2017年12月20日水曜日

岩手118号~金色の風~ 【特徴・育成経過・系譜図・各種情報】

地方系統名
 『岩手118号』
品種名
 『金色の風』
育成年
 『平成28年 岩手県 県農業研究センター』
交配組合せ
 『Hit1073×ひとめぼれ』
主要生産地
 『岩手県』
分類
 『粳米』
「金色の風、『銀河のしずく』とともに”岩手県銀・金”、よろしくお願いします。」


黄金の國から全国へ美味しい新風を吹き込む。



岩手県ブランド米戦略”銀・金”の双璧を成す『金色の風』の擬人化です。


どんな娘?

『銀河のしずく』の妹(直接的な血の繋がりは無い)。
妹という立場ではありながら、自分が岩手県のトップに立たなくてはならないという重責に『銀河のしずく』の後押しを受けて頑張って立ち向かっています。

生真面目でちょっと神経質なところがあるせいで、何かをする際に少し手が縮み気味になり、成果が上がらないこともチラホラ…
ただしそれは自分の力を冷静に見つめ、対処しようと必死に頑張っている事の表れでもあります。


概要

高品質の『ひとめぼれ』の産地ながら(食味ランキング連続特A)も主力となる高品質かつオリジナル品種が不在だった岩手県。
その岩手県が『銀河のしずく』に続いて打ち出す真打、それが彼女です。

品種名の『金色の風』は
平泉町の世界遺産・中尊寺金色堂やたわわに実った稲穂をイメージし、日本の食卓に新しい風を吹き込むという願いを込めて。
ロゴマークのデザインは(株)純情米いわてが手掛けました。
流線型の金色に彩られた風が一粒のお米をやさしく包み込むイメージを表現しています。
また、風が舞うように配置された10個の色面は、お米の美味しさを生み出す10のポイントを象徴しています。
姉に当たる『銀河のしずく』と同じ…ようで同じでなかったりします。

ポイント意味
ハイテク最新の科学技術を用いて開発
太陽稲の生長を促す輝く太陽
銀河美味しいお米を育む銀河の夜空
濃い水色澄んだ空気、爽やかに広がる夜空
大地元気な稲がすくすく育つ豊かな大地
黄緑肥料美味しいお米を育てる肥料設計
水色清らかな水をたたえるたくさんの川
橙色たい肥や稲わら等による土づくりの徹底
桃色お米づくりに関わる人々の愛情
黄色豊かな稔り黄金色に輝く稲穂の波


アミロース含有率は15%前後の低アミロース米…なのかどうかかなり微妙なライン(H26~H28平均で15.7%)。
(低アミロース米はアミロース含有率が15%以下のものを言う…と管理人は勝手に考えている)※コメント欄参照~解釈は様々あります~
母本の『Hit1073』は『ひとめぼれ』の突然変異、そして父本は『ひとめぼれ』と岩手県主力であった『ひとめぼれ』の低アミロース化改良品種”スーパーひとめぼれ”とも言えるでしょう。(下系譜図参照)だけど本当の”スーパーひとめぼれ”は他に居たりする。
ほどよい粘りとふわりとした食感、そして豊かな甘み。

耐病性、耐冷性は『ひとめぼれ』と同じく「やや弱~中(病)」「極強(冷)」です。
ただし稈長は『ひとめぼれ』よりやや長く、やや倒伏しやすい品種とのこと。
収量も『ひとめぼれ』より劣ります。(アミロース低減性遺伝子の副作用)
育成地での熟期は『ひとめぼれ』よりやや遅い「晩生の中」です。

もともと高品質米栽培でポテンシャルの高い岩手県。
この『金色の風』は「相対取引価格で全国5位以内」を目指すと言うほど意気込みと自信(?)を感じます。
『金色の風』『銀河のしずく』基礎能力の高い二種の新主力品種参入でこの米戦国時代に凱歌を上げられるかどうか、注目です。



育種経過

母本の『Hit1073』は『ひとめぼれ』にEMS(エチルメタンスルホン酸)突然変異処理を行った12,000系統の中から適度な低アミロース形質を持つ個体として選抜されました。
これを父本の『ひとめぼれ』と交配し、その後代から選抜されました。

以下、育種情報詳細は現在未確認。

平成28年(2016年)はF7世代にあたるそう。
若干若い気もするがほぼ『ひとめぼれ』同士の掛け合わせなので固定も早いという事だろうか?

