709ha90組織1,987名10,000t
2018年(2017年)宮城県だて正夢286ha21団体387人1,400t
2017年(2016年)新潟県新之助2,100ha11,000t
2018年(2017年)福井県いちほまれ600ha約380人3,200t
2018年(2017年)富山県富富富531ha481生産者2,500t
2017年石川県ひゃくまん穀650ha3,700t
2018年高知県よさ恋美人100ha500t
2018年(2017年)熊本県くまさんの輝き



こんな感じです。

既にブランド化の確立やデビューから十分時間の経過している『つや姫』は別格として

平成30年度(2018年)をもって全品種が…訂正、『よさ恋美人』以外が本格デビューとなるわけですが

生産目標量が最も多い部類に入るのが約10,000トンで、デビュー4年目となる青森県『青天の霹靂』、デビュー2年目の新潟県『新之助』が作付面積も約2,000haでほぼ並んでいます。
そしてなんとそこに本格デビュー初年度の山形県の、山形県の『雪若丸』が並びます。(誇張)この迅速さ、まさに牛若丸の鵯越逆落とし!!(意味不明)
『雪若丸』の作付面積は約1,700haと少な目なのに生産目標が並んでいるのは、『雪若丸』は最高級ブランド路線ではなく、反収の抑制をそれほど考えていない、ということの表れでしょうか?
しかしそれにしても展開が早い…他の同時期ビュー品種と比べてもピカイチの速さ(?)です。

生産目標で次点は7,500tの岩手県『銀河のしずく』。
ただ…作付面積約1,000haで生産目標7,500tって「IBC岩手放送」の記事に書いてあったんですが…そんなことあります?
作付面積1,300~1,400haくらいないと辻褄合わないような気も…『銀河のしずく』ってそんなに多収品種だっけ…?

次いで生産目標が3,000t前後なのが北陸三県で、福井県『いちほまれ』、富山県『富富富』、石川県『ひゃくまん穀』の三品種です。
ただし
本当は富山県の『富富富』は当初作付目標1,000haだったので、募集期間の延長もしましたが、結局目標の半分程度しか生産希望者は集まらなかった模様。
しかし…名称募集や情報発信等々、ブランド化に拙速感・準備不足感・後手後手感が漂う(『富富富』の記事参照)富山県ですが、なぜ最初から1,000haも作付を目指したのか…
やはり色々噛み合ってないようにしか思えない『富富富』(というより富山県)

最後に生産目標1,000t強を掲げているのが岩手県『金色の風』と宮城県『だて正夢』。
単純に生産量の増が早ければ優秀、とするのは不適とは思いつつも
『金色の風』『だて正夢』、共に前日の記事で栽培基準や出荷要件などがすんなり見つからなかった(情報発信が弱い)二品種だったのは偶然なのか…(各県の戦略の違いもあるとは思いますが)
ブランド化戦略でスピードがどのように影響を与えるか素人の私にはわかりませんが…岩手県と宮城県、大丈夫?



◯”ポストコシヒカリ”を考える

ようやく本題。

”ポストコシヒカリ”を考えるにあたり、『コシヒカリ』という品種をどのようにとらえているか?で大きく意味合いが違ってきます。

世間一般的な『コシヒカリ』の意味するところでは
①全国に普及し、日本最大の作付面積を誇る品種『コシヒカリ』
②日本最高級の品種銘柄『コシヒカリ』(新潟県魚沼産)
の二面性があると思われ、”ポストコシヒカリ”も両者の意味が混同して使われている感があります。
広く普及(作付)される品種としての『コシヒカリ』、最高級ブランドとしての『コシヒカリ』、この両者は同一には扱えないものです。

「『はえぬき』後継 山形142号」で書きましたが、今や道府県単位で狙う価格帯に応じた品種構成が進んでおり、狙っている路線も理解せずに”ポストコシヒカリ”と一緒くたにすることには個人的に抵抗があります。

①に対する”ポストコシヒカリ”で間違いがないと思われるのは石川県の『石川65号(ひゃくまん穀)』と言えます。
平成29年度は新品種であることと在庫の少なさから少し高騰気味のようでしたが、栽培要件や生産者登録制などの制限は見受けられず、あくまでも作付面積の多い品種『コシヒカリ』に一部置き換わり、栽培特性・収量に優れた品種としての普及を目指す様子がうかがえます。
中・外食産業向けと石川県が公言していることからも、高級ブランド化とは一線を画していることがうかがえます。


◯では、”ポストコシヒカリ”筆頭の『いちほまれ』は?

参考までに平成27年度の相対取引価格(年平均)ランキングを下に掲載しましたが、『福井県産コシヒカリ』は全国第21位となっています。
福井県は『いちほまれ』がこの価格帯でいいと思っているのだろうか?(いや、思っていない)

全国の相対取引価格5位以内を目指す!と言っている『金色の風』を要する岩手県も、県産『ひとめぼれ』は全国第50位。
岩手県は『金色の風』がこの価格帯でいいと思っているのでしょうか?

