『青系187号』
品種名
『青天の霹靂』
育成年
『平成26年(西暦2014年) (独)青森県産業技術センター農林総合研究所』
※交配は青森県農林総合研究センター時代
品種名の『青天の霹靂』は、弥生時代最北の水田があった青森県の「青」、北の空の「天」、雷鳴の「霹靂」をイメージ(って言われても諺としての”青天の霹靂”イメージが強すぎて…)。
青森県の澄んだ空に突如現れた稲妻のように鮮烈な存在になってほしい、食べた人たちを驚かせるほどのおいしいお米になってほしい、との願いが込められています。
とは言え
ネット上ですら”晴天の霹靂”の誤字が目立ち、ことわざなんだから手書きできなくても変換ぐらいちゃんとしようよ…と思ったり思わなかったり。
ブランド米生産支援システム「青天ナビ」も開発。
衛星画像を利用して『青天の霹靂』の生育状況を分析し、追肥や収穫の判断に用いるなど、結構ハイテクな取り組みも行っています。
そんな取り組みで”優秀な青森県産米の看板灯”としての役割を立派に果たしている『青天の霹靂』。
「青森県にはこんなおいしいお米があるんだよ」という事を知ってもらいたいがための宣伝としての特A獲得、品質保持と言う面が強かったかもしれませんが、今や単なる看板役ではなく、名実共にトップブランド米達に並ぼうかという勢い。
交配組合せ
『F1【夢の舞×青系157号】×青系158号』
主要産地
『青森県』
分類
『粳米』
登場も命名もまさにその名の通り、『青天の霹靂』の擬人化です。
お馬鹿な娘。(いや違うんですよ愛着を込めてですね…)
本州最北の地、青森県でも育つ元気さと活発さを兼ね備えた娘。
万事小さい事にはこだわらない&人懐っこい性格。
今のところ精神年齢が(なぜか)幼いので、今後大きく成長する可能性も。
お馬鹿じゃなかった天然。
農業王国ながら極良食味米(ブランド米)というジャンルでは後塵を拝し続けてきた青森県がついに得たエース米。
『F1【夢の舞×青系157号】×青系158号』
主要産地
『青森県』
分類
『粳米』
青天の霹靂ッ!!!だよ! |
「こんにちは、さっぱり」
登場も命名もまさにその名の通り、『青天の霹靂』の擬人化です。
どんな娘?
本州最北の地、青森県でも育つ元気さと活発さを兼ね備えた娘。
万事小さい事にはこだわらない&人懐っこい性格。
今のところ精神年齢が(なぜか)幼いので、今後大きく成長する可能性も。
概要
農業王国ながら極良食味米(ブランド米)というジャンルでは後塵を拝し続けてきた青森県がついに得たエース米。
品種名の『青天の霹靂』は、弥生時代最北の水田があった青森県の「青」、北の空の「天」、雷鳴の「霹靂」をイメージ(って言われても諺としての”青天の霹靂”イメージが強すぎて…)。
青森県の澄んだ空に突如現れた稲妻のように鮮烈な存在になってほしい、食べた人たちを驚かせるほどのおいしいお米になってほしい、との願いが込められています。
とは言え
ネット上ですら”晴天の霹靂”の誤字が目立ち、ことわざなんだから手書きできなくても変換ぐらいちゃんとしようよ…と思ったり思わなかったり。
”霹靂”を手書きで書けというのは大変だとは思いますが”青天”くらいは…
程よいツヤと、柔らかな白さ。
粘りとキレのバランスがいい、上品な甘みの残る味わいのお米です。
平成26年(2014年)産米で青森県産米として初めて日本穀物検定協会食味ランキングで特A(参考)を獲得、さらに平成27年(2015年)に本ランキングでの特Aを獲得し、その評価を確固たるものとしました。
彼女の期待される役割は”青森県産米の牽引役”
そんな『青天の霹靂』は他県の例に漏れず、品質優先です。
程よいツヤと、柔らかな白さ。
粘りとキレのバランスがいい、上品な甘みの残る味わいのお米です。
平成26年(2014年)産米で青森県産米として初めて日本穀物検定協会食味ランキングで特A(参考)を獲得、さらに平成27年(2015年)に本ランキングでの特Aを獲得し、その評価を確固たるものとしました。
彼女の期待される役割は”青森県産米の牽引役”
そんな『青天の霹靂』は他県の例に漏れず、品質優先です。
10a当たりの収量は9俵(540kg)程度とし、作付け地域も登熟気温が確保できる津軽中央と津軽西北の良食味生産が可能な水田に限定されています。
他にもタンパク質含量6.4%以下(水分15%換算・目標は6.0%)、検査等級は1等か2等に限定といった出荷基準が設けられ、生産者も登録制です。
