2018年2月2日金曜日

やはり何かと怪しい越南291号『いちほまれ』、福井県の宣伝文句は信用できませんね(統計学的?な話も)


〇本記事は↓を参照








〇福井県への問い合わせ、無視される


福井県の水稲新品種『いちほまれ』の各種疑惑(というか表現に対する疑問)。
特に育種期間についてはだいぶ熱く論を述べたのですが…
あまりにも気になったので福井県米戦略課の問い合わせメールに以下三点の質問(送付文面要約・改変)を送ってみましたが…
送ったのが今週の日曜日の夜のこと。


はい

本日で5日目を迎えましたが返答無し
社会常識で考えてこれだけの日数経過して何一つ反応がないところを見ると、福井県に無視されたようです。

こんなのが日本一ほまれたかい米とやらを推しているんですからちゃんちゃらおかしいですよね。




~質問内容~


①『コシヒカリを生んだ技術』とは何なのか?
公式HP“いちほまれ開発物語”の中で『コシヒカリを生んだ技術をベースに~』という表現があるがその“技術”とはいったい何なのか?

自県で奨励も出来ない(福井県は育種直後、奨励していない)、育種目標にもそぐわない(病気に弱く倒れやすい)、“良食味”であるかどうかもわからない(育種当時はだれも食味試験などしていない)、そんな品種をよくわからないけど育て、他県(主に新潟県)が拾い上げてくれた・・・これがコシヒカリの生い立ちであるはずなのに、福井県の言う『コシヒカリを生んだ技術』とはいったい何なのか?

他の試験場で行われていることと違う特別な何かがあったのか?


②『“20万種”から選抜』とは?
福井県はどのような根拠で『平成23年に20万種から選抜開始』という表現を用いているのか?

平成23年(2010年)から【日本育種学会秋季大会(2017での福井農試の資料】越南291号の生産力検定試験を行ったとの記述がある。
越南291号系統はこの年に既に二度は個体選抜を終えて系統選抜段階に進んでいたのではないか?
とした場合、福井県が宣伝している選抜母数の“20万種”とはいったい何の数なのだろうか。
(通例として、個体選抜に供試される個体数が1交配につき2,0004,000個体なので、500交配組合せ=20万個体=20万種ということならば理解できるが…)
もしも系統栽培している株の数まで“20万種“に含んでいるとしたらいささか不正確な表現なのではないのか。


③『いちほまれ』の育種期間はなぜ「6年間」なのか?
越南291号の交配は平成19年、となると育種期間は「10年間」になると思われるが、福井県はなぜ、他道県の品種と特別異なる数え方をするのか?




この質問内容に答えられないんですよ、福井県米戦略課は。
貴方たちの宣伝してる『コシヒカリを生んだ技術』ってなんですか?
貴方たちの言っている『20万種』とはいったい何の数ですか?
貴方たちの言っている育種期間が他道県の品種と数え方が違うのはなぜですか?
これがそんなにも難しい質問でしょうか?

他の誰でもない、福井県自身が言っている内容についての質問です。
別に山形県が言っていることを福井県に問い合わせているわけじゃないんですよ。



〇答えられないってどういうこと?


って言うと

福井県(農政)は結局消費者を馬鹿にしててきとーに凄そうに感じるようなことを書き並べてるもしくはよく理解してもいないことを書き並べてるってことですよね?

もう一気に『いちほまれ』の褒め文句関連も怪しい、そう言われてもしょうがないですよ。ねぇ?福井県さん?


◯”全米史上最高ブランド”なんて言っても福井県が無根拠に勝手に言ってるだけですね。
実はたいしたことない米なんじゃないですかね。

◯食味官能試験値0.7も福井県が勝手に言ってるだけで、『つや姫』や『新之助』より値が高いなんで新聞記事もすべて誤報、もしくは悪質な誇大広告ですね。
 『つや姫』『新之助』の正式な試験値を福井県が勝手に言ってるだけの数字なんかと比較できるわけがないですものね…

◯該当アンケートやら料亭の評価なんかもてきとーに担当者が書き並べているんじゃないですかね。
 本当に評価は高かったのかな。


「根拠もなくそんなことを言うな」と言われそうな内容ですね(ただし、少なくとも同じように根拠もなくてきとーなことを書いている福井県にだけは言われたくない。
いえ…無論本気でこんなことを考えているわけではないんですけども…福井県に対する印象はますます悪くなってきました(あくまでも管理人の主観)



でも『いちほまれ』ちゃんは何も悪くないんですよ?




