『熊本2号』
品種名
『森のくまさん』
育成年
『平成8年(西暦1996年) 熊本県農業研究センター農産園芸研究所』
交配組合せ
『ヒノヒカリ×コシヒカリ』
主要産地
『熊本県』
分類
『粳米』
森のくまさん「……」 |
森のくまさん!
熊本県のエース米だよ!
どんな娘?
謎多き熊本県のエース米。くまさん三女の長女。
身振り手振りで自分の意志を伝え…ようとしているのだが、それをちゃんと理解できる他者は少ない。話すことが出来ないのか、もしくはしないだけなのかは不明。
同郷のくまさんの力(最近ではくまさんの輝きも)は謎の力で一言一句違わず彼女の話を理解することができ、彼女の言葉を代弁することが多い。
ちなみに血の繋がりとしてはヒノヒカリの方が濃いはずだが、むしろヒノヒカリは勘違いした理解をすることが多い。
概要
森の都熊本県のオリジナル品種である『森のくまさん』。
その名称は平成9年(1997年)6月に一般公募により命名されました。
”「森の都(もりの)」「熊本(くま)」で「生産(さん)」された美味しいお米”を意味します。
熊本県を代表する米であり、かつユニークな名前、かつくまモンも相まって色々と有名なお米です。
母方『ヒノヒカリ』、父方『コシヒカリ』とエース米同士の交配から生まれたサラブレットな彼女(こんな恰好でも米っ娘ですから)は有名なだけではなく両親譲りで食味も優れています。
熊本県においては稲作地域を「高冷地」「山麓準平坦」「平坦」「球磨」「海岸島嶼」の5つに区分し、各地域に適応した基幹品種を選定することで振興を図っています。
熊本県を代表する米であり、かつユニークな名前、かつくまモンも相まって色々と有名なお米です。
母方『ヒノヒカリ』、父方『コシヒカリ』とエース米同士の交配から生まれたサラブレットな彼女(こんな恰好でも米っ娘ですから)は有名なだけではなく両親譲りで食味も優れています。
熊本県においては稲作地域を「高冷地」「山麓準平坦」「平坦」「球磨」「海岸島嶼」の5つに区分し、各地域に適応した基幹品種を選定することで振興を図っています。
「高冷地」においては『コシヒカリ』が、「山麓準平坦」では『ヒノヒカリ』がそれぞれ基幹となり、『森のくまさん』は「平坦」及び「海岸島嶼」の中生品種としての基幹品種の役割を持っています。
さて
販売ページを見ていると「2012年に日本穀物検定協会の食味ランキングで非公式で1位となった!」との売り込みがだいぶ多いです。
さて
販売ページを見ていると「2012年に日本穀物検定協会の食味ランキングで非公式で1位となった!」との売り込みがだいぶ多いです。
その宣伝元となったのは以下の日本穀検理事の発言と思われます。
「2012年産米で実施した128点の食味官能試験では、熊本の『森のくまさん』が最高点で、特に味が高く評価されました」(日本穀物検定協会常務理事・齊藤豊氏(当時))
平成26年度までは特A評価を5年連続で受けており、その実力は疑いようがありません。(ただ…平成27年度産以降は…残念)
『森のくまさん』の知名度の高さ、実力のせいで後輩品種『くまさんの力』が惨敗するという熊本県にとっては嬉しいような悲しいような事件も…
「2012年産米で実施した128点の食味官能試験では、熊本の『森のくまさん』が最高点で、特に味が高く評価されました」(日本穀物検定協会常務理事・齊藤豊氏(当時))
平成26年度までは特A評価を5年連続で受けており、その実力は疑いようがありません。(ただ…平成27年度産以降は…残念)
『森のくまさん』の知名度の高さ、実力のせいで後輩品種『くまさんの力』が惨敗するという熊本県にとっては嬉しいような悲しいような事件も…
【以下、育成地における試験値】
育成地における出穂期は『ヒノヒカリ』より1~2日遅い「中生の中」に属する品種です。
稈長は78.8cmと『ヒノヒカリ』よりやや短いながら、稈が細いために耐倒伏性は『ヒノヒカリ』と同等の「やや弱」との判定です。
草型は「偏穂重型」で『ヒノヒカリ』とこれもほぼ同じで、脱粒性「難」、耐冷性「中」とその他特性も同じような評価となっています。