生産者には種子更新率100%(毎年種籾を買う)は当然として、土壌診断に基づく土壌改良の実施、農薬使用回数は通常の半分以下、栽培管理記録の記帳といった栽培基準に取り組む必要があり、青森県の良食味生産推進にかける意気込みが見て取れます。(とは言えこういった縛りが農家側からは不評…に思える節もあるのですが)
ブランド米生産支援システム「青天ナビ」も開発。
衛星画像を利用して『青天の霹靂』の生育状況を分析し、追肥や収穫の判断に用いるなど、結構ハイテクな取り組みも行っています。
そんな取り組みで”優秀な青森県産米の看板灯”としての役割を立派に果たしている『青天の霹靂』。
「青森県にはこんなおいしいお米があるんだよ」という事を知ってもらいたいがための宣伝としての特A獲得、品質保持と言う面が強かったかもしれませんが、今や単なる看板役ではなく、名実共にトップブランド米達に並ぼうかという勢い。
後輩品種の『はれわたり』を迎え、どのような立ち位置になるか、注目ですね。
育成地における熟期は「中生の中」に属し、草型は「偏穂重型」の品種です。
稈長は「やや短稈」(76~77cm)で、耐倒伏性は『つがるロマン』以上『まっしぐら』以下の「やや強」と倒れにくい品種となっています。
粒はやや大きめ(縦長)で、千粒重は22.8~22.9gです。
収量性は『つがるロマン』に優り、『まっしぐら』並の約610kg/10a程度です。(多肥試験で713kg/10a)
試験時のタンパク質含有率は6.5~6.7%、アミロース含有率は16.1~16.4%で極良食味と評されています。
いもち病抵抗性は、葉いもちが「極強」、穂いもち「強」と優れています。
いもち病抵抗性は、葉いもちが「極強」、穂いもち「強」と優れています。
真性抵抗性遺伝子型は【Pia】【Pii】と推定。
耐冷性も「強」といずれも前代主力の『つがるロマン』『まっしぐら』にやや勝る非常に優れた栽培特性を持ちます。
知事を筆頭(?)とした広報活動、印象的な名前・パッケージなどで市場での知名度、そしてその食味の良さを広げている『青天の霹靂』ですが…
平成31年/令和元年(2019年)より絶対量が足りていないという深刻な事態に陥っています。
2019年産米に向けた『青天の霹靂』、青森県の予想需要は1万262トン、作付面積にして2,138ヘクタール。
しかしながら、前年より20日間近く申請期間を延ばしたものの生産者登録は前年より16%減の708経営体(『青天の霹靂』の作付には事前の登録が必要)。
結果、2019年『青天の霹靂』の作付面積は1,566ヘクタール(前年比△323ヘクタール)にとどまる見込みとなり、予想需要の7割程度しか確保できませんでした。
もともと厳しい生産基準に加えて、追い打ちをかけたとされるのが「2018年産の不作」です。
猛暑が厳しい年でしたが、ただでさえ(主力の『まっしぐら』に比べて)収量目標が低い『青天の霹靂』がさらに天候不順により不作となり、農家の収入を直撃したと言われています。
翌2020年(令和2年)産は申請時点で692経営体、作付1,631ヘクタール、収量予想で7,800トンを確保の予定となりました。
2019年の栽培実績1,550ヘクタールより、一経営体あたりの作付面積が増えたことで81ヘクタールほど増える形となりましたが、やはり需要1万トンには届いていません。
平成26年(2014年)6月、”お米の食味ランキングで最高ランクの「特A」評価獲得を目指す品種”として『青系187号』の名称公募を青森県産米需要拡大推進本部が名称公募を実施しました。
温湯除雄法による交配は平成18年(2006年)8月。
平成21年(2009年)、育種とは直接関係ないかもしれませんが、この年に青森県農林総合研究センターが地方独立行政法人青森県産業技術センター農林総合研究所に他機関と共に統合されています。
平成24年(2012年)、”青森県にも特A品種米を”の声が高らかに上がったのがこの年。(研究課題名「あおもり米優良品種の選定試験」・県単予算・2012~2014年度)
当時有望視されていた他4品種『青系172号』『青系180号』『青系181号』『青系182号』とともに『青系187号』もこの選抜に臨みます。
耐冷性も「強」といずれも前代主力の『つがるロマン』『まっしぐら』にやや勝る非常に優れた栽培特性を持ちます。
需要はありながら伸びない作付け
知事を筆頭(?)とした広報活動、印象的な名前・パッケージなどで市場での知名度、そしてその食味の良さを広げている『青天の霹靂』ですが…
