2017年11月19日日曜日

ザ!鉄腕!DASH!!~男米→新男米→ふくおとこの品種改良?の系譜~

本日の「ザ!鉄腕!DASH!!」はTOKIOが品種改良(?)した!という触れ込みの『ふくおとこ』スペシャルでした。

後で改めて書きますが始めに結論。
この『ふくおとこ』は新品種新品種と謳われていますが”品種”と呼べるものではありません。
『新男米』を紹介するサイトなどでは「いつか品種登録を…」なんてことが書いてある場合もありますが、番組内の内容を見るに、今のままでは永遠に不可能です。

ただ、始めに言っておきますが、私は「ザ!鉄腕!DASH!!」大好きです。
もう本当に大好きです。

今回は「稲の品種改良」について少し書こうかな、というだけで批判する気はさらさらありません。
あ、でも
この「ふくおとこ」を検索すると、今回の放送内容『農家の苦労がわかる回』みたいな表現をよく見かけるんですが『農業試験場の皆さんの苦労が分かる回』だしょ!?

〇『ふくおとこ』の系譜・親品種達

まずは『ふくおとこ』の系譜図を下に示します。
母本の『新男米』、さらにその親株の『男米』については交配品種の記載はあるのですがどちらが母本でどちらが父本か明記されていませんでした。
…恥ずかしながら私も記憶にありませんので、仮の母本と父本を割り当ててます。
鉄腕ダッシュの公式HPをよくよく見たら記述がありました。

●男米
平成14年(2002年)に交配(?)。
これは”品種改良”というより”新品種開発”のようなニュアンスでしょうか?
『ひとめぼれ』と『たかねみのり』を圃場に1本1本交互に植えて、開花期を合わせることで自然?他家受粉させて(?)生まれたのがこの『男米』。
…えーと…正直稲は開花時に花粉がはじけ飛んでしまって9割8分は自家受粉してしまうので別品種を交互に植えたところで…交配するのは100粒に1~2粒では…?
なんだかそもそも『男米』は『ひとめぼれ』もしくは『たかねみのり』そのまんま説急浮上です…『男米』はいもち病に弱いってことは…『ひとめb…
ですがまぁ交配したことにしておきましょう…いやきっと選抜してますよ…うん…
自然交配(?)なのでどちらが母本でどちらが父本かは不明です。

●新男米
平成19年(2007年)に温湯除雄法を用いて人工交配。
いもち病に弱い『男米』の耐病性の改善が目的。DASH村初の人工交配(品種改良?)。
『ふくおとこ』の交配ではわざわざ手作業で雄しべを除いていましたが、『新男米』の交配の際はスタンダードに温湯除雄法で花粉を除いて(死滅させて)いたようです。
(【温湯除雄法】…43℃のお湯に7分浸けると雌しべは生きたまま雄しべの花粉だけ死滅させる事が出来る素晴らしい除雄法。)
母本の『男米』にいもち病に強い父本『ふくみらい』の花粉を交配。
この翌年に栽培した際、『新男米』の中でいもち病にかかるもの(交配成功?)とかからないもの(交配失敗?)が出て、罹病した株は刈り取り、選抜されました。
…これっていもち病にかかったのが『ひとめぼれ』交配株で、かからなかったのが『たかねみのり』交配株ってことじゃ…
いや、野暮はやめましょう。

『ふくおとこ』~系譜図~



今日の番組で紹介されていたので『ふくおとこ』の母本・父本は明確です。
母本は番組オリジナルの『新男米』。『男米』のいもち病抵抗性を改良したもの(前述)と紹介されています。
父本は『チヨニシキ』。愛知農総試育成の耐冷性・耐病性に優れた品種です。

温湯除雄法ではなく手作業で『新男米』の雄しべを取り除き、『チヨニシキ』の花粉を交配。
4,000粒の交配を実施して、得られた種子は107粒。
107粒の内、播種して発芽したのは57株。
交配に成功したと判断されるのは内35株。
この35株が『ふくおとこ』とされてます。
収量1kgの内、半分の500gを炊いて食べていましたね。



〇『ふくおとこ』は品種?なの?

