→Wacomペンタブの反乱によりさらに遅延中
平成30年度から廃止となる減反政策。
それを受けて各都道府県(というより、主に基本東北・北陸の米どころ県)で一般用飯米、世間一般で言うところの「お米の新品種」が多く出ているところです。
『コシヒカリ』一強情勢を覆そうという品種が注目を浴びることが多いですね。
知られざる?ところで、酒造好適米もまた『山田錦』一強情勢(大吟醸向け)を覆そう…というよりはやはり各県独自という個性を出そうと新品種の登場が相次いでいます(と管理人は思っている)
我が山形県でも近年、県オリジナル品種としては初の大吟醸酒用酒米『雪女神』がデビューしたばかりです。
同じ大吟醸用酒米として、青森県では『華想い』、岩手県では『結の香』、秋田県では『秋田酒こまち』と、各県オリジナル品種はあるものの栽培特性が多少劣っていることも多いので次世代の大吟醸酒用酒米の登場は今後も続くでしょうか?
酒造好適米は新品種の登場に加えて、”各県独自色”に加えて”各蔵元独自色”を出そうという狙いも相まって、山形県の『豊国』や新潟県の『白藤』等、在来品種の復活もままあります。
〇青森県 青系酒195号『吟烏帽子』
青森県では県南向けの大吟醸用新品種として『吟烏帽子』が登場。
Kayさん情報
読みは「ぎんえぼし」。(管理人のように「ぎんがらすぼうし」などと読んではいけない。)
同じ大吟醸用とされながらも、気候条件が良好な産地でのみ生産されている青森華三姉妹二女の『華想い』と異なり、高い耐冷性『極強』および高い耐病性(葉いもち『強』穂いもち『やや強』)をもって「やませ」に代表される栽培環境の厳しい青森県県南地方での普及を目指します。
『吟烏帽子』という品種名も、「烏帽子」が八戸のお祭り「八戸えんぶり」の華やかな烏帽子にちなんでいるとされ、南部地域の酒蔵の期待が込められているそうです。
同じく栽培特性に優れた青森華三姉妹の三女『華さやか』と共に青森県(県南地方)の大吟醸用酒米としての活躍が期待されます。
と
青系酒184号『華さやか』も最近デビューした青森県の酒米(純米酒、純米吟醸酒向け)。
たんぱく質構成割合が一般的な米と異なるため、独特の酒の味を出せる?とか。
→プログルテリンという酵母に消化されにくいたんぱく質の割合が多いため、精米歩合が高め(60%程度)でも雑味が少ない美味しいお酒が出来るそうです。
→プログルテリンという酵母に消化されにくいたんぱく質の割合が多いため、精米歩合が高め(60%程度)でも雑味が少ない美味しいお酒が出来るそうです。
お米のたんぱく質→一般的に酒造の際には「雑味」になる。
精米歩合→60%以下で吟醸、50%以下で大吟醸を名乗ることが出来る(おおざっぱ)
『青天の霹靂』に続き、青森県稲育種の集大成を見ている気分です。
〇栃木県 栃木酒27号『夢ささら』
続いて
地味に関東圏で良食味米『とちぎの星』『なすひかり』と県独自品種を要する栃木県も
酒造好適米の新品種を投入するようです。
その名も『夢ささら』。
(”県産初の酒米”みたいに報道されているところもあったんですが、とちぎ酒14は?)
耐倒伏性に優れ、縞葉枯病に対する抵抗性を持つそうです。
精白する際に砕けにくく、大吟醸向けの高精白が可能なそうな。
Kayさんからの情報(いつもありがとうございます!)と、3.16の毎日新聞記事の「新品種名は『とちぎ酒27』?」から、イラスト内では栃木酒28号としていますが、実際は栃木酒27号『夢ささら』が正解のようです。
母本が王道『山田錦』
父本が【縞葉枯病抵抗性最強品種『月の光』系統の『あさひの夢』】と【『山田錦』】を交配させた『T酒25』です。
ちなみに毎日新聞の記事の中で「『とちぎ酒27』は開発番号です。」とか紹介されてましたが、品種『とちぎ酒14』と色々なんかごっちゃにされてる感じですね…
地方系統名は『栃木酒27号(もしくは系統番号T酒36)』です。(稲品種オタクはこういう細かいところにうるさいのです。)
(地方系統番号間違えてるけど)
きっとこんな娘。
【注】:某キャラの某イラストのトレースです(夢ささらじゃなくてさとうさs… |
はいアウトー
いや疲れてるんですよ…
自重しよう…
(自重)出来てない… |
「ささら」とは?