平成31年/令和元年(2019年)より絶対量が足りていないという深刻な事態に陥っています。
2019年産米に向けた『青天の霹靂』、青森県の予想需要は1万262トン、作付面積にして2,138ヘクタール。
しかしながら、前年より20日間近く申請期間を延ばしたものの生産者登録は前年より16%減の708経営体(『青天の霹靂』の作付には事前の登録が必要)。
結果、2019年『青天の霹靂』の作付面積は1,566ヘクタール(前年比△323ヘクタール)にとどまる見込みとなり、予想需要の7割程度しか確保できませんでした。
もともと厳しい生産基準に加えて、追い打ちをかけたとされるのが「2018年産の不作」です。
猛暑が厳しい年でしたが、ただでさえ(主力の『まっしぐら』に比べて)収量目標が低い『青天の霹靂』がさらに天候不順により不作となり、農家の収入を直撃したと言われています。
翌2020年(令和2年)産は申請時点で692経営体、作付1,631ヘクタール、収量予想で7,800トンを確保の予定となりました。
2019年の栽培実績1,550ヘクタールより、一経営体あたりの作付面積が増えたことで81ヘクタールほど増える形となりましたが、やはり需要1万トンには届いていません。
2021年度(令和3年)は1866haになる予定(前年比実績+251haだそうです)。
大分増えましたがまだまだか・・・
予想需要に生産量が届かないということは、本来『青天の霹靂』が流通するはずだったルートに、別品種が流通することを意味します。そして一度失った流通ルートを取り戻すことは容易ではありません。
『青天の霹靂』にとって、天候不順時にも安定した収量を得られる栽培技術の確立が急務であり、試練の時が続きます。
ブランド化が正解か、業務用米が正解か、それは誰にも確実な未来は見通せない以上、ナニが正解かなど分かりませんが…いずれにせよ生産者当人の選択がどのような未来に繋がるのかは今後も注目ですね。
大分増えましたがまだまだか・・・
予想需要に生産量が届かないということは、本来『青天の霹靂』が流通するはずだったルートに、別品種が流通することを意味します。そして一度失った流通ルートを取り戻すことは容易ではありません。
『青天の霹靂』にとって、天候不順時にも安定した収量を得られる栽培技術の確立が急務であり、試練の時が続きます。
ブランド化が正解か、業務用米が正解か、それは誰にも確実な未来は見通せない以上、ナニが正解かなど分かりませんが…いずれにせよ生産者当人の選択がどのような未来に繋がるのかは今後も注目ですね。
名称公募
ふっくらとして「つや」があり、味も良く、特に粘りと硬さのバランスが良く「こし」がある特徴のある米、と表現されています。
応募期間は平成26年6月16日から7月18日までの約1ヶ月間。
応募方法は専用ホームページからの申し込みか、ハガキによる応募。
ホームページは締め切り日18時が最終、ハガキは当日消印有効。
採用された名称応募者に送られる最優秀賞は賞金20万円に加えて副賞「青森県産農畜産物ギフト1万円相当」、さらに『青系187号』10kg(試食用サンプル)となかなか豪勢。
なお、この「最優秀賞」は応募した名前がそのまま採用された場合の賞であって、仮に応募された名前を元に青森県が補作した場合は「優秀賞」が1乃至2名に授与されるとされていました。
そんな優秀賞は賞金5万円と副賞「青森県産農畜産物ギフト5千円相当」、さらに『青系187号』10kg(試食用サンプル)だそうです。
…優秀賞って次点名称候補者に贈られるものだと思ってましたが、この名称公募についてはちょっと毛色が違ったようですね。
県内外を特に問わず、応募件数にも特に縛りは無く、広く公募が行われ、最終的に11,049件の応募が集まりました。
青森県産米需要拡大推進本部が設置したマーケティングに関係する大学教授や大学生、消費者団体や集出荷団体の関係者等11名で構成する「新品種名称選考委員会」は、この中から候補を5つまで絞り込みます。
その5つの候補の中から最終的に青森県が選定したのが『青天の霹靂』です。
(なお他4つの候補名は、あくまでも応募者に権利が帰属するので発表できないとの青森県のスタンスのため、不明です)
平成26年11月5日に行われた臨時の知事記者会見で、三村知事(当時)により名称発表が行われました。(なぜ臨時かと言えば、商標登録出願の発表が確認できたタイミングで行ったため…と言って何のことか分かります?)