さて改めまして
おそらく現代の常識から言えばこの『ふくおとこ』はとても”品種”と呼べるレベルのものではありません。(親株の『男米』、『新男米』と共に、ですが。)
繰り返しますが私は「ザ!鉄腕!DASH!!」大好きですよ?
批判とかではなく、あくまでも育種という視点からこの『ふくおとこ』を見ると?という話題です。

この『ふくおとこ』まだ雑種第1代です。
収穫された35株はこの代では比較的同じ性質を示しているとは思いますが…
交雑育種法を用いている以上、この種子をまいた雑種第2代からは一気に多種多様な性質を示す雑駁・雑多な集団へと変貌します。

”メンデルの法則”は有名ですよね?
赤い花と白い花を交配させると、その孫の花の色は『赤:白=3:1』、さらにその後代は…というやつです。
こんなのですね。「赤」が優先遺伝子、「白」が劣性遺伝子。


「通常の稲の育種(交雑育種法)には10年はかかる」というのは、多様にバラける子孫の性質が安定するのに約10代は必要という点が大きいのです。
雑種1代~4代は性質が安定せず、多種多様であり、この時点で優秀でも子孫の性質が劣っていく可能性もありますし、この時点で劣っているように見えても子孫が非常に優秀であることもあるのです。(『コシヒカリ』も後者に該当します。)

交雑育種法の選抜開始時期には大きく”系統育種法”と”集団育種法”の二つがあるのですが
雑種第2代という早期から選抜を始める”系統育種法”は「雑種後代初期に性質を見極めるのが難しい」ことからあまり行われなくなったと聞きます。
主流は雑種第5~7代まで選抜せずに育ててから選抜を開始する”集団育種法”です。


『ひとめぼれ』『つや姫』『ゆめぴりか』等、現代の米は10代以上の時間を経て、容姿の異なるもの、栽培特性の異なるものを除くことで、ようやく性質を同じくする集団”品種”として認められているのです。



〇雑種群『ふくおとこ』

だらだらと長くなりましたが
この点から『ふくおとこ』を見れば、おそらく後年の世代は多種多様な性質を示す雑多な品種の集まりとなっていくことは明白です。
原則として、品種『ひとめぼれ』の子は『ひとめぼれ』で、品種『つや姫』の子は『つや姫』ですが、この『ふくおとこ』の子は同じような性質を持った個体の集まり『ふくおとこ』ではないのです。

先ほどの図を使って見てみましょうか。
なんと言っても今回の『ふくおとこ』の交配目的(達成すべき目標)は、味に【雑味】を含ませること、とのことでした。
【雑味】が少ない母本の『新男米』に、【雑味】の豊富な父本の『チヨニシキ』を交配することで、【美味しい】+【雑味】の『ふくおとこ』が出来た、とのストーリーでした。
でわ
これもまたあまり正確な表現ではないのですが
『【赤】=【雑味がある米】』
『【白】=【雑味が無い米】』
と見てみてください。(ホモ・ヘテロとかどっちの遺伝子が優性だとか自家受粉原則だとかはまぁなんとなくで解釈してください)

雑種第1代(今回の番組で試食されていた『ふくおとこ』もここに該当します)は、なるほどすべて【赤】=【雑味がある】米ばかりですね。
雑種第2代は…おっと、【白】=【雑味のない】米が4分の1混ざるようになってしまいました。
これが雑種第3代になると…【白】=【雑味のない】米は全体の4割近くになってしまいました。
図はありませんが
雑種第4代では
(【赤】=【雑味のある】米)(【白】=【雑味のない】米)97
雑種第5代では
(【赤】=【雑味のある】米)(【白】=【雑味のない】米)1715
だんだんと比率が1:1に狭まっていきますね。
一番最初は【美味しい】+【雑味】の『ふくおとこ』が出来たように見えても、選抜・固定をしなければこのように当初の特性はどんどん薄れていってしまうのです。(通常の育種ではこの【白】=【雑味のない】株を見つけ、捨てることで【赤】=【雑味のある】株の純度を高めていきます。)