県南の『ひとめぼれ』特A評価地区に置き換わっての普及を見込み。


系譜図
岩手118号『金色の風』系譜図

5 件のコメント:

  1. アミロース含有量は登熟気温に大きく左右されるので、「低アミロースはアミロース含有量15%以下」という定義は語弊がありますね。それを言い出してしまうと青森県の代表的低アミロース品種「ほっかりん」は年次変動でアミロース含有量18%程にまで達することもありますし……。
    農林水産省の審査基準(http://www.hinsyu.maff.go.jp/info/sinsakijun/kijun/1440.pdf)では粳米の胚乳のアミロース含量を9段階で定義していて、「きらら397」「ななつぼし」等を「5型」、「コシヒカリ」「あきたこまち」「ひとめぼれ」等を「4型」、「おぼろづき」「ゆめぴりか」「ほっかりん」を「3型」、「ミルキークイーン」等を「2型」としています。ここから考えると、アミロース含量が1~3型に分類される粳米が一般的に「低アミロース米」と呼ばれ、6型以上に分類されるものが「高アミロース米」、その間が普通の粳米と言えると思われます。
    で、このアミロース含有量の型は原因遺伝子である程度は決まるのですが、「金色の風」の場合は既知の原因遺伝子とは多分異なる変異が原因でアミロース含有量が下がってるので、今のところはまだちゃんと3型以下の分類になるかは審査待ちになるのでしょう。
    個人的感想だと、主力品種とのアミロース差を見るに「ほっかりん」と似た雰囲気のアミロース含有量に見えるので、おそらく3型に分類される低アミロース品種……といえるのかなと思います。

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    1. 登熟気温にアミロース含有率が左右される(低アミロース性に由来する遺伝子の種類にもよりますが)のはその通りでして
      分類もその通りですが

      『低アミロース米』と呼ばれるにあたり、育種段階での公表値の段階で15%を切らない品種は今まで知らなかったのでこのような表現になっています。(あとは”スーパーライス計画”での呼称に準拠しました。)
      育種論文が公表されればその変動状況もはっきりするかと思いますが、理想の標準栽培で15%超えとなると『低アミロース米』と呼ぶには微妙かな…というところです。


      一世代前の低アミロース米は特に登熟気温による変動が顕著なものが多いですが、我が山形県の『里のゆき』ちゃんのように気温に左右されにくい品種も多く…なっているのでしょうか?

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    2. 言われてみれば、食材としての「低アミロース米」のアミロース含有率は、稲の品種特性としての胚乳アミロース含有率の決定のされかたとはまた別の概念ですね。アミロース3型でも『おぼろづき』が堂々と低アミロース名乗っているのに対して、『ゆめぴりか』は極良食味を名乗ってますし……ただ、個人的立場としてアミロース3型&育成地成績でもアミロース含有率15%の『ほっかりん』を「低アミロース」として世に出している青森県の肩を持ちたくなっただけなのでお気になさらず……青森県には『ミルキークイーン』のwx-1(t)持っていて含有率10%前後のアミロース変動しにくい『あさゆき』というちゃんとした低アミロースもあるのでいいんですけどね。。
      『金色の風』は『ほっかりん』方向と言うより『ゆめぴりか』方向なので、おっしゃる通り低アミロースというより極良食味で宣伝するのかもしれませんね。

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    3. う~む…やはりそちらの分類で統一した方が分かりやすいですかね…?
      世の中では『コシヒカリ』ですら”低アミロース米”と呼ぶ人までいて(低目ではあるんですが)なんとも乱用が目立ちます…


      で!
      『ほっかりん』ちゃんは育種論文未見なんですけども、公称アミロース含量は15%なんですか?

      青森県のホームページでは『まっしぐら』より4%程度低い、とされていて…
      『まっしぐら』の育種論文内では公称アミロース含量が18.1~18.5%だったので…
      勝手に14%弱くらいだと思ってました。

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    4. 「ほっかりん」のアミロース値については、こちら( http://www.naro.affrc.go.jp/org/tarc/to-noken/DB/DATA/064/064-003.pdf )を見て15%……と思い込んでいたのですが、見ての通りこのデータを取った育成地である青森県産業技術センター藤坂稲作部のある十和田は寒いためアミロースが高めとなるので、多分津軽で育てればもっと低くなるのかなぁと気づきました。

      イネ品種データベースだと以下のリンクのようなデータになっており(こちらも藤坂稲作部)、年次変動の関係で平均の取り方次第では14%程になるけれど、少し寒い年では17,8%にもなるようです(もっとも、そんな年は「まっしぐら」も20~22%なので「まっしぐら」より4%低いという表現は間違っていない)
      http://ineweb.narcc.affrc.go.jp/search/ine.cgi?action=inedata_top&ineCode=FKE02220

      つまり彼女の場合は主要作付け地域及び育成地である下北半島~県南の寒さが激しいところでは、きっちり「毎年15%以下」とは約束できない(うまく統計を工夫すれば15%切っているように見せられる)けれど、同地域の主力である「まっしぐら」よりは確実に低くなるので「低アミロース品種」として扱っているのでしょうね。

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