応募者(野辺地町の志田氏)によれば「青森の天からふりそそぐ自然からできた、まるで青天の霹靂のような驚くほど美味しいお米」をイメージしたとのこと。
三村知事(当時)も「もうすごい自分としてもいい名前出してもらったなぁ」とご満悦の様子でした。
同年12月10日に行われた「あおもり米ファン感謝祭」において『青天の霹靂』命名者の表彰式が執り行われ、同時にあの特徴的なロゴデザインの発表も行われました。
米どころと知られる東北に加えて、平成に入って不味い米「やっかいどう米」の汚名を見事に返上した北海道が日本穀物検定協会で次々と特Aを獲得する中、唯一青森県だけがこの地域で特A獲得銘柄無し…という状況でした。
主力品種の『つがるロマン』『まっしぐら』などが、適度な食味と手頃な値段をウリとして県外で業務用として一定の評価を得てはいましたが、県産米のイメージアップと評価向上の牽引役となる新たなブランド米が待ち望まれるようになります。
そのような状況に対応するため青森県で行われてきた極良食味品種育成の中で、熟期が「中生」、耐倒伏・耐冷・耐病性に優れた極良食味品種を目指して交配が実施されます。(この時点では青森県農林総合研究センター)
温湯除雄法による交配は平成18年(2006年)8月。
母本が『北陸202号(夢の舞)』×『青系157号』のF1(雑種第一代)、父本が『青系158号』の三系交配で、交配番号は『青交06-52』です。
◆F1【『北陸202号』×『青系157号』】
多収でいもち病耐性の優れる『青系157号』に、『北陸202号(のちの『夢の舞』)』の良質・良食味を導入する目的で交配されたものです。
『北陸202号』の熟期が育成地において「極晩生」に属するため、この交配後代からでは「中生」熟期個体の出現数が少なくなることが懸念されました。(せっかく栽培特性と良食味を両立した個体が出てきたとしても、熟期が遅いと採用できない)
◆『青系158号』
育成地における熟期が「中生」の品種で、食味と耐冷性に優れる系統です。
母本であるF1に交配することで、「中生」熟期の交配後代の出現率を上げる目的で交配されました。
この交配から104粒の種子を得て、同年10月から平成19年(2007年)3月にかけてF1の世代促進栽培が実施されます。
104粒全てが播種されました。
平成19年(2007年)4月から平成20年(2008年)3月の期間はF2世代からF4世代まで世代促進が図られ、各世代約2,000粒を播種、全刈り採種されています。
平成20年(2008年)4月からF5世代90gを播種し、圃場に1粒1株植えとして約2,000個体の中から個体選抜が実施されます。
立毛観察では「中生」熟期の個体が80%、「晩生」個体が20%で、この点は当初の三系交配の目的は概ね達成できたとみることができるのではないでしょうか。
また稈長は「短稈」~「中稈」で、強稈で良型の個体が多いことから全体で「やや良」と評価されています。
これらの評価を元に207個体が圃場で選抜され、さらに室内で玄米品質調査が行われ、その結果81個体が次年度の系統種子として残されます。
白未熟粒の発生が多いことから玄米調査全体の評価としては「やや不良」とされています。
平成21年(2009年)、育種とは直接関係ないかもしれませんが、この年に青森県農林総合研究センターが地方独立行政法人青森県産業技術センター農林総合研究所に他機関と共に統合されています。
この年のF6世代から系統栽培による栽培と固定が進められていきます。
前年の81個体を81系統(1系統あたり24個体)として、障害型耐冷性及び葉いもち抵抗性検定にも供試されます。(『09PL1618』~『09PL1698』の81系統)
固定度、草型、熟期、いもち病抵抗性、玄米品質などを総合的に検討し、12系統が選抜され、各系統3個体を次年度の系統として残します。
なお、このF6世代における『09PL1687』が後の『青天の霹靂』となる系統です。