結局
上記の新興ブランド米達の目指すところは一体どこなのか?と考えると答えは簡単です。
そう
彼女たちの目指すところはなにか?と言えば
『新潟県(魚沼産)コシヒカリ』
と言って語弊はなく、世間一般の報道で使われる”ポストコシヒカリ”にしても、この意味に『銀河のしずく』『雪若丸』『石川65号(ひゃくまん穀)』と無関係の品種も一緒くたにして扱っているだけです。(正確には『青天の霹靂』も別路線)


◯結論

実は”ポストコシヒカリ”とは”ポストコシヒカリ新潟BL”ということになるかと思います。

福井県は「コシヒカリ発祥の県として~」なんて言ってますが、実質的な意味では、目指しているのは(下落気味とはいえ)全国で高価格で販売されている『コシヒカリ新潟BL』のポジションな訳です。

ただし…ブランド化競争に負ければ、おそらく待っているのは現在の『コシヒカリ』と同価格帯での取引、前述した①としての”ポストコシヒカリ”です。
むしろ、知名度が広がらず、他県産のブランドに圧倒的に圧されれば、『コシヒカリ』以下の取引価格という事態まで想定しなければいけません。
各県相当な費用をかけて宣伝してはいますが、認知度の上がらなかった銘柄の多くに与えられるのは無銘のブレンド米用途(業務用米)です。
業務用米をことさら卑下するつもりはありませんが、やはり多大な宣伝費用を注ぎ込んでいる以上、低価格帯に甘んじるような事態は避けたいと考えるのが当然でしょう。


今年が本格デビューとなる新興ブランドも多く、各種報道によっては「いよいよ勝負の年」のように書かれていますが、それは少し楽観的過ぎやしないでしょうか。
今年はすでに「勝負の結果が出る年」というには性急に過ぎる…でしょうか?



◯蛇足~やはり偉大な『コシヒカリ』~

とは言え、下の表を見て頂ければわかると思いますが、やはり相対取引価格の上位を占めているのは圧倒的に『コシヒカリ』。
コシヒカリ御三家の『ひとめぼれ』『あきたこまち』『ヒノヒカリ』ですら大きく溝をあけられています。
やはり『コシヒカリ』は偉大な品種と言って差し支えないと思われますが、その『コシヒカリ』をさらに別格の領域まで押し上げ、頂点としてのブランドを確立させたのが新潟県です。

そういう立場を考えるとまた”ポストコシヒカリ”の意味合いもいろいろなものがあるな、とまたまた考えられます。
美味しいお米の代名詞『コシヒカリ』のように美味しいお米の産地の代名詞としての”ポスト新潟県”を明らかに目指しているのが我が山形県。
県産米の著しい評価低下を防ごうというスタンス(のように管理人の独断と偏見により見える)青森県とはやはりなにか一線を画しているのかな?とも思います。




…それでなんで西日本の米はこんなに高いんだ?(わからない…)
う~ん…収穫が早いから”新米”としての取引額が東北より高めになる…のかな?