簓(ささら)。竹や細い木などを束ねて作製される道具の一つである。洗浄器具として用いられるほか、楽器や日本の伝統的な大衆舞踊の際の装身具の一部としても用いられる。また、これを伴奏楽器として用いる音曲や舞踊を「ささら」と称することも多い。(Wikipedia)
さ○うささらではない。さと○ささらでは。けっして。
『吟烏帽子』のデザインはできてるからそのうち青森華三姉妹書くぞ~!
えと…H29食味ランキングのマンガはどうなったんですか?
…描くぞー!!!
その他新?品種覚書
高級ブランド品種にばかり注目が行く近年の情勢ですが、実際需要が多いのは外食・中食産業での業務用米。
低コスト・多収の品種導入はやはり各産地必須のようです。
他、様々な用途に向けた新品種は必要ですよね。
ちなみに我が山形県。
良くも悪くも『はえぬき』は手ごろな価格と極良食味、かつテキトーな水加減でもしっかりと炊けるその特性から外食産業にはひっぱりだこ。
品質や味から見れば本当はもっと高く売れてもいいと思うけど、そうしたら業務用には向かないというジレンマというかなんというか…
まだまだ現役かな?
→業務用米としての後継品種は決まった様子です『山形142号』(※誤報でした)
〇青森県 ポスト『つがるロマン』
2018年度から2年間をかけて、青森県は『つがるロマン』の後継品種の選定に入るとのこと。
青森県の『つがるロマン』は県産初となった単品販売可能な良食味米。
主に業務用米向けの『まっしぐら』以上、高級ブランド志向の『青天の霹靂』以下、それが彼女の立ち位置ですが
後継品種は『つがるロマン』より栽培特性に優れ、かつ『まっしぐら』以上の良食味…といったモノになるのでしょうか?
〇農研機構九州沖縄農研 西海289号『歓喜の風』
どうでもいい(よくはないんですが)んですが、品種名がどんどん抽象的になっていくような…
2018年2月19日発表。
耐倒伏性に優れ、残肥料分が多くなりがちな野菜との二毛作向けという変わり種(と管理人は思っている)。
関東以西で『キヌヒカリ』並みの早生品種。
〇農研機構九州沖縄農研 西海297号『秋はるか』
2018年2月19日発表。
西海250号『にこまる』より高温登熟性に優れ、病害虫にも強く、『ヒノヒカリ』より15%多収という業務用米向けを想定した新品種。
東海以西の栽培を想定。
いもち病耐性、縞葉枯病耐性、トビイロウンカ抵抗性…山盛りですね。
〇農研機構西日本農研 中国217号『みなちから』
2018年3月9日発表。
温暖地向けの飼料用米。
2012~2015年の試験では、収量が816kg/10a。
草丈は80センチ、茎が丈夫なため収穫期前後も倒伏に強い。
セジロウンカや縞葉枯病、いもち病に対して抵抗性あり。
〇愛知県豊橋市 豊橋1号『女神のほほえみ』(民間)
豊橋市の河合晃さん(民間)が発見したという『女神のほほえみ』が、2018年1月30日に『豊橋1号』として品種登録されました。
なので品種名『豊橋1号』で商標(販売名)が『女神のほほえみ』というところでしょうか。
『コシヒカリ』の突然変異品種『いのちの壱』の中から発見されたそうです。(『龍の瞳』の中から発見という記述もありますが、品種名『いのちの壱』、別途商標『龍の瞳』です。)
非常に長い芒が特徴的で、外見から一般的な稲との違いが一目で分かります。
一般的な米より粒の大きさが1.5倍…とも紹介されてますが、これは変異元の『いのちの壱』と同様のようです。
イメージキャラクターの穂ノ国八恵さんがいるようです。
〇鳥取県北栄町 牧田研究所『マキタ女王』(民間)
これまた民間開発?品種。
2018年1月30日に品種登録されました。
『コシヒカリ』から選抜したという稈長80cmという短稈コシヒカリ。
…コシヒカリ栽培田の交雑種から選抜、っていう表現の方が正しいような気がしないでもない。
〇ヤンマー&沢の鶴 酒米?酒造適正米?(民間)
これもまたまた民間開発?品種。
ヤンマー独自の米を使って沢の鶴が大吟醸酒を醸したらしいんですが…
その新独自稲品種とやらが
・まだ世に出ていないDNAを持つ新しい酒米
・ヤンマーと名古屋大学の共同研究のもとで選出(?)