平成22年(2010年)F7世代は前年の12系統36個体を12系統群36系統として、1系統当たり60個体の系統栽培を継続。
さらに生産力検定予備試験、いもち病抵抗性、障害型耐冷性、穂発芽性などの各種特性検定に供試されます。
これらの検定の結果を総合的に判断し、2系統(各系統5個体)を選抜して『黒2391』『黒2392』の系統番号を付与します。(後者『黒2392』が後の『青天の霹靂』)
『黒2392』のこの時点での総合評価は「良」で、稈質が強く収量性は『つがるロマン』並、いもち病耐性、耐冷性も強く、良質・極良食味と評されています。
平成23年(2011年)F8世代は前年の2系統10個体を2系統群10系統(各系統60個体)として系統栽培。
系統群『黒2391』は『11PL3141』~『11PL3145』の5系統、系統群『黒2392』は『11PL3146』~『11PL3150』の5系統です。
またこの年より生産力検定本試験及び特性検定試験及び系統適応性検定試験に供試されています。
岩手県農業研究センターにおいて育成地相互交換系統適応性検定試験も実施されています。
熟期、収量、玄米品質、障害型耐冷性、いもち病抵抗性などの特性を総合的に判断し、『黒2392(『11PL3149』)』を有望として『青系187号』の地方系統番号を付し、奨励品種決定調査への配布が決定されます。
平成24年(2012年)、”青森県にも特A品種米を”の声が高らかに上がったのがこの年。(研究課題名「あおもり米優良品種の選定試験」・県単予算・2012~2014年度)
当時有望視されていた他4品種『青系172号』『青系180号』『青系181号』『青系182号』とともに『青系187号』もこの選抜に臨みます。
基本的な系統栽培(1系統群5系統各系統60個体)、生産力検定本試験、特性検定試験は継続しつつ、前述の選定試験に供試され、地域適応性等奨励品種候補としての検討も始まります。
この年は前述した5品種の中から『青系172号』『青系187号』の2品種が選考に残ります。
平成25年(2013年)からは青森県重点推進事業(あおもり米新品種「特A」プロジェクト事業)により、津軽地域の9カ所で特性調査等の現地試験を実施し、日本穀物検定協会他関係団体に食味についての検定・検討を依頼します。
この年は前述した5品種の中から『青系172号』『青系187号』の2品種が選考に残ります。
平成25年(2013年)からは青森県重点推進事業(あおもり米新品種「特A」プロジェクト事業)により、津軽地域の9カ所で特性調査等の現地試験を実施し、日本穀物検定協会他関係団体に食味についての検定・検討を依頼します。
各種試験や農家での栽培、日本穀物検定協会の食味官能試験の結果を経て、『青系187号』が先輩格の『青系172号』を下し、特A獲得を目指す青森県の”極”良食味品種として名乗りを上げることになります。
『青系187号』は炊飯米の外観、味、食感が良いとの高い評価を得、栽培面においても耐倒伏性や耐冷性、耐病性が優れていることから平成26年(2014年)2月に第2種認定品種(奨励品種の前段階として試験的に市場調査を行う品種)に指定されます。
そしてこの年のF10世代で育成が完了したとされており、育種期間は少し短めの8年です。
平成26年(2014年)は同試験・同事業は継続されており、良好な特性と良食味性が再確認されています。
日本全国津々浦々に農業試験場があり、数多くの品種があると言っても、青森県の育種はそう簡単にはいきません。
青森県の特殊な環境に適する品種は、他地域とは全く違うからです。
県外で優秀な品種があるから奨励品種に使おう…ということが気軽に行えないのです。
特殊…と言うよりも稲にとって過酷な環境下で生まれた『青天の霹靂』はまさに青森県の何十年という育種、技術・努力・実績、その結晶といっても過言ではないでしょう。(正直この点、どこぞの『い○ほまれ』のエセ宣伝とは訳が違います。)