無論これは【雑味】というたった一つの特性で考えた場合です。
実際は【雑味】以外の様々な性質(遺伝子)が組み合わさり、またこのような単純な遺伝をするものばかりでもないので、さらに複雑・多岐に変化をしていきます。
つまり
味の良いもの・平凡なもの、病気に強いもの・弱いもの等々、”個”で見ればバラバラな性質を持った株の集団になっていくという事です(当初の優秀な性質を残した株も残っているはずですが)。
番組の最後で”品種改良は後年優秀な種子を選抜していくことで約10年で完成する”ようなことで〆られていましたが、今回のように”株”の状態で選抜もせず、刈り取って種子にしてしまっていては永遠に不可能です。
(今回はそもそも雑種1代なので分離すらしてなかったとは思いますが)混ぜこぜにしてしまった種もみの状態では、どの株が優秀で、どの株が劣っていたのか、もはや知る術がないからです。
播種する籾(種子)を選別する塩水選などはあくまで充実した籾を選択するためのもので、栽培特性や食味の優れた種子を選択する性質のものではないので、上の図での【白】=【雑味のない】種籾は逆立ちしても選抜(排除)できません=”後年優秀な種子を選抜していく”こと自体不可能です。
おそらく番組としてもそんなことは知っていて、そこまで厳密に選抜する気もないのでしょう。


ということで
表記するなら雑種群『ふくおとこ』の表記が正確でしょうか?


〇もしかしたら…

母本の『新男米』、さらにその親株『男米』もおそらく固定化・選抜はしていないでしょうから、これら二つも雑多な性質を持った個体の集まり、呼べて”雑種群”という程度のものであったと推測されます。(というかまともに10年掛けて固定・選抜してたら番組にならないですものね。)
※蛇足ですが、こういった固定されていない雑種世代を交配親株に用いることは優秀な品種を生み出すには有効な手段とされています。
話を戻して、しかしそう考えると
そもそもこの【『新男米』×『チヨニシキ』】の雑種1代35株ですら何一つ同じ株は無かったのかもしれません。

この点から見ると
番組の中では発芽した種子57株のうち、22株が”出穂期が母本の『新男米』と同じだから”という理由だけで”交配失敗”の烙印を押されて除外されていましたが(『新男米』と見てわかる形質の違いのある品種群を作る、という番組の趣旨的には正しいのかもしれませんが)、もしかしたらこの22株は単に出穂期が同じなだけで、中には雑種群『ふくおとこ』『新男米』を遥かに凌ぐものがあったかもしれません。
※通常の交配であればこの判断は至極真っ当、”交配失敗”と判断して差し支えないものです。これは親株の遺伝子が純正のホモ接合体ではないと仮定したら、という話です。

雑種第1代で出来た雑種第2代、1kgの種子の半分を食べてしまいましたが、この中に雑種群『ふくおとこ』『新男米』を遥かに凌いでいくものがあったかもしれません。

両者共に、より耐病性にも優れ、倒伏に強い優れた遺伝子を持った個体があったかもしれません。
ただ
無かったかもしれません。
農業試験場の職員の方々は選抜・育種の際には日々このような葛藤と闘われています。(雑種1代を選抜したり食べちゃったりなんて無法はしてませんよ?)


〇でも、”品種”ってなんだろう?

種苗法による品種の定義は以下の通り。
「この法律において『品種』とは、重要な形質に係る特性(以下単に『特性』という。)の全部又は一部によって他の植物体の集合と区別することができ、かつ、その特性の全部を保持しつつ繁殖させる事が出来る一の植物体の集合をいう。」(種苗法第二条第二項)
なんだか難しい言葉ですが
稲で言えば見た目で揃った稲の集団で、かつ孫子の代にも同じ性質を残せるもの…と言ったところでしょうか?
・『つや姫』を田植えしたら半分は背丈はバラバラになるし、倒れやすい株もあるし、施肥のタイミングが分からない…
・去年の『つや姫』は味が良くて暑さに強かったけど、今年の『つや姫』は味が悪い、その次の年は味は戻ったけど暑さに弱くなって…
なんてことでは困るよ~ということです。

そうすると、雑種第1代で選抜も(F1では出来ないんですが)せず、固定化もされていない『ふくおとこ』はとてもではありませんが”品種”としては認められないのがわかるかと思います。
『ふくおとこ』の後代は雑駁・雑多、多種多様な集団になっていくことは後述した通りですし、ある程度系統選抜をしないかぎり、この点は何年たっても解消され無いものと思われます。

ですが…

品種とはいったいどこまで厳密なモノでしょうか?