こんな福井県が推進している『いちほまれ』でも、一般消費者にそれなりに凄いイメージさえ植え付ければ上手くいくんですかね…
うーん…まぁ『いちほまれ』自身と、それを育種した試験場の職員の皆様にはまったくかかわりないことなので…悪く書くのも少しためらわれましたが…


福井県(農政)のテキトー宣伝はこれからもこのまま続くのか…



※2月7日追記
〇管理人の杞憂を簡単に

『いちほまれ』食味官能試験値「平均0.7」(日本穀物検定協会・検定)
新之助の0.55やつや姫の0.5強より高い値…というこの謳い文句。
これに何か問題があるの?という方のために、ごく簡単に。


※食味官能試験値はあくまでもその年の基準米に対する相対値であって、絶対的な値ではありません。
 そもそも年度の異なる(厳密には基準米が異なる)食味官能試験値を直接比較すること自体、適切ではないのですが、ひとまずそこは置いておきます。

そうですね。
例えばつや子ちゃんといち子ちゃん、二人を比べるとしましょう。
(※実在する品種とは一切関係ありません。)


この二人が同じ内容のテストを5回したとします。



その結果が次のようになったとしましょう。


対象者第一回第二回第三回第四回第五回平均値
504550605552
604580509065


5回の平均値ではいち子ちゃんがつや子ちゃんを13点上回りました。


いち子ちゃんの勝ち!

…となるのが人間(学校)のテストですが、これが科学的な実験や実証といったモノとなるとそうはいきません。
もう一度結果を見てください。





対象者
第一回
第二回
第三回
第四回
第五回
平均値
50
45
50
60
55
52
60
45
80
50
90
65


いち子ちゃんの第三回と第五回の値だけ数値が明らかに高いですね。

学校のテスト感覚で行くと「いち子ちゃん3回目と5回目は調子が良かったんだね、がんばったんだね」で済みますが
詰まるところ、この回のテストはいち子ちゃんのヤマ勘がたまたま多く当たっただけかもしれませんし、たまたまいち子ちゃんの得意分野が多かっただけなのかもしれませんよね。

兎に角、この『65』という平均値は、いち子ちゃんの本当の実力を表現するのに不正確な数字の可能性がある、ということです。(じゃあ平均取るのに何点まではなら有効で何点から無効になるのか、に関してはちゃんと計算して出すんですが、小難しい話をするつもりはないので割愛)

これが実験となると、計測を間違えた、実験の趣旨とは異なる別の要因が働いた、等理由はいろいろと考えられるわけですが

科学的に統計をとって、比較する場合、このような無効な値の検討が必須です。
有意差がある、ない、とか言いますが…割愛!


試験の数値が極端にばらけている
正確な値が取れていない可能性がある。

実験方法、計測方法等、試験内容に何らかの問題があった可能性がある
試験の結果の信頼性が低い(優劣等の判断を下すに値しない)

という解釈です。

仮に
この80点と90点を不正確な値として除くといち子ちゃんの平均値は約52点。
実はつや子ちゃんと大差ありません。

さて
いちほまれの食味官能試験値0.7をこれに当てはめると…
つや姫や新之助が信頼性の高い数値だけを用いて0.55、0.5という値を出しているのに
いちほまれだけ不正確な数値までまるめこんで「0.7!勝った!」と言われたらつや姫や新之助はたまったものではありません。

不正確な数値を外せば同じ評価値かもしれないのに、『平均』の扱い方ひとつで劣ってるかのように見せられるわけです。

まぁなんにせよ、(何度でも言いますが)食味官能試験値はあくまでもその年の基準米に対する相対値であって、絶対的な値ではありません。
そもそも年度の異なる(厳密には基準米が異なる)食味官能試験値を直接比較すること自体、適切ではないので、この論そのものがナンセンスなのですが。

改めて
繰り返しますが
人間が受ける試験(テスト)の感覚からすると「結果がすべて」ですよね。
まぐれだろうがヤマ勘だろうが、テストでいい点が取れればそれで良し、成績評価も上がりますし、入学試験ならば希望の学校に行けたりしますよね。
しかしそれは試験を受ける側、”試される側”の感覚です。
実験や実証をする側の立場は全く逆です。
”試す側”が知りたいのは”本当の実力”です。
今回の場合
食味官能試験は『いちほまれ』に高評価を与えるために行っているのではありません(福井県としてはそういう思惑もあるのでしょうが)。
『いちほまれ』の実力に正当(というのもなかなか難しいんですが)な評価を与えるために行っているもののはずです。


食味官能試験も人間が評価するものである以上、パネラー(食味試験する人)間で評価値に大きく差がでることもザラです。
通常、そういうパネラー間の評価値に大きな差異が出たような試験結果は『使えません(無効)』とするのが普通なのですが…

福井県は何でもかんでも値の平均値をとって高い数値を演出してるんじゃないの?
他の宣伝内容も本当なら無効になるようなものも誤魔化してして使ってるんじゃないの?
見栄張ってるんじゃないの?


