2016年9月10日土曜日

【粳米】上育453号~ゆめぴりか~【特徴・育成経過・系譜図・各種情報】

地方系統名
 『上育453号』
品種名
 『ゆめぴりか』
育成年
 『平成19年(西暦2007年) 北海道 道立上川農業試験場/研究部 水稲科(農林水産省指定試験地)』
交配組合せ
 『北海287号×ほしたろう』
主要産地
 『北海道』
分類
 『粳米』
ゆめぴかですもの!よろしくおねがいですもの!


どんな娘?

北海道でも最年少の部類に入るが、今や北海道米を先頭で引っ張っている娘。

細かいことが気になってこだわる性分に加えて泣き虫であり、一時は周囲からかなり心配された。
その性格は多少改善したものの、やはり多少残っているところはある。
丁寧な仕事ぶりでエースに抜擢されたものの、プレッシャーに負けて初年度に大コケした苦い思い出もある。
だがその時もおぼろづきのフォローを受ける等、周囲の北海道米達に支えられて日々頑張っている。


概要

「とりまたぎ」(鳥もまたいで食べないほど不味い)とまで揶揄され不味い安い米の代名詞だった北海道米。
「北海道では米を作るな」とまで言われ、国の米政策でも不利益を被り続けてきたそんな北海道米は『きらら397』で劇的な進歩を遂げ、『ほしのゆめ』、『ななつぼし』と着実に前進を続け、そしてついにこの『ゆめぴりか』は最高級米品種として知られる山形県『つや姫』とほぼ拮抗する全国第二位の実力を持つまでに至りました。
…影が薄い『おぼろづき』さんはかわいそうなので触れないでおきましょう…

平成20年(2008年)2月28日から3月14日の期間で名称公募が行われ、副賞として最優秀作品賞1名には北海道米1年分(60kg)、優秀作品賞5名に北海道米半年分(30kg)が設けられていました。
そうして応募された3,422点の候補の中から品種名が選ばれました。
「北海道米の夢をになうお米になってほしい」という願いを込め、「夢」とアイヌ語で美しいという意味の「ピリカ」を合わせ『ゆめぴりか』と命名されました。

地球規模での気温の上昇、水稲栽培適地の北上が予想されていた当時、『ゆめぴりか』は多少の耐冷性の低さには目をつぶり、食味と収量の優れた(前代主力『ほしのゆめ』、『ななつぼし』比)品種として選抜されました。

デビュー当初年は天候に恵まれず不作となったものの、『ゆめぴりか』を求める声は多数にわたり、規格外品と『おぼろづき』のブレンド米としてまで消費者に販売したのは有名な話。(…ここでも『おぼろづき』の扱いがなんとも…)
”ブランド米”と言えば都道府県などの公的機関が主となって推していることが大半ですが、『ゆめぴりか』ブランド化に当たってはホクレン(ホクレン農業協同組合連合会)が推進役を担っています。

特に平成21年(2009年)に「北海道米の新たなブランド形成協議会」が設立され、府県ブランド米に対抗しうる北海道米の新たなブランド形成を実現するために『ゆめぴりか』をはじめとする極良食味品種の品質管理・流通を統一して行う体制が整備されています。

「種子更新率100%」、「栽培適地での生産」、「タンパク質含有率基準値以下※」

※当初は「6.8%以下」を基準にしていたようですが
 平成22年(2010年)に「6.8%以下」の第一区分と、「6.9%以上~7.9%以下」の第二区分に一部緩和
 さらにその後「7.4%以下」になった?(経緯がいまいち把握できません・・・)

これら厳しい基準をクリアしたものだけが認証マークを付けて販売することが出来ます。
(ただ、これは逆に言えば認証マークなしで良ければ屑米の『ゆめぴりか』を売ることが出来るということで・・・『ゆめぴりか』に一定の知名度と人気があることから一部低品質米を流すような行為も行われているそうで、ホクレンも頭を抱えているとか・・・)
本当に美味しい『ゆめぴりか』を食べるためにも、生産者や流通の皆さんの努力を無駄にしないためにも、ちゃんと認証マークの入った北海道米を買うようにしましょう。



最近は(2016年現在)マツコ・デラックスさんのCM等、宣伝物をよく見ます。
『つや姫』の一年先輩にして好敵手『ゆめぴりか』、同じく道産米『ふっくりんこ』、『ななつぼし』と躍進が続いています。


山形県だって負けないぞ!


育種経過

交配は『北海287号(きらら397突然変異)』×『ほしたろう』。
母本は北海道米のお姉さん『きらら397』の突然変異体『北海287号』であり、同じ道産米の極良食味米『おぼろづき』の父本にもなっています。
適度なアミロース含量であり、産地間の差異を考慮しなければその実力は道産米随一と言われます。


系譜図


上育453号『ゆめぴりか』 系譜図


参考文献(敬称略)


〇技術開発の成果と展望(2) 新品種「ゆめぴりか」の育成と今後の北海道稲育種:佐藤穀

〇「北海道米の新たなブランド形成協議会」の設立について:okuren.or.jp/news/detail.php?id=150
〇日本一のこめどころへ、北海道米の進化:https://www.hokuren.or.jp/_greenweb_/?post_type=season_booklet_page&p=1612
〇北海道米の新たなブランド形成協議会認定マーク使用管理要綱 :https://www.hokkaido-kome.gr.jp/about/pdf/trademark03.pdf


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