明治から大正にかけて日本を席巻した品種『神力』
財団法人広島県農林振興センター農業ジーンバンクに残されている品種『神力』を栽培・比較した成果表を見たことがありますが、出穂期は早生から極晩生まで、稈長は40cmから120cmまで、心白の発現性もバラバラ、紫稲まで存在します。



同じく明治に『亀の尾』『神力』と並んで稲の三大品種に数えられた『愛国』
正確には『早生愛国』、『中生愛国』、『晩生愛国』などあり、じつに多様な性質を持った品種の集団であったことが推測されます。

このように大正~明治に見られる”品種”とは(同名異種の可能性もありますが)現代の基準では考えられないほど雑駁・雑多、多種多様な個体の集まりでした。
有名な『旭』も『朝日』との区別が判然としていません。


では、現代の”品種”はすべて統一された同一の”個体”なのか?と言えば
厳密には違います。
この点、特に『南魚沼産コシヒカリ』信奉者、『コシヒカリBL』批判者は大きく勘違いしていると思われるところです。
(あと良くも悪くも今回の番組でも勘違いする人がいるかな?)

前述したように品種とは”植物体の集合”です。
現代の品種は限りなく同一の性質を持つ集団になっていますが、DNAレベルで同一個体の集合でもなく、クローン体の集合でもありません。
ただ、その”違い”が目で見えないレベルまで統一された集団であることは間違いありません。
そしてそれを『品種』として認めているのです。

ですから、多少の”ブレ”はどうしても存在し、それは後代になるほど発現しやすいものです。
稲は自家受粉するので原則『つや姫』の子は『つや姫』ですが、(無意味・無用な事ではありますが)厳密に見れば他家受粉をする個体、突然変異を起こす個体が一定確率で発生する以上、栽培を続ければまったく同じ『つや姫』は存続しえません。
そしてそれは試験場で育種された品種のおおもとの”育種家種子”でも実は同じことが言えてしまうのです。
交雑育種法で生まれた品種は雑多な遺伝子の集合体で、世代を重ねるごとに性質は安定していきますが100%純系にはなりません。
品種のおおもと”育種家種子”ですら見た目の性質に現れない遺伝子の”ブレ”は存在するのです。

昭和50年頃、日本一の作付を誇った『日本晴』
各地の『日本晴』のDNAを調べてみると、いもち病抵抗性遺伝子を持つものと持たないものが存在するそうです。
育種段階で固定されていたように見えても、厳密にはわずかに違いがあった、ということの良い例でしょうか。(育種段階で少しドタバタもあったらしいですが)

しかししかししかし
これは原則問題にするようなことではありません。
そんなに極限まで同一のものを求めなくとも実用上問題はなく、仮に同一のものを求めるのならばその為にそそぐ労力と手間があまりにもそこから得られる成果に見合わず、非現実的です。

例えば市販されている雑巾。
1mm幅が違ったら何か問題がありますか?
「ちょっと!この2枚の雑巾、同じ製品なのに幅が1mm違うんだけど!?」
クレーマーの多い日本でもさすがにこんなことで訴える人はいないでしょうし、仮に1mm単位で雑巾の幅の製品管理などしても意味はないですよね?
布は伸び縮みがあるんですから多少の幅は容易に変わりえますし。
さすがに同一規格の雑巾の中で10cm、20cm単位で幅が違えば見た目にもわかりますとは思いますが、こういった製品に限らず、人間社会ではある程度の”ブレ”を許容しています。
乱暴な例えですが、こういうことだと私は理解しています。