耐病性については葉いもち病、穂いもち病抵抗性共に「やや弱」、真性抵抗性遺伝子型は【Pia】【Pii】と推定されます(『ヒノヒカリ』と同じ)。
白葉枯病抵抗性は「中」、縞葉枯病には「罹病性」です。
収量性は試験成績で『ヒノヒカリ』比約104%(平均588kg/10a)とやや多収の成績を収めていますが、玄米千粒重はほぼ同じ(22.7g)です
ただし玄米粒厚2.1mm及び1.9mm以上の割合は『ヒノヒカリ』より明らかに高いものとなっています。
食味試験における評価は『ヒノヒカリ』とほぼ同等か、やや優るというもので、アミロース含有率18.1%、タンパク質含量6.24%と良好です。
・・・と、何点か違うところはあるものの、かなり母本の『ヒノヒカリ』と似通っていることから品種登録の際には一悶着あったとか無かったとか・・・
そして平成後半になって予想だにしなかった「猛暑」による高温登熟障害というあらたな災害に直面します。
そして平成後半になって予想だにしなかった「猛暑」による高温登熟障害というあらたな災害に直面します。
明確な『森のくまさん』の高温登熟耐性評価は見つけられなかったのですが、『ヒノヒカリ』に類似していることと、平成後半の一等米比率から推測するに「弱」の部類に入る非常に弱いものだと予想されます。
この点は「やや強」と判定されている後輩の『くまさんの力』や『くまさんの輝き』の働きに期待したいところです。
水稲、ひいては米と言う商品に対する消費者の意識が変わり、より美味しいお米を求める志向が強くなる中、熊本県においても「売れる米」に対する要望が強くなります。
ウィキペディアの嘘記事とそれによる誤情報拡散
『森のくまさん』の記事はウィキペディアにもあるわけなんですが・・・
そのWikipediaでは【「ヒノヒカリ」「コシヒカリ」を親として作出されたF1個体にコシヒカリを戻し交配して作出。】
…一体この記事を書いた方はどこからこの情報を引っ張ってきたのか不明です。
ネット情報社会の恐ろしさですね…wikiを見た人は間違いなく誤解するでしょうし、これを引用したホームページも多々…こうして間違って広がっていく情報…
熊本県農業研究センター農産園芸研究所論文『水稲新品種”森のくまさん”の育成』内では『ヒノヒカリ』と『コシヒカリ』の交配の後は後代の個体選抜しか記載されていません。
【ヒノヒカリ×コシヒカリ】F1個体への『コシヒカリ』戻し交配などどこにも出てきませんので、明らかにwikiの記述は誤情報ですね。
『ヒノヒカリ』が『コシヒカリ』の子品種ですから、そのあたりを戻し交配と勘違いしたのでしょうか…?うーんしかしわざわざF1個体に戻し交配なんて言ってるんだから…とは言え単なる間違いか
「『森のくまさん』は母本『ヒノヒカリ』父本『コシヒカリ』を交配して作出」これで間違いなく正解です。
さらに
Wikipediaでは【また、イモチ病耐性にも優れている。】
森のくまさんは葉いもち、穂いもち共にヒノヒカリと同等の「やや弱」なんですが…もうなんなんだよWikipediaって感じですね・・・
…一体この記事を書いた方はどこからこの情報を引っ張ってきたのか不明です。
ネット情報社会の恐ろしさですね…wikiを見た人は間違いなく誤解するでしょうし、これを引用したホームページも多々…こうして間違って広がっていく情報…
熊本県農業研究センター農産園芸研究所論文『水稲新品種”森のくまさん”の育成』内では『ヒノヒカリ』と『コシヒカリ』の交配の後は後代の個体選抜しか記載されていません。
【ヒノヒカリ×コシヒカリ】F1個体への『コシヒカリ』戻し交配などどこにも出てきませんので、明らかにwikiの記述は誤情報ですね。
『ヒノヒカリ』が『コシヒカリ』の子品種ですから、そのあたりを戻し交配と勘違いしたのでしょうか…?うーんしかしわざわざF1個体に戻し交配なんて言ってるんだから…とは言え単なる間違いか
「『森のくまさん』は母本『ヒノヒカリ』父本『コシヒカリ』を交配して作出」これで間違いなく正解です。
さらに
Wikipediaでは【また、イモチ病耐性にも優れている。】