という管理人の杞憂の紹介でした。
育種論文が発表されればこんな無用な疑いはしなくて済むでせう。
まぁ根拠無かったよね、という(本記事で食味試験について記述)



8 件のコメント:

  1. 確かに、社会常識では5日間も返信がないと、おかしいですね。
    しかし、相手はお役所ですからね。ここは、ゆったりと返答を待ってみてもいいかも。

    回答に時間がかかるということは、今回の質問は、かなり痛いところを突いている…ということのような気がします。
    回答が楽しみですね。

    2週間くらいたっても返答無しなら、無視されたのかもしれません。
    (多分、米戦略課の方もこのブログみてますよね?ちゃんと回答してくださいね!)


    ところで、食味官能値の0.7ですが、それほど珍しい値(すごく高い)とは思えないのですが、認識がおかしいのでしょうか?宣伝するほどのレベルなのでしょうかね。ん~疑問だ。

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  2. 横レス失礼します。
    食味官能値は-3~3の範囲で、基準米と比較してどれだけ優れている/劣っているかを複数のパネラーが評価した平均値なのですが、実際に試験場や日本穀物検定協会で行われた食味官能値のデータをみると、0.5以上はそこそこ珍しいです。多分絶対値で2以上の差をつけることが少ないことが反映されてるのだと思います。したがって、0.7は値だけなら大きいと思います。
    でもこういった食味官能試験は数値の大きさより基準米との統計的有意差がつくかつかないか、つくなら何%水準か、が重要なので、そこを(多分わざと)省略した形のいちほまれ公式サイトは若干狡いと言えるのかなと。

    返信削除
  3. eco-farmerさん。
    お久しぶりです。

    そうですね…少しまったり待ってみますか…
    今日も返信無しなんですけどね(泣)

    Kayさん
    解説ありがとうございます!
    本当にこういうお話が聞けてありがたいです~
    勉強させていただきます。


    そして
    もはや管理人不要説(笑)

    返信削除
  4. 管理人さん解説漫画ありがとうございます。この例なら計算すると有意差がなくなったので数値設定もいい感じです。人間の世界なら、こういう場合各テストの偏差値を求めて比較する……ってことをやったりしますよね。

    厳密に「いちほまれ」の食味を「つや姫」や「新之助」と比較したいなら、同一パネラー集団で、同じ基準米で、同じ炊飯条件で、同じ年産で(できれば産地も揃えたい)、試験すべきですね。ってか今年の新米は出たので産地を妥協すれば、それぞれ流通品を入手して、育成時の選抜に用いた基準品種辺り(試験場で栽培した基幹品種…福井ならコシヒカリですかね?)使ってデータとれば済むと思うんですが……

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  5. 管理人さん、Kayさん、変な疑問にお付き合いいただき ありがとうございます。

    この0.7は、平均値だったのですね。
    (福井県の資料に平成26~28年の3か年平均と記載がありました)

    自分は、1サンプルの数値が『たまたま』0.7だったのではないか…
     つまり、最大瞬間風速のような値なのではないか?  というふうに思っていました。

    1サンプル・1回のみの値ですと、過去に0.8とか0.9とかの値も聞いたことがあるので、珍しいことではないと思っていましたが、誤解していたようです。


    と、ここまで書いて思ったのですが、「平成26~28年の3か年平均」というのが怪しいような気がしてきました。

    越南291号の地方番号が付与されたのは平成28年だったはずです。27年産は可能だとしても、26年産の(候補を絞り込む以前のたくさん候補がある)系統段階のものを、穀物検定協会に食味調査依頼できるものなのでしょうか。

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    1. 地方系統番号がつく前の系統には普通は系統番号が振られて識別できるので(イネ品種データベースによれば後の越南291号の系統番号はFn131)、食味官能試験ができる量だけ増やせていれば育成途中でも「このサンプルを評価してください」と協会に依頼できます。むしろ「ポストコシヒカリ」育成ならそういった系統をたくさん用意しそれぞれ十分量まで増やして食味官能試験を依頼し、地方番号を付与するものを決定する参考にしたはずです。

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    2. Kayさん、ありがとうございます。
      「ポストコシヒカリ」として力を入れて育成している品種ですから、そういうことなのでしょう。
      しかし、4つに絞る前の候補ですから、相当数の系統を調査したということになりそうです。予算が豊富にあってうらやましいですね。

      穀物検定協会の食味調査も、秋~冬にかけては忙しくて、ランク調査以外のサンプルはそれほどの数はこなせないはずなので、どの時期に調査したのかも気になります。

      とにかく、なぞの多い品種です。

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    3. 越南291号(Fn131)系統以外も含んでいると思いますが、”ポストコシヒカリ開発”は平成26年には『10種まで選抜』となっていますので、この話を鵜呑みにするなら食味官能試験に供試されたのは10候補という事になるでしょうか。
      あれこれ邪推しても仕方ないので、やはり育種論文待ちでしょうか…

      さて
      今日で二週間目ですが福井県はやはり返答ありません。
      もう一回凸してみますか…

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