言わずと知れた『コシヒカリ』
彼女ですら、奨励品種としての試験のために新潟県他各地に送られた時点で、いまだに性質にばらつきがあり、固定が完全でなかったとの記録があります。
ということは、より個体としての”ブレ”が発生する確率が高いという事です。
しかも彼女はすでに誕生から60年以上経過し、育種家種子もとうの昔に尽き(たと思います。)、世代交代を繰り返す中で、それこそ育種当時の『コシヒカリ』とは”個体”としては違ったものになっている可能性が高いのです。(無論”品種”としての『コシヒカリ』は健在です。)

根拠となる論文を見ていないので確証はないですが
日本各地の『コシヒカリ』をDNA鑑定するとやはり各地の『コシヒカリ』は、地域によって遺伝子座で微妙な違いがあるそうです。

偽コシヒカリ問題でDNA鑑定が用いられることも多々ありましたが、そこで顕在化したのがこの『本物のオリジナル・コシヒカリ』とは何ぞや?です。
前述したように”品種”『コシヒカリ』は各地で微妙に遺伝子座が異なっていることがあり、それによって本当の品種『コシヒカリ』を栽培していたにもかかわらず、『偽コシヒカリ』の烙印を押されてしまった農家の方もいます。
では
どの『コシヒカリ』の遺伝子座がオリジナルで本物なのか。
どの”個体”『コシヒカリ』を基準にすれば”品種”『コシヒカリ』の真贋を見極められるのか。
私個人の意見ですが、もはやこれは実体のない”個体『コシヒカリ』”を求めているのですから”答えのない問い”としか言いようがありません。


繰り返しになるかもしれませんが”品種”は全く遺伝子的にも同一の個体の集合…などではないのです。
という認識を持っていると、彼女
『コシヒカリBL』があそこまで批判された理由がまったくわからないですよね。
彼女は遺伝子的には99%近くが『コシヒカリ』と同一とされています。(いもち病抵抗性が明らかに『コシヒカリ』と違うので別品種ではあります。)
そんな彼女が食味試験を行い、国の審査も受け、『新潟県産コシヒカリ』として売られることを許可されて何がおかしいのでしょうか?
さて
『コシヒカリ』がいいからと”育種家種子”を使わず、自家採取を繰り返せば、自然交配や突然変異で”品種”の同一性は失われていきます。
では他県の『コシヒカリ』を使えば?
でもそれはもしかしたら新潟県が育ててきた『コシヒカリ』とは遺伝子上99%近く一緒でも1%違う”個体”かも知れません。
どうも”コシヒカリ信奉者”の皆様はBLは気になるけどこちらは気にならないようです。
どうにも傍から見ていると不思議です。
今までの『新潟県コシヒカリ』とは少しでも違えば嫌だ!と言っている農家の皆さんが、なんと、平気でその少し違う(かもしれない)『他県コシヒカリ』を使うんですから。

”個体”『コシヒカリ』は世間一般で表現されているほど絶対的で普遍的なものではないのです。
この点、多くの農家と消費者が誤解しているところであり、その理解不足の一端が『コシヒカリBL』批判とも言えると思います。(評論家(笑)の方々の売名行為も大きいとは思いますが)


こう書いていくとまるで”品種”はてきとーに簡便な範囲で許容されてるのかぁ…などという誤解のないよう言っておきたいですが
”品種”を守る努力と苦労は日本各地、各品種で行われています。
遺伝子単位での同一性の保持などという非現実的なことはしていませんが、品種としての栽培特性・性質が失われないよう、日々関係者の努力によって守られ続けているのです。


〇まとめようか

TOKIOの『ふくおとこ』からなんだか脱線しましたが
こういった”品種”定義の変遷やある程度の寛容性を考えると、『ふくおとこ』もある時代では十分”品種”と呼べるのかもしれませんね。