順位産地品種銘柄地域区分価格
1新潟コシヒカリ(コシヒカリBL)魚沼20,442
2山形つや姫17,953
3新潟コシヒカリ(コシヒカリBL)岩船16,628
4新潟コシヒカリ(コシヒカリBL)佐渡16,600
5北海道ゆめぴりか16,209
6新潟コシヒカリ(コシヒカリBL)一般16,186
7山梨コシヒカリ15,993
8福岡夢つくし15,215
9福岡元気つくし14,998
10鹿児島あきほなみ14,822
11長崎コシヒカリ14,785
12熊本コシヒカリ14,534
13兵庫コシヒカリ14,439
14鹿児島コシヒカリ14,414
15熊本森のくまさん14,330
16岐阜コシヒカリ14,307
17宮崎コシヒカリ14,266
18静岡コシヒカリ14,238
19鹿児島ヒノヒカリ14,229
20富山コシヒカリ14,228
21福井コシヒカリ14,206
22長崎にこまる14,180
23三重コシヒカリ伊賀14,131
24京都コシヒカリ14,109
25佐賀さがびより14,089
26石川コシヒカリ13,901
27長崎ヒノヒカリ13,857
28長野コシヒカリ13,782
29山口コシヒカリ13,708
30三重コシヒカリ一般13,625
31宮崎ヒノヒカリ13,622
32熊本ヒノヒカリ13,608
33島根コシヒカリ13,606
34滋賀コシヒカリ13,601
35高知コシヒカリ13,511
36福岡ヒノヒカリ13,493
37福島コシヒカリ会津13,424
38大分ひとめぼれ13,402
39宮城つや姫13,393
40香川コシヒカリ13,343
41山梨あさひの夢13,328
42鳥取コシヒカリ13,306
43山形ひとめぼれ13,227
44愛知コシヒカリ13,210
45大分ヒノヒカリ13,197
46北海道ななつぼし13,117
47徳島コシヒカリ12,970
48佐賀夢しずく12,940
49広島コシヒカリ12,933
50岩手ひとめぼれ12,930
51栃木コシヒカリ12,904
52埼玉コシヒカリ12,878
53秋田あきたこまち12,845
54宮城ひとめぼれ12,827
55宮城ササニシキ12,815
56岐阜ハツシモ12,798
57京都キヌヒカリ12,729
58山口ヒノヒカリ12,696
59茨城コシヒカリ12,648
60山口ひとめぼれ12,648
61静岡あいちのかおり12,638
62高知ヒノヒカリ12,630
63佐賀ヒノヒカリ12,630
64静岡きぬむすめ12,618
65富山てんたかく12,563
66三重キヌヒカリ12,558
67愛媛コシヒカリ12,536
68岐阜あきたこまち12,535
69千葉コシヒカリ12,530
70奈良コシヒカリ12,525
71福井ハナエチゼン12,519
72島根きぬむすめ12,511
73北海道きらら39712,508
74長野あきたこまち12,485
75山形はえぬき12,445
76岩手あきたこまち12,422
77新潟こしいぶき12,412
78愛知あいちのかおり12,382
79香川ヒノヒカリ12,322
80鳥取きぬむすめ12,316
81滋賀キヌヒカリ12,258
82奈良ヒノヒカリ12,123
83鳥取ひとめぼれ12,112
84秋田ひとめぼれ12,066
85愛知大地の風12,051
86岡山ヒノヒカリ12,051
87福島コシヒカリ中通り12,048
88栃木なすひかり12,021
89兵庫ヒノヒカリ12,000
90広島あきろまん11,983
91兵庫キヌヒカリ11,961
92秋田めんこいな11,928
93埼玉キヌヒカリ11,914
94石川ゆめみづほ11,899
95岩手いわてっこ11,898
96島根ハナエチゼン11,890
97岡山あきたこまち11,885
98埼玉彩のかがやき11,878
99滋賀日本晴11,859
100群馬あさひの夢11,844
101青森つがるロマン11,787
102茨城あきたこまち11,769
103広島ヒノヒカリ11,764
104愛媛ヒノヒカリ11,740
105愛媛あきたこまち11,732
106青森まっしぐら11,582
107徳島キヌヒカリ11,561
108岡山アケボノ11,536
109群馬ゆめまつり11,525
110栃木あさひの夢11,382
111福島ひとめぼれ11,146
112福島コシヒカリ浜通り11,138
113千葉ふさこがね11,120
114千葉ふさおとめ10,988
115茨城ゆめひたち10,795
116福島天のつぶ10,530
116全銘柄平均13,175
















3 件のコメント:

  1. 青森県の「青天の霹靂」は、どうなんだろうか……側で見ていても、「魚沼産コシヒカリ」に並ぶと言うよりは「とにかく青森県で今までとは比較にできない、『つや姫』や『ゆめぴりか』のような高級米ができた」って方面に思うんです。
    個人的には、本格的に高級米のトップを取るというよりは、トップ争いをしている奴らと対等だと言いたい品種が、今の「青天の霹靂」だと考えています。青森県は(厳密には津軽地域は)そのランクの米が生産できるだけの品種と能力ある農家があるのだぞってアピールしていきたい……はずだと思っています。

    コシヒカリを超えるならポストコシヒカリとはむしろ言わないほうがいい、ってのもあるのかもしれないですけどね。

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    1. 本当の意味で”ポスト新潟コシヒカリ”の意味で並べられるのは、『つや姫』『いちほまれ』『新之助』『金色の風』であると(個人的主観で)思います。

      『雪若丸』『銀河のしずく』『ひゃくまん穀』は言わずもがなですが
      青森県の『青天の霹靂』は仰る通り青森県産米の名を知らしめる(宣伝)ための高品質米、という感じがしますし(当の青森県が本当のところどうなのかはわかりませんが)
      宮城県の『だて正夢』はどうも動きが鈍いですし
      富山県の『富富富』は明らかに準備不足と戦略不足が見て取れますし
      熊本県の『くまさんの輝き』もどちらかというと『青天の霹靂』に近いのかな、と

      まぁ結局当の県政がどう考えているか、次第なのでしょうが、メディアは雑多にひとくくりにし過ぎに感じます。

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    2. 概ね『青天の霹靂』はそういう感じです。仮に、青森県から現在の魚沼コシヒカリ級の存在が出るとしたら、それは青天の次世代になると考えています。いくら米産地としての知名度が低いからって、焦らずそれくらいのペースで進めて行かないと危ない……と、職場では考えられています。まあ政治視点の考えは知りませんが。

      岩手の『金色の風』は本当に魚沼コシヒカリに並ぶ気があるのかわからない気がします。「スーパーひとめぼれ」関連の事情から思うと、今の岩手の『ひとめぼれ』代替を目指すつもりだったが路線変更して「ひとめぼれの上位互換」にしてみたけど、結局県内で『ひとめぼれ』を足を引っ張り合う可能性もありえそう。
      『富富富』はやっぱり本来は岩手風にいうと「スーパーコシヒカリ」で、『ひゃくまん穀』的に進めたかったのが、政治的事情でああなったのかなと。
      で、『だて正夢』は宮城県という根強い二大ブランド(ササニシキ、ひとめぼれ)が生きている現状ではじっくり時間をかけないと認知されないってイメージです。

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