・酒造りに適した一般米
等々とされていますが…つまりどういうこと?
「酒米」と言いながらあとからは「一般米」
「まだ世に出ていないDNAを持つ」と言いながらあくまで「酒造りに適した一般米」
…私の読解力がないだけ?
→公式HP行ってみましたがどうやら一般飯用品種同士を掛け合わせて酒造りに適した品種を作ろう、というプロジェクトの様子。
しかも2018年現在でプロジェクトは二年目という記述もありこれまた謎。
たった2~3年、いえ5~7年程度でも新品種が出来るはずがありません。
これって『みつひかり』のようなF1品種ってことでしょうか?
ちなみにお酒の名前は「沢の鶴X01」
読みは「さわのつるえっくすぜろわん」(いったい何事!?)
各県の激しいブランド米争いが続く中で、好適酒造米もその対象となろうとしているのですね。さとう…いや夢ささらちゃんかわいいですね…!下の目隠し+立ち入り禁止テープから余計危険な香りがして笑ってしまいました😂
返信削除コメントありがとうございます~
削除で
大丈夫っす!
さとうさんなんて私一切知りませんから!(ということにしておこう)
とは言いつつも『夢ささら』って見てからこれがもう頭から離れんのですよ…でんじゃらすですな
クロネコさんの画風が変わったかと思って焦りましたw
返信削除ランキング、暗い話題はまとめるのに時間がかかりますよね……。
青森の華三姉妹+吟烏帽子ちゃん、楽しみにしてます。
「華さやか」は大吟醸向け…というよりは純米酒、純米吟醸向けです。米の主要なタンパク質の一つであるグルテリンが少なく代わりにプログルテリンという酵母に消化されにくいタンパク質が多いので、60%未満の精米でも雑味が少なくなり美味しいお酒になる…というのが狙いです。まあ酒蔵さんは結構削っちゃうのですが。ちなみに、「華さやか」と似た様な酒造特性は「春陽」などに代表される「低グルテリン米」でも見られ、「春陽」の血を引く酒米品種も他県では作られています(岩手県の「吟さやか」など)。
夢ささらちゃん、どうも栃木県農業試験場の業務年報を見る限り、栃木酒27号である可能性が高いと思います。
返信削除http://www.pref.tochigi.lg.jp/g59/documents/h28gyoumu.pdf
こちらは平成28年の年報ですが、奨励品種決定調査に供試されている酒造好適米系統は栃木酒27号のみです。
返信削除
的確な情報提供有難いデス~
削除いつも当方の情報ザルなのですが、今回は特に『夢ささら』(パロディ)が描きたいだけで衝動的にやったので栃木酒28号にしてしまいました…
この記事書いた後に、私も栃木県農業試験場の醸造試験の論文見たのですが、栃木酒28号への評価がどうも芳しくなかったので「あれ?もしかして…?(27号だったかな?)」と思いつつも
やっぱりでしたね
そのうちKayさんにいただいた情報で『華さやか』『夢ささら』情報書き換えます。
ご指南いただきありがとうございます!