森のくまさんは葉いもち、穂いもち共にヒノヒカリと同等の「やや弱」なんですが…もうなんなんだよWikipediaって感じですね・・・
『森のくまさん』はいもち病耐性に優れておりません。
育種経過
水稲、ひいては米と言う商品に対する消費者の意識が変わり、より美味しいお米を求める志向が強くなる中、熊本県においても「売れる米」に対する要望が強くなります。
勢いそれは特定の良食味品種の作付け集中に繋がり、結果適地外での作付け増加、または適期収穫の未実施などにより品質低下の要因になってしまうこともありました。
市場評価が高い良食味品種かつ、適地において熟期の異なる品種の導入が急務とされていました。
その役目として光が当たったのが『森のくまさん』です。
その育種は「中生の良質・極良食味品種の育成」を目標として平成元年(1989年)に開始されました。
平成元年(1989年)8月、熊本県農業研究センター農産園芸研究所において『ヒノヒカリ』を母本、『コシヒカリ』を父本として人工交配が行われました。
◇母本『ヒノヒカリ』
宮崎県総合農業試験場で育成された『コシヒカリ』の子品種で、中生の極良食味品種です。
この交配時点ではまだ育種完了直後でそれほど普及しているわけではありませんでしたが、後に西日本一帯で栽培される基幹品種になっていきます。
◇父本『コシヒカリ』
福井県立農事試験場育成の言わずと知れた極良食味品種です。
九州においては極早生で早期栽培に用いられていますが、平成元年時点ですでに九州で作付け面積1位になるなど急速に普及が進んでいました。
このように『コシヒカリ』の子品種と『コシヒカリ』の交配で、一種の戻し交配とも呼べるものでした。
そして栽培特性よりもなによりも”コシ系の極良食味”に重点が置かれていることがわかるのではないでしょうか。
交配によって得られた種子は41粒(『熊交79-61』)。
同年冬に温室栽培によってF1世代39個体を養成します。
平成2年(1990年)は温室においてF2集団1,150個体、F3集団1,700個体を密植集団養成し、世代促進を進めます。
平成3年(1991年)F4世代1,650個体を圃場に栽植し、個体選抜が実施されます。
中生で草姿・熟色及び登熟が良く、玄米の外観品質が優れ、アミロース含有率が『ヒノヒカリ』と同等の121個体が選抜されます。
特に良食味品種を目指すに当たって「アミロース含有率の低い個体」に注目した選抜がこれ以後も続けられていきます。
平成4年(1992年)F5世代は前年の121個体を121系統として、各系統につき70個体を栽植、単独系統栽培を行い、固定度、草状、熟色、登熟、品質、アミロース含有量に依り選抜を行います。
結果12系統60個体を選抜します。
翌平成5年(1993年)、F6世代から『く系6』の系統番号が付与され、育成地における生産力検定予備試験及び特性検定試験に供試されます。
この年は12系統群60系統として各系統70系統を圃場栽植、2系統20系統を選抜します。
平成6年(1994年)F7世代から『熊本2号』の地方系統名が付され、育成地における生産力検定試験、特性検定試験並びに熊本県内の奨励品種決定予備調査に供されます。
収量性、食味、穂発芽性、耐冷性、病気抵抗性等について検討が行われました。
なお、2系統群20系統各70個体と設定された中から、2系統20個体を選抜しました。
平成7年(1995年)F8世代は奨励品種決定本調査及び現地調査に供試され、地域適応性の検討が行われます。
平成7年(1995年)F8世代は奨励品種決定本調査及び現地調査に供試され、地域適応性の検討が行われます。
最終選抜は2系統群20系統各70個体から1系統10個体を残しました。
平成8年(1996年)F9世代において、『熊本2号』は中生で品質・収量が安定しており、食味も『ヒノヒカリ』にやや優るとの評価から、新品種候補として6月に品種登録の出願が成されます。
そして平成9年(1997年)2月に熊本県の奨励品種に採用されました。
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