あと、肝心なのが『男米』『新男米』『ふくおとこ』全てにおいて言えるのですが、本当に狙い通りの個体になっているのか、大いに疑問です。


いもち病に弱いけど美味しい品種】×【いもち病に強いけど美味しくない品種】

の組み合わせで【いもち病に強くて美味しい品種】が出来るというのは理想で、その通りになるものではありません。
いもち病に弱くて美味しくない個体】【いもち病にそこそこ強くてまぁ美味しいと言えなくもない個体】等中途半端な性質の個体が交配した後代のほとんどを占めるというのが実情です。(固定化されていない、遺伝子上の関連性質等、様々な要因がありますが)
最終的に人間の思い描くいいとこどりの性質を備えた後代は集団の中ではほんのわずかなのです。
『新男米』に食味で雑味を持つ『チヨニシキ』を交配したからって単純に足し算のように雑味が加えられるとは限らないのです。
海洋調査などでまさに奇跡的な発見が続いているTOKIOならば…もしかしたら一発で狙い通りの性質を…



ただなんにせよこれでは”品種改良”とは呼べません。
今回のこれはただの”人工交配作業”をして雑多な集団を手に入れただけです。
例えるならダイヤの鉱脈から一抱えの大きな岩を掘り出したにすぎません。
大きなダイヤの原石が埋まっているかもしれませんが、それを岩の中から見つけ出して、さらにその原石を磨き上げてこその”品種改良”。
交配の後の選抜が胆です。




な~んて小難しいような、重箱の隅をつつくような理屈を並べて見るような番組じゃないですよね、鉄腕ダッシュは

という話でした。

2 件のコメント:

  1. 樹木(果樹や一部の観賞植物)や芋などの栄養繁殖系の作物の育種と、穀物類のような種子繁殖系の作物の育種が、一般の人にはごっちゃになってるから、コシヒカリBLはあんなに騒がれたんでしょうね……。
    メンデルの法則は習うけど、メンデルの法則だけでは種子繁殖である作物の「品種」概念を理解するのが難しい人は多そうですし。自家受粉によって世代を重ねることで遺伝子固定(=遺伝子のホモ接合化)を行う必要があること、説明抜きでわかる人は少ないと思います。
    一方で果樹や芋はヘテロのまま品種になる(クローンで増やすから固定する必要がない)のでまんまメンデルの法則だし、人間の血液型などの話題からも理解しやすいから、植物の「品種」のイメージが「遺伝的に同一なクローン」になってしまうのかと。

    鉄腕ダッシュは面白い番組ですが、あくまでも「番組」であるのでちゃんとした種子繁殖系作物の育成を行うには予算も時間も足りないんで、しょうがないんだろうなぁと思って見てますが、解説入れないと稲の「品種」の概念への誤解を深めるのかもしれない。まあほとんどの人は深く考えてないのでしょう。
    一瞬、「もしかして芋の育成ならダッシュ村でも最後までやれる?」と思いましたが、ヘテロ同士交配したものから有用なものを選ぶのはやはり1年や2年では難しいのでやはり無理でしょうね。

    返信削除
  2. 『コシヒカリBL』批判をして、他県産の種もみを使った『新潟県産コシヒカリ』を信奉する方々はこの遺伝子の話、「品種個体コシヒカリなんて無いんだよ」の話をされたらなんと反論するのか見てみたいですが…まぁなんとなく喧嘩にしかならなそうなので止めておきますか…


    さて
    雑種群『ふくおとこ』も多様な性質を持った集団であるという意味では面白い素材だとは思ってます。

    『亀ノ尾』しかり、『イセヒカリ』しかり
    ある年に大冷害や強風害等の災害に遭って、その中で実った、もしくは倒れず残った1株を『ふくおとこ1号』に!
    なんて純系淘汰のようなドラマは生まれそうです。

    鉄腕ダッシュの番組内での選抜なんて、それこそ廃棄候補は「0円食堂」で美味しく頂きそうです(笑)
    気長~に、それこそ成果が出なくても出たっぽく演出すればいい話なので、(超個人的に)楽しそうな本気の『育種』という企画をしてほしいです!(稲でもじゃがでもなんでもいいので)

    返信削除

最近?の投稿