2019年7月21日日曜日

『86P-11』さんの話(『ひとめぼれ』幼少期)









東北143号『ひとめぼれ』さん

は、耐倒伏性・耐病性を改善した『コシヒカリ』(耐冷性に優れ、極良食味)、つまりは『スーパーコシヒカリ』とも言える品種…
育成するための交配母本とすることを目標に育成が開始された品種です。


つまりあくまでも『ひとめぼれ』は育種の途中段階の単なる”育種素材”として育成が進められていました。
一般に普及させるような品種ではなく、育成した後は『ひとめぼれ』を親としてさらに交配を行い、栽培特性に優れた極良食味品種を育成しようとしていたわけです。


事実、『コシヒカリ』からは倒伏性が多少改善した程度で、耐病性はほぼ変わらず弱いまま、というのが『ひとめぼれ』の実態です。

でも
千葉県の要望を受けて県外に出してみたらあら不思議。
高温条件下(注:現在の高温障害とは異なる)でも生育・品質は安定しており、食味の評価も極めて良好。(千葉県の要望を受けて多少選抜の主眼を変えてはいますが)

それに丁度大冷害を受けて『ササニシキ』の耐冷性の低さも際立ったタイミングで育成を完了したのも奇遇といえるでしょうか。
そんな感じであれよあれよと全国的な品種になってしまいました、という話。

詳しくはの育種経過を参照してください。


東北143号『ひとめぼれ』【特徴・育成経過・系譜図・各種情報】




3 件のコメント:

  1. 今更のツッコミ失礼します。
    古川農試の番号体系の確認が必要かもですが、もしかしたら「86P」だけでは、1986年度供試の系統群全てを指してしまう可能性があるかもしれません(試験場の系統群の番号って組合せ親とか前年度選抜系統で区別することは多分無い…はず。当時の古川農試がどうか全く分かりませんが)。従って、「86P-1~12物語」あるいは「86P-11物語」がより適切なのかもしれません。あくまでも可能性ですが。

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    1. >試験場の系統群の番号って組合せ親とか前年度選抜系統で区別することは多分無い

      系統群個別の番号の前の「86P」の部分のことですね。この部分をわざわざ交配組合せや前年度選抜系統でバラバラにしてたら逆に煩雑だということです。

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    2. と言うわけで!
      当初は「86P物語」でしたが現在は「『86P-11』物語」となっております

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