※当初はKayさんからの情報提供を頼りに執筆させていただきました。
ありがとうございます。
『山形40号』がいっぱい見えます。
同年6月には、名称公募が行われ、11,049件の応募の中から『青天の霹靂』と命名されました。
さらに同年産(2014年産)の食味ランキングが平成27年(2015年)2月に発表され、『青天の霹靂』は参考品種ながら青森県産米初にして悲願の特Aを獲得します。
そして平成27年(2015年)4月に青森県の奨励品種に指定されることになります。
日本全国津々浦々に農業試験場があり、数多くの品種があると言っても、青森県の育種はそう簡単にはいきません。
青森県の特殊な環境に適する品種は、他地域とは全く違うからです。
県外で優秀な品種があるから奨励品種に使おう…ということが気軽に行えないのです。
特殊…と言うよりも稲にとって過酷な環境下で生まれた『青天の霹靂』はまさに青森県の何十年という育種、技術・努力・実績、その結晶といっても過言ではないでしょう。(正直この点、どこぞの『い○ほまれ』のエセ宣伝とは訳が違います。)
※当初はKayさんからの情報提供を頼りに執筆させていただきました。
ありがとうございます。
系譜図
『山形40号』がいっぱい見えます。
青系187号『青天の霹靂』 系譜図 |
参考文献
〇青天の霹靂公式HP:http://seitennohekireki.jp/
〇あおもり米新品種名称発表について[臨時]H26.11.5
〇水稲新品種'青天の霹靂'の育成:青森県産業技術センター農林総合研究所研究報告第43号
関連コンテンツ
〇青天の霹靂はコシヒカリの来孫!H28.9.10
〇新品種 名称公募に見る数のマジックH29.2.26
〇2017新米価格に見る新品種動向H29.10.29
〇新興ブランドたちの栽培戦略はいかに!?H30.5.6
〇”ポストコシヒカリ”の意味を考える~H30年度生産量、とか~H30.6.9
〇平成30年度新米 各県の動向・生産量・販売額H30.10.14
手書きで何も見ずに書けと言われたら大変なのはわかりますけど、ネット上でよく見る誤字「晴天の霹靂」は、米品種名としてだけじゃなく日本語としても間違いなので、気をつけて欲しいなぁと日々思いますw
返信削除改めて見ると、ロゴの色彩が格好良いですよね……!
可愛くて格好良い青天ちゃん、ありがとうございました!
正直言うと…青って食欲減退色って言うじゃないですか。
削除ですから初めてこのロゴマーク見たときは「食品にこんな色使って大丈夫かよ青森県…」なんて考えていましたが…
人間慣れるものですね。
今ではデザインも素直にカッコイイ!と思えるようになってまいりました。
晴天…じゃない青天ちゃんは良くも悪くもまだまだ若い(青森県の極良食味米路線戦略もまだまだこれから)ので今後の成長に期待しています!
結構そういう声が多いですが、それを言うなら滋賀県の「みずかがみ」も青い琵琶湖イメージのパッケージなんで(むしろあっちが青天の影響??)、目を引くってことが重要なのかも。
返信削除あと、育成経過を少しだけ。以下は「青系187号」が新配布系統となったときの説明資料から。
2006年に「北陸202号(夢の舞)/青系157号」のF1を母本、「青系158号」を父本とした交配を行い、同年冬にF1世代、翌年にF2~F4まで温室で世代促進、2008年にF5世代を個体選抜、2009年のF6世代以降は系統栽培による選抜と固定が行われました。2010年から生産力検定や特性検定(耐冷性や耐病性調査)を開始、2011年に系統番号「黒2392」がつき、さらに翌年2012年に「青系187号」として奨励品種決定試験に供されました。
そして「特Aプロジェクト」のメインとなって2014年に新品種候補となり、公募で「青天の霹靂」という名称が決定します。